Tag Archives: 映画

パパは精子ドナー

『カリフォルニアを見よ』の続き。 カリフォルニアですでに起こっていていずれ日本にもやってくるかもしれないメガトレンドについてです。
もう1年以上前に偶然見つけて観た”Song of a Sperm Donor”という題の短いドキュメンタリーフィルムが忘れられません。 12分弱の短いフィルム(英語)なのでぜひ観てみてください。

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Gekkoのカムバック

シンガポールからロンドンに引っ越して来るフライトの中で観た映画が1987年公開の『ウォール街』でした。 マイケル・ダグラス演じる金の亡者Gordon Gekkoの”Greed is Good.”, “Money Never Sleeps.”など名言(?)を生んだあの映画、あれから20年以上経って世界はデジャヴをみたのかな、と思ったものです。
YouTube : Wall Street – Trailer (1987)
するとオリバー・ストーンが続編を撮ってたんですね、イギリスではもうすぐ公開。 主演はもちろんマイケル・ダグラス。

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Julia ChildのBoeuf Bourguignon

一般的に男性の方が女性より(その対象が何であれ)オタク度が高いのではないかと思う。
私は特に何でも興味を持ってしまう代わりに興味の対象が散漫になりがちで昔から極めてオタク度が低い、一方で夫の方はマイブームが比較的深く長く続くようです。
その特性が適切な方向に向くと、とてつもない恩恵を受けられてしまった、というお話。
義母は昔ル・コルドン・ブルーでディプロマを取ったとかで家でスフレとか焼いちゃうし(家でスフレって焼けるのね・・・)、義父もこちらの通りのグルメ、という恵まれた食環境で育った夫ですが、独身の時はパスタのソースを(買ってくるのではなく)自分で作る程度でした。
結婚後、なぜかみるみる料理に目覚め、旅行先の料理(スパニッシュ→イタリアン→南インド)に片っ端からはまっていきました。 ところがシンガポールは食糧自給率が5%くらいというお国なので、とりわけ西洋料理食材は高く(質の高いものはオーストラリアから航空便で輸入している)、鶏肉以外の肉は目玉が飛び出るほど高かったので、夫の不満は募るばかり・・・(& 我が家にはオーブンがなかったのが致命的)。
ロンドンに引っ越すことが決まってからは、「オーブンで○○作るんだ! △△も作るんだ!」と食べ物の話ばかりしてたし、家探しの際には一緒に近所のbutcher(肉屋)も探してたし・・・(苦笑)。
そんな彼の料理ブームに見事なタイミングでヒットしてしまった映画が(日本でも上映中?)『ジュリー&ジュリア』

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待ってました!『キャピタリズム』

capitalism_michael_moore.jpg前にちょこっと書いてますが(こちらこちら)、私、マイケル・ムーア監督は結構好きです。
「隣のおじさん」的な出で立ち(*1)でアメリカ社会の本質を鋭く突いていてアメリカへの愛を感じるし、トピックへのアプローチの仕方が上手くてタイムリーで編集もユーモアが利いている。 多少論理の飛躍とメッセージの偏りが激しいけど、それはアナリスト的な見方で、良質のドキュメンタリー x プロパガンダ x エンターメント映画と見ればかなり楽しめます。
*1・・・私はあの肥満体と服装に気にかけないのも、一般アメリカ人に親近感を抱かせる演出かと前から思っているんだけど、勘ぐりすぎだろうか?
私は去年の9月、リーマンとAIG崩壊のニュースをおろおろと見ながら(→『米金融、未曾有の危機』)、「マイケル・ムーアの絶好の題材がキタ!」と思ったので、ちょうど1年後に“Capitalism : A Love Story”(邦題:『キャピタリズム – マネーは踊る』)としてビシリ!とまとめあげて公開した彼を尊敬します(日本では来年1月に全国公開)。 情勢が流動的なのでストーリー・ラインを考えながら(とはいえ、時系列なのでストーリーはそれほどない)、題材を集め編集していく作業は相当のプロジェクト・マネジメント力を要求されることは想像に難くなく(→と酒井譲さんも同じ感想)、ああ、ドキュメンタリー映画の監督って大変だけど楽しそう♪

