Tag Archives: 異文化

アイデンティティーとは何か。

海外在住の方、先週は日本から24時間流れてくるショッキングな映像を見ながら、心の一部がもぎ取られるような思いをしたのではないでしょうか?
特に普段あまり周りに日本人がいない環境で暮らしている人は、普段と何ら変わらない日常を送る周囲と東北の惨状とのギャップにショックと無力感を抱きながら、いてもたってもいられず募金活動などできることを始めた人が多かったようです。
最近、「日本脱出論」が盛んで、その中で海外在住の(特に日本に帰る予定がない)人に対して「日本を捨てたんだから日本人じゃない」的な発言をした人たち(*1)には、必死でチャリティーイベントを企画し実行している彼らの姿を見せてあげたい。 周りに日本人がいないということは、自分しかやる人がいないのです。「自分がやらなくても誰かがやってくれるだろう」はないのです。
*1・・・この種の人たちに対して古賀洋吉さんが切れてます→『日本に貢献すること、世界に貢献すること』
私が日本にいないのはこういう理由です→『20、30、50年後を想像しながら動く』
アイデンティティーって自分の「心がある」場所のこと、物理的な場所とは関係ないんですよ。 そのことを強く思い出させてくれた記事を紹介します。
ロンドン中の通勤客が読んでいるLondon Evening Standardという無料夕刊紙で、Ocado(*2)の共同創業者の1人Jason Gissingが日本への義援金を募ることにした経緯をインタビューで語っていました。
London Evening Standard: Ocado founder: I was about to get on a plane to Japan
*2・・・Ocadoとはロンドンで市場シェア50%以上を占めるオンライン食料品ショッピングサイト。 我が家の生活はOcadoなしでは考えられません。

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「国民性」など当てにならない

昔、「日本の携帯が世界最先端をいっている」と自他ともに認めていた頃、日本の携帯インターネットサービスを海外展開する仕事をしていたことがあります。
日本の携帯キャリアがデータ通信によってARPU(Average Revenue Per User、加入者1人あたりの売上)を伸ばす一方で、欧米キャリアは下がり続けるARPUに悩んでいました。 その頃、欧米でよく聞かれたのが、ユーザーが携帯を使ってネット・ゲームなど電話・SMS以外のことを「しない」理由を「文化の違い」に帰結するものです。
よく言われたのが、
– アジアは公共交通機関が発達しているから移動時間が長い。 車社会では携帯を見ながら運転できない。
– 大きな体のアメリカ人・ヨーロッパ人は、小さな携帯画面見ながら”ちまちま”するのは合っていない。
– 日本人はガジェット好き。
– 日本は特殊だ。
・・・etc.
あの頃から5年。
えーーー、ここロンドンでは猫も杓子もiPhone。 みんな小さい画面を覗き込みながら”ちまちま”やってますが???
スマートフォンは完全にキャズムを超え、携帯でネット・メール・ゲームetc.は日常の姿になりつつあります。
iPhone以前の携帯ネットサービスがユーザーの行動を変えるほど魅力的でなかった、携帯で何でも済ます文化は日本(or アジア)の文化的特殊性に起因するものではなかった、ことが露呈したのでした。

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爆走するイギリス・ユーモア

先日発表されたゴールデン・グローブ賞の司会を務めたイギリス人コメディアンRicky Gervaisのスピーチがやりすぎだ、と話題になっています。

ここで炸裂しているハリウッドのゴシップネタの半分もわかりませんが(ぜんっぜんわかんないですよね? 解説はこちら↓)、注目すべきはネタの内容ではなく出席している大物ハリウッド俳優の表情。
exciteニュース:「主催者は賄賂を受ける」ゴールデン グローブ賞の司会者がスパーク!
明らかに目が笑ってません(笑)。
アカデミー賞の司会でジョークを飛ばしたヒュー・ジャックマンについて以前『オーストラリア、ニュージーランドを笑う』で書きましたが、今回のハリウッド俳優たちをメッタ斬ったジョークはそんなに温かく受け入れてもらえなかったようです。

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日本の鉄道会社の事業モデルは海外でも有効か?

