我が家は夫婦ともに読書好きなのでインドでも本ばかり読んでいたのですが、久しぶりに身震いするような本に出会いました、『Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies 』
(日本語訳:『銃・病原菌・鉄』
)。 出会ったといっても夫が持っていた本なので、うちの本棚に眠っていたのですが(しかも、以前薦めたのに私が興味を示さなかった、と言っていた。 記憶にない・・・)。
以前、『映像でおさらいする20世紀』というエントリーで、以下のように書きました。
世界史を俯瞰するのは結構難しく、「1192(いい国)創ろう鎌倉幕府」のように「点」で覚えるだけでは十分でなく(というか意味がない)、大河なる流れのように一国の歴史を「線」で捉えるのはもちろんのこと、「1910年頃」と問われれば「日本では日露戦争が終わり韓国併合へと軍備拡張へ進んでいた頃、ヨーロッパは第一次世界大戦前のつかの間の平和、アメリカは大量生産時代の始まりによる経済大国への躍進」と「面」でイメージする必要があります。
その上、世界にはオスマントルコ帝国→ハプスブルク家→オーストリア・ハンガリー帝国→ソ連下共産主義と支配者が変わったハンガリーみたいな国(地域)がほとんどであり、それらすべてを俯瞰するためには、頭の中にGoogle Mapを持って自由に飛び回りつつ、それに時間軸がついている、みたいな四次元な世界を作る必要があるわけです。
「頭の中に、自由にズームイン・アウトしながら縦・横・斜めに自由に展開できる時間軸つきGoogle Mapを持ちたい」というのは、私の密かなる野望ですが、この本は20世紀どころか過去13,000年の人類の進化を地理学、進化生物学、言語学など専門知識を駆使しながら鮮やかに1冊で解くすさまじい本です。
著者自身の本書の要約は以下。
History followed different courses for different peoples because of differences among people’s environments, not because of biological differences among peoples themselves.
歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない。
タイトル「銃・病原菌・鉄」はヨーロッパ人が他大陸を征服できた直接要因を凝縮したものですが、なぜ逆(例えば、インカ帝国の原住民がスペインを征服する)ではなかったのか? 究極要因まで突き詰めて解き明かす、目からうろこだらけの本。
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