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しびれたダンス・シーン

えーん・・・ パトリック・スウェイジが亡くなってしまった。 すい臓ガン、57歳。
闘病中だったことも知らなかったのでショックです。
日本ではデミー・ムーアと共演した『ゴースト』の方が有名かもしれないが、私にとっては『ダーティー・ダンシング』で決まりです。
中3の時に、クラスのマセた男の子が『ダーティー・ダンシング』を観て以来ダンスにはまっていて、ビデオを貸してくれて観たのが初めだっけな? 純真無垢なお金持ちのお嬢様と不良っぽいダンス・インストラクターの恋物語というチープなストーリーなのに、パトリック・スウェイジのエロいダンス(dirty dancing)が刺激的で、とにかくダンス・シーンが素晴らしい映画でした。
特にラストのこのダンス・シーンは何回観たかわからない(埋め込み不可なので下記リンクからどうぞ)。
Dirty Dancing – Time of my Life (Final Dance)
初めて観てから15年以上経って、このYouTubeのビデオクリップを何度も見ていた時期があったのですが、理由はレセプション(披露宴)でのファースト・ダンス(*1)。
*1・・・欧米ではレセプションの後のダンス・パーティーの始まりに新郎新婦が結婚後初めてのダンスをゲストの前で披露するという伝統がある。
東京とメルボルンの2カ所で結婚式と披露宴をした私たちは、メルボルンではあまりひねらずオーストラリア式(イギリス式?)にしたのですが、欧米式の披露宴ってスピーチ以外は余興がないので(宗教によってはあるのかも)、プログラム上であまり工夫の余地がないのです。 ただ、会場の椅子につけるリボンの色とか全部自分で選ばなければいけないので、カラーコーディネートなどにこだわりまくるBridezilla(= Bride + Gozillaの造語)と呼ばれる花嫁も存在する。

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激動イランを生きたロックな女の子の物語 – ペルセポリス

京都というのはとにかく学生が多い街だったけど、クラシックな純喫茶、客が入っているのか心配になる映画館などサブカルチャーで溢れた街でもありました。 京大は私がいた頃はまだ度々角マル派と中核派(左翼の各派)がバリケード張ったり、拡声器を持って授業妨害に来ていたりしてアングラな雰囲気が充満していました(さすがにもうなくなった?)。
アングラとは程遠い私ですが、そんな京都の雰囲気に毒されたのかミニシアター系映画だけは大好きでよくひとりで見に行ってました。 勢いあまって、インディペンデント系映画配給会社に就職内定もらったくらいです。 みなみ会館などミニシアターや関西日仏学館・イタリア会館など文化機関が充実していて本当に文化の都だったなー 懐かしい・・・
ところが、以前も『都市の文化度』というエントリーで愚痴った気がしますが、シンガポールはエッジー、アングラ、キッチュ、スタイリッシュあたりの形容詞とは無縁の国で、ミニシアター系映画の公開はほとんどありません・・・
persepolis.jpgが、こういうときに頼りになるのが、フランス政府の公的文化機関であるアリアンス・フランセーズ(alliance francaise)。 当然フランスものに限られてしまいますが、常時質の高いイベントが開催されており、世界へフランス文化を普及させようとするその熱意には感服。
・・・と、前置きが長くなりましたが、2007年カンヌで審査員賞受賞、2008年アカデミーで外国語映画賞にノミネートされた『ペルセポリス』をアリアンス・フランセーズで観てきました(みなさん、とっくにご覧になったかもしれませんが)。

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『そんな彼なら捨てちゃえば?』?

こう見えても私、ラブコメ好きです。
しかーし、この邦題では一瞬同じ映画だとはわからなかった、『そんな彼なら捨てちゃえば?』
原題は”He’s just not that into you”です。 つまり直訳は「彼はあなたに気がないだけ」。
30も過ぎると誰にでも「あれは私が○○したから嫌がられちゃったのかな?」「私が○○なんてしなければ・・・」と昔思い悩んでいたことが、実は「単に相手にそんなに気がなかっただけ」という極めて単純明快な事実以外の何者でもなかったという過去が1つや2つ、3つや4つ・・・あるでしょう。
“He’s just not that into you.”というのは、そんな無意味な悩みに明快で現実的な(しかも真実の)答えを与えている素晴らしいアドバイスなのに(そして一般的にこういう冷静なアドバイスをくれるのは男友達である)、なぜ日本語になると「そんな彼」とまるで「悪いのは彼」みたいな表現になってるのか???
そんなに若き女子を甘やかしていいのか、日本の映画界?(いや、たぶん原作の本の邦訳が出たのが先だから、日本の出版界か?)
でも映画そのものは、なかなか上出来のラブコメでしたよ(くれぐれもラブコメ嫌いは見ないでください、笑)。 こちら予告編(↓)。

