Tag Archives: 起業家

芸術家は努力でなれる?

『世界のMurakami』というエントリーを書いてから1年半、遅すぎるにも程がありますが、ようやく『芸術起業論』を読みました。 だって、日本のAmazonの海外配送料高いんだもの・・・(涙)

内容はある程度、日経ビジネス(世界で戦うための『芸術起業論』)や東洋経済(新世代リーダーの条件)などで想像がついていましたが、いやーーー、面白かったです。
「海外在住日本人としてのアウェーでの戦い方」、「現代アートの見方」、いろいろな読み方ができますが、「戦略とマーケティングで(言い換えると”努力”で)世界最高峰レベルの芸術家になれる」という強烈なメッセージが今までの一般常識を翻す本。

私はここ数年、左脳系(テクノロジー投資&事業開発・MBAホルダー)から右脳系(建築インテリアデザイナー)への転身中なのですが、決心したとき「アーティストにはなれないけど、デザイナーにはなれるかも」と思っていました。 理由は、デザイナーはクライアントの問題をデザインで解決することが仕事であり、そういう意味ではビジネス系の仕事と根本的に一緒、対してアーティストは圧倒的な才能がないとなれなさそうだったから。
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友人の成功

ついにNickが・・・と目頭を熱くしたのは、私だけじゃなかったと思う。

INSEADで出会ったNickはシドニー出身、MBA留学前は戦略コンサルタントで出張・残業が続く激務をこなしていました。 とてもチャーミングでおおらか、誰にでも愛される性格で、彼の周りにはいつも笑いが絶えませんでした。

MBAではMBA学生を卒業後に採用したい企業が卒業前にキャンパスに来て面接をし、採用通知を出していきます(オンキャンパスリクルーティングという)。 リクルートスーツを着た友人がキャンパス内を闊歩し、戦略コンサル・投資銀行を初めとする常時MBA採用している企業から留学前の2倍近い給料とボーナスをオファーされているのを見ると誰でも落ち着かなくなります(今のINSEAD後のキャリア・データはこちら。 卒業後の給料は平均€86,200、サインオンボーナスは€17,000。)。 多くの学生は多額の学費をローンで賄って来ているので、「3年だけ」、「自分が何がやりたいかわからないからとりあえず」と言って目の前に出されたオファーに目がくらみ就職していきます。 基本的に、ambitious(野心的)なhigh achiever(成績優秀者)ばかりなので、競争意識も働くのでしょう(→『MBAの同窓会』)。

そんな中、Nickはオンキャンパスリクルーティングにも行かず、「何かわからないけど、何か自分でビジネスをするんだー」とずーっと言っていました。 そして卒業後はロンドンのサンドイッチ屋でバイトを始めました。 私たちが卒業したのは2004年、2007年にバブルがピークに達するまで投資銀行がこの世の春を謳歌し、ヘッジファンドに就職した同級生は1億を超える年収を稼いでいました(こんな時代があったんです→『外資系戦略コンサル vs. 投資銀行』)。
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アルザスの夏の贈り物

1ヵ月くらい前の出来事ですがフランスから小包が届きました。
開けてみると、とーっても綺麗な色をした3種類のコンフィチュール。
『フランス仕込みのコンフィチュール』で紹介したコンフィチュール(フランス版ジャム)のWebショップ“Le fruit de l’aurore”をやっている友人がストラスブールからアルザス特産、夏の果物を詰め込み直送してくれたのでした(→こちらの商品)。 ありがとう!!!
彼女のジャムはそんじょそこらのジャムとはひと味違います。
果物そのものの味が活きてるのは当然として、爽やかだったり華やかだったり、口の中に入れた途端、口の中全体が「ぱっ!」って輝きます。
もともと不思議な組み合わせが多かったのに、「白桃×生姜」、「杏×はちみつ×ピスタチオ」、「いちじく×ラムレーズン」etc. 片っ端から試してみたくなる新商品が増えてる(現在販売中の商品はこちら)。
現在のお薦めはカクテル「モヒート(Mojito)」にヒントを得た「パイナップル×ラム酒×ライム×ミント」だそう。

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「好き」を仕事にしない理由

今週、昔の会社の先輩から届いたメールの一部。 思わず声をあげて笑ってしまいました。

ブログ見てるぞえ。 おめでとう!
昔、何かの拍子でソニー時代、ようこに「休日なにしてるの?」って聞いたら、「タイル集め」って言われたことをなぜだか思い出した(笑)

