Tag Archives: 統計

「イギリスは天気が悪い」をデータで見る

イギリスに対する2大悪口と言えば「天気が悪い」「食事がまずい」でしょう。
後者に対しても反論も山のようにあるのですが、今日は前者に対してのみ。
世界各地に住んできてつくづく思うことは”Everything is relative.”(すべての事柄は相対的である)。 世の中、「絶対○○」なんてものはほとんどない。
天気に関しては、ロシア人やベルギー人の友人は「ロンドンさいこー!」とまでは言わないものの「全然悪くないよねー」と言ってるし、ブラジル人やトルコ人の友人は「何年住んでも天気だけは慣れない」と(冬に向かう今の季節は)悲壮な表情をしています。
いずれも彼らの出身地を考えれば納得のいく話で、「”Everything is relative.”だなー」と思うのですが、東京に住んでいる人に「天気悪いんでしょ?」と言われても「いや、東京と比べると別に悪くもないよ(そりゃ、バルセロナとかと比べたら悪いけど)」なのです。
きちんとデータで見てみましょう(以前こちらに書いたけど統計好き)。

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平均とは統計上の便宜的な数値

日本代表は残念でしたね。
BBCの解説者は途中から「こんなつまらない試合見たことがない」とボロカスで、そっちを聞いてる方が疲れました・・・ なので、気を取り直して普段のブログ。
『産まれました。』でご報告した通り、私の息子は3,660gと平均よりちょっと大きめで産まれました(日本だと「だいぶ大きめ」かもしれないが、こっちでは「ちょっと大きめ」)。
今まで完全母乳で育てていますが、初めのうちは人並みに苦労しました(*1)。 いきなり乳腺炎になり、痛くて痛くて泣きながらあげていたことも。
*1・・・イギリスでは国を挙げて母乳育児が推奨されている割には日本のようにサポート体制が整っていないこともあり(出産後、1 – 2泊で家に帰されるし)、8割の人が母乳育児を始めるものの、6週間後続けている人は5割に減少、6ヵ月後には2割になる。
growth_chart_boy.jpgイギリスでは子どもが産まれると通称red bookという赤い表紙の健康記録帳(日本の母子手帳のようなもの)を渡され、検診・予防注射・成長記録などを書き込んでいきます。 また生後すぐからbaby clinicという地域のクリニックに2週間ごとに体重を測りに行き、同時にhealth visitor(保健士)に育児の相談ができます。
体重は右のような成長チャート(真ん中の線が平均で下から1%, 2%, 10%, 25%, 50%, 75%, 90%, 98%, 99%と示されたパーセンタイルグラフ)に書き込んでいきます。
息子はちょっと大きめで産まれたにも関わらず、生後5週までほとんど体重が増えずにずっと横ばい、5週目に体重を測ったときには下から10%になっていました。
その時に、Health Visitorに言われたひとこと、「あなたの赤ちゃん、体重増えてないわね」。

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統計を参考に個人のキャリアを決めてはいけない

昨日の続きですが、ちょっと横に逸れて、「統計を参考に個人のキャリアを決めてはいけない」「すべての価値を金銭価値に換算できない」というお話。
1. よく就職・転職情報誌に出てくる生涯賃金ランキング年収高額企業ランキングといった類の統計を参考に自分の進路を決めてはいけない。
これらのランキングは「現存する企業が現業態を保ったまま、現賃金体系を維持したなら」というあり得ない仮定に基づいた数字です。 企業の平均寿命が30年を切り人間の労働寿命より短くなっている世の中で(引退という概念すらなくなるかもしれない→『「老後」がなくなる日』)、今から就職して生涯賃金ランキングの数字通り受け取る人が果たしているのでしょうか?
年収高額企業ランキングの上位企業はひょっとして労働生産性に見合わない高年収の従業員、高額年金を約束したOBばかりを抱え、高コスト体質のために破綻したJALのような会社かもしれない。
この不況で希望就職先も「安定志向」が強まっているらしいですが(→就職希望企業人気ランキング)、「安定しているがスキルが身につかない」企業に就職して、その後の仕事人生、つぶれないこと・給料が減らないことをひたすら祈って暮らすのでしょうか?
この手のランキングは「ふーん」と眺めるか、むしろ「人のいない裏道をいこう」くらいに使うべきで、個人のキャリア選択に当てはめるのはほとんど意味ないです。

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私はアジア人 – その他

以前、『あなたはアジア人ですか?』というエントリーに

「アジア人(”Asian”)とは英国では主にインド人を指す」というのは本当なのだろうか?

と書いたところ、コメント欄で「本当らしい」と教えてもらっていたのですが、詳細判明しました。
以下、近所のGP(General Practioner、ホームドクター)登録に行ったときに、もらったフォームの”Ethnic group”(民族グループ)のカテゴリー分けです。

A. Asian or Asian British
Bangladesh
Indian
Pakistani
Other Asian

B. Black or Black British
African
Caribbean
Other Black

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海外日本人をデータで見る

前にちょこっと書いたけど(→『若いアジア』)、私は統計大好きです。 ちょっと前のisologue『データを見ない人々』というエントリーに、

日本の99%くらいの人は、おそらくほとんどデータを見ずに(「観念的」に)仕事や生活をしてるはず

とあったので、「ひょえーー」と仰天したのですが、根拠を示さない観念的な話を聞くと「うーん、データで示してよね」と思ってしまいます。 統計は恣意的な使い方もできるし、統計で嘘をつくことも簡単だけど、そういうところも含めて面白い。
今日は私の好きな統計のひとつ、外務省の海外在留邦人数調査統計をご紹介。
「どんな国・都市にどんな日本人がいるの?」ってことが手にとるようにわかる(?)すぐれもの。 3カ月以上海外に在留する場合に届出が義務づけられている在留届を基にしているので、日本国籍を持つ外国の長期滞在者と永住者が対象。
ところでこの「在留届」、今はオンラインで届け出られるようになり、私はマメに届け出ているのですが、夫がオーストラリア領事館に出している気配はなし、制度がないのかも。 ひょっとして外務省(& 日本人)ってすごくマメ???
海外在留邦人とひとことで言えど、そのプロフィール(性別、職業、家族帯同状況など)は国によって都市によって全然違うのですな。 次に、シンガポール・イギリス・アメリカ 3ヵ国の海外日本人の性別と職業を円グラフにしてみました(暇だな、私・・・)。 この3ヵ国はこのブログのアクセスが多い3ヵ国です。

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