去年末に書いた『FeliCaがガラパゴス化した3つの理由 – 1』『- 2』にこんなコメントを頂きました。

以前から疑問に思っていたのですが、日本の鉄道会社、特に電鉄会社の経営形態って海外では関心が持たれたり研究がなされているのでしょうか。
インフラまで上下一体で維持していることや、公共交通なのになぜか自主採算出来ていること、車両や構造物まで多くのインハウスエンジニアによって共同開発されていること、そしてデパート・ホテル・不動産など幅広い関連産業によって日本の都市形成に大きな役割を持っていることなどです。

鉄道という長距離輸送手段の利用の仕方は文化や生活習慣に深く根付いたものなので、これも(最近お気に入りのコラム)『ローカリゼーションマップ』の考え方から分析できると思います。
1. アジア
中国のように人口が多く国が急成長しており、国民がどんどん中産階級入りしていく中で「全員が車に乗ったらたまらないよー」という国では日本の鉄道会社のような事業モデルは可能性があるのではないでしょうか?
実際、中国国内の鉄道建設は急ピッチで進められており、インフラ敷設が一段落し鉄道を主な交通手段とした生活が確立されるとともに周辺事業も育っていくと思います。
人民網日本版:2011年の鉄道投資は7千億元、新規事業70件

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経歴よりリファレンス

『なぜ家庭教師ならOKで家事代行はNGなのか?』に、多くの情報ありがとうございました! ネタ元の友人も喜んでいます。
さらに、その友人から、(私がお勧めする)直接契約に関し、

家庭教師の場合は大学名なんかが身分証明書代わりになるけど、シッターとかハウスキーピングの場合、身元確認とかスキルの確認とかかなり面倒くさそう・・・ (=「自分で判断」は初めから放棄してます)

とあったので、今日はこの点について。
ベビーシッターやクリーナーとの直接契約が一般的な社会でも自分で面接と経歴書(CV)だけで判断するわけではありません。 もっと大事なのが「リファレンス」です。
リファレンスとは「前雇用主からその人の働きぶりを聞くこと」です(具体的には、前雇用主の電話番号などコンタクト先を入手する)。 あらゆる採用で非常に一般的(というより必要不可欠)で企業が中途採用する場合もリファレンス(元上司や同僚・クライアントのコンタクト先)の提出を求めることがありますし、賃貸契約の際には家賃支払い能力を証明するために現職場と前家主の連絡先を求められます(→『外国人お部屋探しの高い高い壁』)。
日本と違って、「大学名」や「会社名」など身分証明にならないのですよ・・・ 経歴詐称する人なんていくらでもいるし、本当にその(有名)大学に在籍している(いた)としても多種多様な人が集まっているし(去年クリスマスに米航空機爆破未遂を起こしたのはロンドン大学卒、一連のテロ事件を起こしたオウム真理教幹部は京大出身者多数ではないですか・・・)

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Grandな結婚式 in マドリッド

外国人友達の結婚式に行くのが大好きな私。
今回はINSEAD時代の友達のニュージーランド人T(新郎)とスペイン人A(新婦)との結婚式に招待されてマドリッドに行ってきました(私たちの南スペイン旅行はそれに合わせたもの)。
INSEAD時代の友達の結婚式には世界中からゲストが集まるので(→『世界一国際色豊かなMBA』)、みな以下のような点に気を使います。
1. 日程のお知らせ(”Save the date”)と招待はとにかく早めに(1年近く前に)出す → 遠方の友人がバカンスを兼ねて来られるように。
2. 英語圏以外の国で行う場合も英語を含むバイリンガル(場合によってはトライリンガル)の進行にする。 
3. モダンな式・披露宴ではなく、開催地(通常は新郎または新婦どちらかの出身地)の文化が堪能できるような会場・料理をセレクト。 新郎・新婦が異文化カップルの場合、式や披露宴の進行はうまくミックス。
4. 遠方から来る友人のホテル予約や現地の慣習(プレゼント・ドレスコードなど)の事前連絡は念入りに。
5. 遠方から来る友人のためにフォーマルな式・披露宴と別にカジュアルなイベントを計画。
これ、全部やるのは本当に大変なのです・・・(私も2年半前に東京でやった時は大変でした、日本語を訳すのは全部私だったし)。
今回も上記すべて完璧に満たされていて、準備大変だっただろうなー
ひと言で言うとスペインの”grand”な式でした(grandって訳すの難しいですが、「威風堂々」ってイメージ)。