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イギリスで新たなスター誕生

友達のmixi日記で知った。
すでにネット上ではすごいことになってますね。
“Britain’s Got Talent”という“American Idol”のイギリス版TV番組オーディションに出たSusan Boyleというおばさんのお話。 47歳、スコットランド出身。 曲は私の一番好きなミュージカル『レ・ミゼラブル』の”I dreamed a dream”。
YouTubeの画像埋め込みができないので、リンクから見てください、損はさせません(笑)。 歌う前の審査員と聴衆の反応に注目。
YouTube : Susan Boyle – Singer – Britains Got Talent 2009 (With Lyrics)
『日豪ユーモア考』というエントリーでイギリス系の国のユーモアセンス(= sarcastic、ブラック)について書いたのですが、もうひとつの特徴としては、underdog(負け犬)が事前予想に反して勝っていく姿を応援するのが大好き、ってことでしょうか。
私の好きなイギリス映画もすべてこのunderdogが勝ち上がっていく物語かも。
– スラム街で育った少年がクイズ番組で勝ち上がる『スラムドッグ$ミリオネア』
– イギリス北部の鉄工所を解雇された中年男6人組がストリップショーを始める『フル・モンティ』
– 女子のものとされていたバレエでプロを目指す少年の物語、『リトル・ダンサー』
– 父の急死で靴工場をつぐことになった主人公が孤軍奮闘する『キンキー・ブーツ』
susan_boyle.jpg彼女のプロフィールは、もーまさにピッタリ。 
– 見ての通りの容姿(眉毛、何とかしようよー)
– 無職、教会のボランティアワーカー
– 独身(猫と住んでいる)、結婚経験なし、キスの経験もなし

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オカマの日

今日はオカマの日。
知らない人でも、日本人ならちょっと考えると「あーー」とピンとくると思いますが(こない?)、3日3日が女の子の日、5月5日が男の子の日なので、真ん中の4月4日はオカマの日。
ついでに私の誕生日。
・・・と、私は小さい頃からからかわれて育ったので、オカマの日はけっこうメジャーだと思っていたら実は知らない人が多いので、局地的な流行語だったのかもしれない。
なので、初めてググってみました。
betty's_mayonnaise.jpg大阪のミナミを代表するニューハーフパブ「ベティーのマヨネーズ」(右の写真)が1985年4月4日にオープンし毎年イベントを開いたことから広がった(関西限定?)のだそうです(『今日は何の日』より)。
ベティーのマヨネーズ・・・ローカルすぎましたね・・・
混同しやすい以下の4種類をまとめておさらい。 特に当事者の前で間違えて使うとヒンシュクを買うのでご注意。
1. Transvestite・・・異性の服装をする人。 e.g. 映画『キンキー・ブーツ』のローラ
2. Homosexual (Gay, Lesbian) ・・・同性愛者。 e.g. 主演のショーン・ペンがオスカー受賞した『ミルク』のハーヴェイ・ミルク
3. Gender Identity Disorder(性同一性障害)・・・「体の性」と、本人の自覚する「心の性」が違う状態。 e.g. 主演のヒラリー・スワンクがオスカー受賞した『ボーイズ・ドント・クライ』のブランドン
4. Transsexual・・・性同一性障害の中でも特に強く手術を受けたいと願う人。 e.g.『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』のヘドウィグ
言うまでもありませんが、この4種類はmutually exclusiveではないので複数に該当する人もいるし、これら呼称を嫌う人もいます。 オカマは広義の1. Transvestiteの俗称ですね。

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オーストラリア、ニュージーランドを笑う

話題が古いですが、先日のアカデミー賞で司会をつとめたヒュー・ジャックマンのオープニング・ショーがよかったと聞いたので、YouTubeで見ました。

ヒュー・ジャックマンはこちらで紹介した映画『オーストラリア』主演で、米ピープル誌に”世界一セクシーな男”に選ばれた超イケメン俳優なのですが、ひとりでここまでやるとはあっぱれ。 すっかりファンになりました。
彼のオープニングのブラックジョークが効いてましたねー

I am an Australian who played an Australian in a movie called “Australia”.
(私は『オーストラリア』という映画でオーストラリア人役をやったオーストラリア人です。)

と、自己紹介した上で、

Everything is downsized because of the recession. Next year, I’ll be starring in a movie called New Zealand.
(不況のせいですべてが縮小されています。 来年は、『ニュージーランド』という映画で主演します。)

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