タイル集め・・・(笑)
よく覚えてますねー・・・ 自分でも忘れてた。
正確には「休日」じゃなく「長期休暇」だと思うけど、そういやあの頃は旅に出るたびにタイルを買っていました。 使う予定がないからいつしかやめちゃったけど度重なる引っ越しでも捨てられずにいまだに持っています。
タイル集めじゃ飽き足らず、黒のブラウン管テレビをスプレーで真っ白にペイントしてテレビの表面全体に青タイルを貼ったりしてました。
世界で一番美しい建築はイスタンブールのブルー・モスクだと思ってるくらいタイルが好きで、タイルを見にシチリアのCaltagironeやメキシコのPueblaまで行ったことがあります(両方ともタイル好きには息ができなくなるほど興奮する町)。
blue_mosque_interior.jpg

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小学生だって社会起業!

『Blastbeat – 高校生の音楽ビジネスプロジェクト』で紹介した音楽を通した社会起業プロジェクトBlastbeatのファウンダーであるRobertに会ってきました。 ブラストビートはNPOとして日本でも活動しています。
・・・とはいってもNPOの話ではなく、私たちが今度引っ越す地域にRobertが住んでいるので、そこの学校事情を聞かせて欲しいと会いに行ったのでした。 以前こちらに書いたように、ロンドンのファミリー世帯は「学校」が住む場所を決める最重要ポイントです。 小学校(Primary School)は4歳から始まるので、息子が1歳になったばかりの私たちも「良い」小学校のキャッチメントエリアに入れるように調査していました。
年齢から推測して当然中高生の子どもがいるだろうと思っていたRobert、未婚で子どもはいなかったのですが(すごい思い込みですね、私)、ある地域の学校事情なんかよりも、はるかにいい話が聞けました。
イギリスにも全国高校ランキングのようなものがあり、「良い」高校(Secondary School)は私立高校(Independent School)と選抜試験で成績の良い生徒だけが入学できる公立高校(Grammer School)が独占しています。
FT.com : Secondary Schools 2011
小学校(Primary School)は評判の良い学校に入るにはかなり近くに住む必要があり、治安や学校の良し悪しと住宅価格は密接に連動しています。 当然、貧困家庭の子どもは良い学校に行けずドラッグ・暴力・アルコールなどの問題に巻き込まれやすく、社会的流動性(Social mobility)が少なくなるとイギリスの社会問題になっています。

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アンダルシアの田舎でプチホテル経営

3ヵ月前に行ったコッツウォルズ地方ではファームB&Bに泊まったのですが、1日目の夜、息子をベビーカーに載せて近くのパブに出陣! ところがベビーカーの中で寝かせる計画は見事に失敗し、2日目以降はインド・カレーやTESCOのサンドイッチのテイクアウェイをB&Bの庭で食べる、という悲しい結末になりました。
そこで今回の旅のハイライトである宿は、田舎にある料理自慢の宿を対象に厳密にセレクト(フランスにはTable d’Hote付きのChambre d’Hote(→こちら参照)は一般的なのにスペインにはこのスタイルの宿はあまりないのです・・・)。 結果、大満足でした。
terrace_finca.JPGその宿とは、アンダルシアの真ん中自然公園内に位置する“Finca las Encinas”。 ウェールズ出身のシェフ歴20年のCliveと日本を離れて25年の日本人Makiさん夫婦が経営するプチホテルで、見渡す限りのオリーブ畑の山々の中にあります(写真は葡萄の蔦に覆われたテラスから臨む景色)。
ロンドンのシティでバンカーだったMakiさんは朝早く、レストランでコック長だったCliveは夜遅く、一緒に住んでいるのに2週間もほとんど会わない日が続いた日、「このままじゃいけない」と思い立ち、決めた移住。
スペインでのプチホテル経営を決め、イギリスからリサーチし物件を探し、古いオリーブ農家を購入したのが2004年。 詳しい経緯はMakiさんのブログ『スペイン・アンダルシアの田舎暮らし』でどうぞ。

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フランス仕込みのコンフィチュール

confiture_cherry.jpgmaison ferber(メゾン・フェルベール)というフランスのコンフィチュール(ジャム)ブランドをご存知ですか?
「ジャムの妖精」と呼ばれるクリスティーヌ・フェルベールがつくる、季節の野菜や果物をふんだんに使った宝石みたいな綺麗な色合いのジャム。
日本では新宿伊勢丹で買えます→伊勢丹新宿店:メゾン・フェルベール
フランス・アルザス地方のニーデルモルシュという人口300人の小さな村にあるこのお店でマダム・フェルベールのもとでコンフィチュールを学び、続いてストラスブールのパン屋さんで修行をした高校時代の友人が、去年帰国し、Webショップを開きました。
Le fruit de l’aurore
彼女と私の出会いは高校1年の15の春、大阪の高校のバスケ部で3年間一緒に汗を流した仲。
大学卒業後、東京の洋菓子メーカーで商品企画をしていた彼女がパティシエになる夢を叶えるため会社を辞めて渡仏。 その後、滞在ビザの壁が高いフランスで何度もビザで苦労しながらパティシエ修行を続けていました。

