Tag Archives: 梅田望夫

就活中の学生へ – 1

こちらのエントリーにCREAさんからこんな質問をもらいました。

仮にla dolce vitaさんが今、大学生当時に戻れて就職活動をするなら、どんな業界を第一志望にお考えになりますか?

「私が今大学3年生だったらどうするか?」という視点と、就活を控えた大学生へのアドバイス、両方混じってしまうと思いますが何回かに分けて書いてみます。
1. 大学院留学をめざす
「就職活動をするなら・・・」という質問なのにいきなり何ですが(*注)、私が今大学3年生なら大学院留学を目指します、それもできるだけ自分が進みたい道のトップレベルの学生が集まる大学。 どんな分野であれ自ずからアメリカかイギリスになると思いますが・・・(→ Top 100 Universities
注:「就活中の学生へ」というタイトルなので、もちろんその話も近日中に書きますよー
以前『留学するなら大学? 大学院?』というエントリーで

「(英語圏でビザさえあれば)どこでも働いて食べていける」ようになるには、大学院より大学から留学した方がスムーズ

と書きましたが、それでも”Better late than never”(遅きに失してもやらないよりマシ)だし、分野によっては(理系とか)大学院からでも十分。
以下、私が大学院留学を目指すだろう理由。

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日本のベンチャーよ、世界を目指そう

渡辺千賀さんに続いて(→こちら)、梅田望夫さんまで「あー、言っちゃったー」です。

残念に思っていることはあって。 英語圏のネット空間と日本語圏のネット空間がずいぶん違う物になっちゃったなと。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3)
日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (2/3)
日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (3/3)
IT Mediaのこの記事、読んだ瞬間、「また炎上するだろうなー」と思っていたら案の定ネット上でバッシングされている模様。 池田信夫さんも取りあげてました(→『梅田望夫氏の開き直り』
気になったので梅田さんの記事で触れられていた『ウェブはバカと暇人のもの』を斜め読みしてしまった。 普通に読み物としては面白かったです(ブログをやっている身としては「ブログは一般人のどうでもいい日常」にドキッとした、笑)。
私自身は英語圏のネット空間も日本語圏のネット空間も必要と適正に応じて使い分けていて「物は使いよう」「ネットはあくまで道具」だし、ブログでいいことたくさんあるので「バカと暇人のもの」とはあんまり思っていないのですが、反応を見ていると、梅田さんが言わんとしているところと全然違うところに反応している人が多いことに気づきました。
「日本発でいいものができないってのか?!」
という趣旨で、ちょっと前の「日本はダメだ論」にすり替えられてしまっているものが多いような。
梅田さんの真意については海部未知さんの感覚が近いです(↓)。
Tech Mom from Silicon Valley:梅田氏と「アテネの学堂」

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ギークと普通の人の間

前も『海外就職における「日本の力」』に書いたのですが、梅田さんの「自分の力と時代の力」講演録は示唆に富むので、今日もそこから。

僕の場合は、「誰もやっていない新しいこと」というのに惹きつけられたために、当時の最先端であったITをやってきた

という箇所を読み思うところがありました。
私はずっと(最先端ではなくとも)先端テクノロジーをビジネスサイド(事業化・投資・アドバイス)からやっています。 だからといって先端テクノロジーが大好きかというとそうでもなく、『ガラパゴス化する日本』にも書いたとおり消費者としての私はアーリー・マジョリティー。 技術は『キャズム』を超えないと消費者としての私にはたどり着きません。
Wikipedia : キャズム(書籍)
今も周りがスマートフォンだらけになってきて、携帯(ソニエリのウォークマン携帯)は通話とSMS機能しか使っていない私もさすがに肩身が狭くなってきました(i-mode以降の携帯技術革新を経た日本と海外は全く状況が異なり、携帯の使い方だけは10年前に戻った感がある)。
基本的に男性が多い業界で、しかもギークとかガジェットオタクとか「3度の飯より技術(ガジェット)が好き」な人たちと比べると、私は技術もあまりわからないしすごい情熱もないし・・・、と肩身が狭くなることはしばしば。
そんな私がなぜこういうキャリアになってしまったかというと新卒で入社した総合商社での配属先がIT部門だったため(社内システムの部門ではなく事業領域としてのIT)。

