Tag Archives: 福祉

イギリスの児童虐待対策

今回の大阪の事件は泣いた。
幼児2人が部屋の中で寄り添いながらママを待つ姿を何度も想像してしまい本当に泣いた。
自分に子どもが生まれてからというものの、以前のように冷静に三面記事を読めなくなってしまいました、というより以前は三面記事は読まなかったのに・・・(夫も同じ)。
それにしても今回の事件は救出できたよなー、と思わざるをえません。
児童虐待(ネグレクト含む)と言えばイギリスは先進国(そんな先進国いらないよね・・・)、深刻な社会問題となったのも対策が取られ始めたのも日本より遥かに前で、発生件数は(人口比を考慮すると)日本の15倍以上とか。 市民の関心も非常に高く、ロンドンの新聞London Evening Standardに記事がない日はないくらい。
背景には貧困・離婚率の増加・シングルマザーの増加・10代の妊娠などあるようですが、児童虐待はイギリスの大きな社会問題のひとつです。 今日は興味ある人のためにWebで見つけた下記の視察報告書と私がロンドンに来て以来のランダムな経験をメモしておきます。 まとまってませんが・・・
子供の虹情報研修センター:イギリスにおける児童虐待の対応 視察報告書

Continue reading


家探しでわかる都市政策

ロンドン家探しの旅も今日が最終日。
あーーー、疲れたーーー!!!
東京やシンガポールでの家探しの比ではないくらい疲れたのは、慣れてないからなのか・・・?
いや、とにかく治安のいい場所と悪い場所が同じエリアに混在していて、あらゆる人に口を酸っぱくしてアドバイスされた「同じ地区でも、通りが1つ違っただけで雰囲気も治安もがらりと変わる」「治安のいい場所と悪い場所がパッチワーク状に混じっている」がもろにその通りで、実際物件まで見に行ってみないと本当にどんなところかわからないからなのです。
なぜこういう事態が起こるかというと、国の都市開発政策が影響しています。
非常に興味深いので、同じく多民族社会であるシンガポールとパリと比較してみます。
1. シンガポール
多民族国家であるシンガポールでは、民族別の居住エリアを作らせないために、国民の80%が住む公団には民族ごと(中国系、インド系、マレー系)に(人口上の民族構成に従い)入居の割合上限が決められています(→『多民族共生の実験場』)。 この政策は非常に功を奏し、一般に治安は非常に良いです。
ただし、1965年に誕生した新しい国家の一からの建国政策であり、人民行動党(PAP)の一党独裁のもと実施されており、また欧州各国のような福祉はなく、外国人は労働力として受け入れているだけで難民などは受け入れていないので、単純に素晴らしい政策だと持ち上げることはできません。

Continue reading


フランスの自殺率はなぜ高いのか?

France_suicide.gif先月のThe Economistの記事で私の周りで話題になった記事がありました。 フランスの自殺率がヨーロッパの中で飛び抜けて高い、というこの記事(下記にリンクを貼っていますが、the economistはこちらで書いたようにサイトは一部有料化の流れなので、後で読みたい人はコピペするなどしてください)。
The Economist : Bonjour tristesse
右のグラフでもわかるように、国民100,000人あたりの自殺数がイタリアやイギリスの2倍以上、ドイツより40%高い(もちろん日本の自殺率はフランスより高いのですが・・・)。
私の周り(非フランス人)の反応は「おいおい、フランスといえば週35時間労働制で(*1)私たちの半分の時間しか働かず、夏は2ヵ月のバカンス。 失業しても2年間は前給料の70%の失業手当で暮らせて、出生率は2.0を回復する少子化先進国のお手本。 アムールでjoie de vivreな国の人が自殺してたら、いったいボクたちはどうなるんだ?」というツッコミ。 私も似たようなことを思いました。
*1・・・サルコジ大統領は35時間労働規制見直しの方針。
当のフランス人に聞かずに判断するのはフェアではないので、親友のフランス人J(こちらに登場)に聞いてみました(「マッキンゼーでワーカホリック」以外に彼のバックグラウンドを付け加えると、フランスのエリート養成コースであるグランゼコールではなく、3ヵ国の大学との交換留学ができる大学を選び卒業後はロンドンへ。 INSEAD MBA後はパリに戻ったものの、閉鎖的なフランス人社会と合わず、アジアに来たかったのでシンガポールへ。 フランスを冷静に外から見られるフランス人です)。

Continue reading


お金持ちが逃げてしまう国

海部美知さんブログの『金持ちをたくさん働かせる仕組み』には全く同感。
同感な点は2点あったので、今日は1点目(若干、編集して引用)。

金持ちから奪って貧乏人に分けるのを政治でやっちゃうと、金持ちはますます自分の富を隠し、世の中のために流通しなくなるし、「成功しよう」という個人のインセンティブを奪う。

私は常々、日本に住む日本人にとって一番恐ろしいシナリオは、日本という国(の制度)を見捨てた日本企業が外へ出ていってしまうことだと思っていました。
40%という世界最高レベルの法人税をはじめ(参考:世界の法人税率、ちなみにシンガポールは18%)、ビジネス環境における国際競争力がないため。
毎年、世界銀行と国際金融公社(IFC)が発表する”Doing Business”というランキングがまさに国のビジネス環境を比較しており、2009年は以下の通り(The World Bank Group – Doing Business 2009)。

1. シンガポール
2. ニュージーランド
3. 香港
4. アメリカ
5. イギリス
・・・
15. 日本

Continue reading


イギリス人医師の見たシンガポール

最近、ロンドンからシンガポールに引っ越してきた夫の同僚D(フランス人)と彼の奥さんA(イギリス人医師)とよく一緒に食事をするのですが(こちらにも登場)、医師であるAが見るシンガポールが、私たちが普段の生活で見るシンガポールと全く異なっていて毎回非常に興味深い話が聞けます。
私はブログでシンガポールのことをいろいろ書いてますが、日常生活では一部分しか見れていないと思います。
それもそのはず、職場にシンガポール人はいないし(これは少規模のプロフェッショナル・ファームに共通するが、シンガポール人は大企業志向が非常に強いので、小規模ファームが能力主義で採用すると外国人ばかりになる)、友人のシンガポール人はこういう人たちが多いし、規制が強くてつまんないから地元メディアは読まないし見ないし(→『メディア規制の影響』)。
私たちの環境の性質上、民間のビジネス目線でシンガポールを見て気づくことは多いのですが(*1)、Aのように医師として貧困層のシンガポール人を診ていて気づくことには全く気づきません。
*1・・・私は、1人あたりGDP上はアジア一になったシンガポールが(GDPが完璧な指標ではないことは百も承知の上で、→『「幸福度」をGDP算出に』)今後も成長を続ける上で一番障害となるのが、「多国籍企業に雇用されやすい人材」をつくるという国の教育政策ではないかと思っています(こちらこちら参照)。 これって他国でもマネできる陳腐化しやすいモデルでは?
ところが、Aが見るシンガポールは「福祉のない国での貧困」です。

Continue reading