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Englishman in New York

今年の夏はとても天気がよかったのでピクニックなど戸外で過ごすことが多かったのですが(→『Ready mealでピクニック』)、そろそろ夏も終わり。 アートを満喫できることがロンドンに引っ越してきた理由でもあったので(→『ロンドンに引っ越します。』)、冬は美術館巡りに勤しみたいと思います。
さっそく、National Portrait Galleryに行ってきました。 National Galleryの横に追いやられて地味だけど、すごーーーくよかったな。
なかでも特別展の写真展“An Englishman in New York”は狭い部屋なのにそこだけすごい人口密度でした。 ニューヨークには12万人のイギリス人が住んでいるそうですが、写真家Jason Bellが有名人(Sting、Kate Winslet、Zoë Hellerなど)を含むさまざまな在NYイギリス人を撮影、「なぜニューヨークなのか?」の質問を投げかけたもの。
もう特別展自体は終わってしまいましたが、BBCサイトで写真の一部が見られます。
BBC : Englishman in New York
「なぜニューヨークなのか?」に対するそれぞれの答えを眺めていると久しぶりにエネルギー溢れるニューヨークに行きたくなってきました。
こちらが集まった言葉たち。

optimism(楽観主義), “can do” attitude(「できるよ」精神), hopefulness(希望に満ちた), energy(エネルギー), cosmopolitan(コスモポリタン), embracing(受け入れる), accepting(受容的な), ultimate meritocracy(究極の能力主義)

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文化の壁を超えるCM

イギリスにJohn Lewisという人気デパートがあります。
日本でも有名なハロッズセルフリッジら高級デパートより手が届きやすく、そのわりに品質も雰囲気もいいのでミドルクラスの心をがっちりとはさんで離さない店(LBS留学中のTWKさんいわく「伊勢丹とヨーカ堂を足して2で割った店」)。 オンラインショップも使いやすいので私もロイヤル・カスタマー。
そのJohn LewisのCMがとてもシャレているのでご紹介。

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ルーム・シェアのススメ

話題になったらしい『Chikirinの日記:就職氷河期 サイコー!』というエントリー。 私はあまり本筋ではない下記の部分にかなり同意です。

当面、若者はどんどん貧乏になるから、高い家賃が払えなくなっていやおうなくシェアハウスに住む人も多くなる。 ああいうところは、神経質すぎる人、清潔でないと生きていけない人、違う価値観の人と折り合えない人にはとてもつらい。
子供の頃から個室が当たり前で育った僕ちゃんは、このままではアジアでなんて絶対働けない。 でもお金がなくなるとそうはいかない。 いやでも住む場所を他人とシェアすることになる。 すると、性格がおおざっぱになり、雑多な環境にも慣れる。 そう、インドや中国でぐちゃぐちゃになりながら働くのに適した性格の人がいつのまにか増えるのだ。

留学時にハウス・シェアをしたことは今までやってよかったことTop 3に入るくらいなので、ルーム・シェア大推進派なのです、私。 欧米では若い人がシェアするのは当たり前なんだけど日本でもっと一般的になればいいのに。
私が留学したINSEADフランスキャンパスはパリの南60kmの森の中にあり、学生は近隣の村に家を借りてシェアし車通学するか、学校目前のアパートのワンルームを借りて徒歩通学するか、という選択がありました。
それまでひとり暮らしが快適で他人と(しかも外国人!)シェアをした経験がなかった私は、「気が合わない人だったらどうしよう? 夜中まで騒がれたり、超不潔だったら? 赤の他人の男と住むなんて・・・」とひたすら2ヵ月くらい悩みました、今となっては信じられないけど。

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個人社会と家族社会

新しい国に引っ越すと山のように事務手続きがあるんですねー
船便の家具もまだ届いていないので、落ち着いた生活はいつのことやら・・・?ですが、私たちは銀行口座や賃貸契約など重要な契約は共有名義にしています(おそらくそれが一般的。 →『ジョイントアカウント(共有名義口座)』)。
銀行の共有名義口座は誰とでも開けます、夫婦である必要は全くなし。 個人Aと個人Bがそれぞれ銀行と契約を交わすという性質のもの。
また、明文契約社会なので、賃貸契約は私が東京で交わしていた賃貸契約の5倍くらいボリュームがありました(賃貸人と賃借人の義務が細かく取り決められていて、「1年に1回は暖炉を掃除すること」「半年に1回は庭の木を剪定すること」など延々と続く)。
この「個人単位(別姓家族は普通) x サイン認証 x 明文契約社会」に慣れる過程で、日本の「家族単位(家族は同姓) x はんこ認証 x 暗黙の了解が多い社会」って特殊なんだなーといろいろ思い出しました(中国や韓国の例は知りません、ご存知の方はぜひコメントを!)。

NTTドコモの携帯電話のファミリー割引、同じ都内に住む弟(住所は別)とファミリー割引できないか聞いてみたらできるとのことで、「苗字が同じ」であることを証明すればよかっただけでした。 「苗字が同じ = 家族」という感覚が今思い返してみるとすごい。 5年前の話なので今もできるか知りませんが、苗字が同じ友達がいる方、試してみてください(ただし、請求書は1本なので月々の清算が面倒でした)。

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