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豚インフルと群衆の叡智

豚インフルエンザ(*1)が猛威を奮っています。 私の周囲でも弟がメキシコ旅行をキャンセルしたり、Mさんの来週に迫った結婚式にアメリカから来るはずのゲストが出席をキャンセルしたり、余波が広がっています。
*1・・・インフルエンザA型に名前が改められたらしい。
REUTERS :豚インフルを「インフルエンザA型」に変更、食肉産業に配慮=WHO
そして思い出したのが、以前読んだ『The Wisdom of Crowds』(日本語訳:『「みんなの意見」は案外正しい』)。
この本は、一握りの天才や、専門家たちが下す判断よりも、普通の人の普通の集団の判断の方が正しい、という爽やかな内容なのですが、一番面白かったのが、情報技術の発達により情報が即座にシェアできるようになり、SARS撲滅のために世界中の科学者が協力して以前の伝染病発生時には考えられなかったようなスピードでウイルス発見できた、という話。
SARSウイルスの発見は、WHOの主導でフランス、ドイツ、オランダ、日本、アメリカ、香港、シンガポール、カナダ、イギリス、中国の各国にある研究所に、ウイルスの発見、分析に協力するよう求めたことがきっかけとなり、国際プロジェクトが発足。 文字通りround the clock(24時間体制で)で研究した結果(1日が終わると研究者はその日の結果をシェアし、起きているタイムゾーンにいる研究者がその結果を利用しながら続ける)、その1ヵ月後には、コロナウイルスがSARSの原因であることが解明されたそう。
今も全く同じことが世界の伝染病研究者の間で行われているのだと推測します。 ウイルスの撲滅は彼らの手にかかっている。
もちろん被害にあった人は大変お気の毒なのですが、私は伝染病研究には何の知識もネットワークもないけど、「もうすぐ発見されるからね!」と勝手に思っている。 どうなんだろう?

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海外就職における「個人の力」

昨日が日本人の海外就職における「日本の力」だったので今日は「個人の力」の話。
梅田望夫さんの「自分の力と時代の力」講演録にはこうあります。

非常に能動的で積極的で勉強しようと思っていて、一生懸命生きようと思っている人たちにとっては、その人生を助けてくれる道具がものすごく充実していて「自分の力」の増幅装置になる。 かりに「時代の力」が衰微していても、ミクロに見れば、いろんなオポチュニティが目の前にあるわけだから、そういうところを「自分の力」でこじあけていける。

この「個人の力(梅田さんは「自分の力」と書いていますが)の増幅装置が充実している」という点については、私がINSEADを卒業したわずか5年前に比べてもそうなってきている、と感じます。
その話の前に、増幅装置はあくまで増幅するためのものであり、もともとが小さければ増幅幅も小さいです。
『勝間和代の日本を変えよう』に、

いま日本で年収1,000万円もらっている人がアメリカで就職しても10万ドルもらえない

とあって、その通りだな、と思いました。 これは英語が完璧に使えるとして、スキル・学力・ノウハウがそのままの前提での話です。
日本は就職した企業(日本企業の場合、多くが新卒入社)の業界とその企業の業界内での位置、プラス年齢でほぼ年収が決まるので、大手企業で課長レベルになれば(都市銀行・証券、総合商社は課長にならなくても30代前半で)年収1,000万超えますが、その中で、アメリカじゃなくてもヨーロッパでもシンガポールでも10万ドルの価値がある人は少数だと思います。

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海外就職における「日本の力」

最近めっきり更新が減って寂しい梅田望夫さんのブログですが、『「自分の力と時代の力」講演録』というエントリーにあった「時代の力」と「自分の力」の捉え方が私が今までひしひしと感じてきたことと非常に近いので経験を重ね合わせながらご紹介します。
とてもいい講演録なので、ぜひ全文読んでください、なのですが、以下関係部分だけ要約です。

梅田さんがシリコンバレーに移住した1994年は3つの「時代の力」が渦巻いていて、「時代の力」に押されるようにやってきた。
1つめは世界経済の状況。
2つめは「日本の力」(80年代後半はジャパン・マネーが席巻し、日本という国や日本企業の力をバックに、大きな仕事をして人脈を作ったりすることができた)。
3つめは「技術や産業の力」(ITは昔に比べ成熟し、時代の力は弱まっている)。
昔に比べ、これからシリコンバレーに移住しようとしている日本人を取り巻く「時代の力」は総じて弱まっている。

3つの「時代の力」が弱まっているという話は納得ですが、1.は全世界的に当てはまるし、3.はIT産業に特化した話なので、日本人が海外で就職したいときに、2.「日本の力」がどう変化してきているかについて私が実際感じてきたことを。
日本で生まれ育った日本人の海外就職(アシスタント職ではなく、メインストリームを対象)にはいろいろなパターン・タイミングがあります。
1. 大学から海外でそのまま現地就職(続いてMaster, PhDなど取得した場合もここに含む)
2. 日本で就職し数年経った後に大学院留学し、現地(または他の国で)就職
3. 日本企業から海外駐在し現地で転職
4. 日本で働いた後、自力で海外に渡り就職
その他にもありますが、私が一番詳しいのは2.のケースでMBA取得直後にそのまま海外で職を見つけるケース(私自身は2.ではなく4.)。