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好きなことを仕事にした人たち

週末はINSEADシンガポールキャンパスで卒業生を対象にしたイベントがありました。 内容的には去年の方が面白かったけど(去年の内容→1, 2, 3)、卒業生3人の”Off-the-Beaten-Track Alumni Stories”と題したパネルディスカッションが面白かったので、パネリストの経歴をご紹介。
1. Peter Schindler・・・オーストリア生まれ、スイス国籍、香港在住、ブログ→Blue China。 中国系マレーシア人の妻はオーストラリア国籍。
暗黒時代→ 大学:MITにてIT専攻、大学院:INSEADにてMBA、ITコンサルのアクセンチュアにて20年間勤務。
on_the_road_china.jpg昔から車を運転することが大好きでformula 2などのレースに多数回出場。 2年前、夢を追いかけるため会社を辞め、nokiaのスポンサーを受けて中国大陸横断21,000km走破の旅(上海→チベット)を実現(→nokia discover china journey)。 旅終了後は、luxury driving experience ltd.という会社を立ち上げ、中国と近隣諸国をsuvで走り回るドライビング・ツアーを提供している。

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オージーコーヒー、ロンドンを席巻(間近か?)

オーストラリアのコーヒーは美味しい。
・・・と言って、どのくらい深くうなづいてもらえる人がいるか知らないけど、身内びいきを差し引いても、南ヨーロッパと比べても、相当美味しいのではなかろうか。
まず、エスプレッソ・マシンを使い蒸気による圧力でコーヒー液を抽出するイタリア系です。 「いや、コーヒーはやっぱブレンドだ(ドリップ式)」「朝はコピ(シンガポールの練乳入りコーヒー)に限る」と言う人は、コーヒーの種類が違うので比較対象としない、ということで。
taylor_st_cappucino.jpgイタリア移民の影響を濃く受けてエスプレッソ文化が早くから根付いた上に、オーストラリア流のアレンジ(ミルクを使ったコーヒーアートなど)が加わり、オーストラリアのカフェ文化発祥の地メルボルンでは、文字通り街角ごとのカフェで美味しいコーヒーが飲めます。 豆の挽き方、煎れ方、コーヒー抽出のしかたなどブラック部分(エスプレッソ)はもちろんのこと、ミルクのフォームのきめ細かさなどホワイト部分に対するこだわりもハンパなし。
よって、Starbucksなどのいわゆるアメリカのグルメコーヒーは流行らず(地元のチェーンもあることはあるが)、人々は相当味にうるさいです(よく知らないけど、ニュージーランドも同じ状況のよう)。
世界バリスタ選手権などにもオーストラリア人は頻出しており、バリスタになるための専門学校もいくつかあります。

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誰も雇ってくれないから起業する

海部未知さんブログの『金持ちをたくさん働かせる仕組み』に同感な点、2点目、編集して引用。

スタンフォードMBAという、いろんな意味で優位な地位にある人々は、オーバースペックのためにしばしば、普通の会社で普通に勤めあげることができなくなる。 でも、人脈とか箔とかスキルとかがあるので、たとえトラディショナルな形でのベンチャー起業ができなくても、自営をはじめるとか、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などの形でかかわるとか、自分でなんとかすることがたいていはできる。

これを「誰も雇ってくれないから起業する」と表現されているのだが、私の周りにも山のようにいるので、実際はこんな悲観的な実感の人だけでなく、「他のオプションよりも、自分でやった方がいい」というベターなオプションを取ったという人も多いと思います。
この場合の「起業」とは、いわゆる狭義のベンチャー(VCの資金入れて、成長率10%以上、エグジットはIPOかGoogleに買われること、みたいな)よりも、フリーランス、小規模のプロフェッショナル・ファーム(ファンドやコンサルなど)を仲間と立ち上げる人の数の方が多い。
今でも仕事上のコンタクトを探すのにINSEADの卒業生データベースを検索することがありますが(こんなインターフェース)、卒業年次が古い人(= 年上の人)になればなるほど、自分の名を冠したプロフェッショナル・ファームのManaging Director(つまり自営)が多くなります。

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