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パラダイムシフト真っ最中のメディア

これはすごい・・・
スタンフォード大学がiTunes上で大学の講義やゲスト・スピーカーのスピーチを公開しているStanford on iTunes U
以前、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』MITのOpenCourseWare(*1)の存在を知り、「こりゃー、すごい時代がきたもんだ」と思って面白そうなものを探してみたことがあるのですが、素人には授業のシラバスや一部講義ノートだけあっても使いにくく結局利用しなかったことがあります。 なお、インドではMIT OpenCourseでシラバス(講義計画・内容)を無償入手し、その内容に沿って先生が授業を行っていたりするらしいので、きちんと使いこなせる人には限りなく有用なツールなのだと思いますが。
*1 : OpenCourseWareとは大学や大学院など高等教育機関で正規に提供された講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動(Wikipedia : オープンコースウェア)。
ところが、このiTunes Uでは、超一流教授陣やスピーカーの講義をタダで聴けるのです。 何から聴けばいいか迷いに迷ってしまうほど充実した内容(バークレー、MIT、デュークにもあるそうですが、スタンフォードだけですごすぎて他の大学までチェックできず)。
以下、一例。 Stanford on iTunes Uからのリンクのたどり方を書いておきました。 PC上にiTunesがインストールされている必要あり)
Business –> Social Entrepreneurship –> Muhammad Yunus(『グラミンフォンという奇跡』、ノーベル平和賞のムハマド・ユヌス氏)
Science and Technology –> Environmental Science –> Al Gore(『不都合な真実』、ノーベル平和賞の米元副大統領アル・ゴア氏)
さすがスタンフォード。 すばらしい布陣ではないでしょうか?
英語の勉強にもなりますので、ぜひどうぞ。 ニュースよりゆっくりなので聴きやすいと思います。

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「一身にして二生を経る」時代に生まれて

長らく私の「読みたい本リスト」に載っていた梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく – いかに働きいかに学ぶか』をようやく読みました。
書評としては遅すぎる気もしますが、better late than neverということで。
本の中で何度も出てくる「一身にして二生を経る」はウェブ時代という時代の大変革の最中にある現代を幕末から明治に生きた福沢諭吉になぞらえた言葉(下記、本より引用)。

福沢諭吉は、『文明論之概略』の緒言の中で、幕末から明治への変化について、「恰(あたか)も一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」と表現した。福沢は、その六十六年の生涯の「最初の半分」(三十三年)を封建制の江戸時代に、「あとの半分」(三十三年)を明治維新の時代に、まさに「一身にして二生を」生きた。
ウェブ進化という大変化に直面している同時代の私たちの生涯は、「一身にして二生を経るが如し」だと思う。

その大変革であるウェブ時代とはどういう時代かは、今までブログで紹介した『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』『フラット化する世界』『富の未来』あたりを読んでほしいのですが、その変化が目に見え始める時期とその変化の影響を受ける世代について次のように評しています。

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Facebookのめまぐるしさとmixiのまったり感

『mixiとFacebook』に書いたとおり、私は2つのSNSを使い分けているのですが、最近Facebookがすさまじいです。
Facebookを使ったことのない方に説明するのは難しいのですが、まず、実名登録です(最近新しくなったインターフェースはこんな感じ)。facebook.jpgそして、学歴、e-mailアドレスなどの連絡先も公開し(オプションだと思いますが、実際ほとんどの人は公開している)、political views(政治的見解、liberalとか)やreligious views(宗教観)までベーシックプロフィールに含まれているのが米国発祥らしい。 プロフィール写真もほとんどの人が自分の顔写真。
何がすさまじいかと言うと、私のトップページには次々と私の友達がFacebook上で行ったアクティビティが表示されます。 例えば・・・(以下、今の私のトップページに実際に現れている文章。友人の名前は実際はフルネーム表示ですが、イニシャルにしています。かっこ内は私のコメント。)

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MBAはビジネスの共通言語

最近、2人の著名ビジネス本著者がMBAについて同じ趣旨のことを言っているのを読みました。
1人目はもはや時の人となった勝間和代さん。 『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』の中で次のような趣旨のことをおっしゃっています。

ビジネス思考力をつけるには最低限の知識をつけたうえで、新しいフレームワークを頭の中で積み上げること。
最低限のフレームワークを手っ取り早く手に入れる方法として、欧米のビジネスの現場で重宝されてきたのがMBA。
MBAは知識を得るところというよりは、思考法を訓練するところ。
コンサルティング会社にはMBAを持っていない人のための研修があり研修日程はわずか3週間。 思考法の訓練はOJTで行うので知識だけであれば3週間で十分。
逆に言うと、必ずしもMBAに通わなくても、OJTのなかで、ビジネス思考力の習得は可能’

もう1人は『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』で感銘を受けて以来、ブログをいつもチェックしている梅田望夫さん。
ブログ My Life Between Silicon Valley and Japanウェブブック 「生きるための水が湧くような思考」「精緻なMBAカリキュラム」”自家製”の勧めの中で、

今は、知の言語化がおそろしいスピードで進み、書籍ばかりでなくネット上にさまざまな叡智が無償で溢れかえり(しかも検索でき)、専門家の存在も発見でき、勉強の成果をブログなどで自由に発表できる時代

なので自家製のMBAカリキュラムを作れる、
と提案されています。

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