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屈指の『未来に備える本』と言える『ワーク・シフト – 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』
から気になった箇所をいくつか。
イケダハヤトさん(@IHayato)のブログ『「死ぬまで働く」時代の「カリヨン・ツリー型」キャリアについて』でも引用されている「カリヨン・ツリー型」キャリアが私にも響きました。
今後主流になるのは、いくつもの小さな釣鐘が連なって職業人生を形づくる「カリヨン・ツリー型」のキャリア。 精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていくのである。
これからは富士山型ではなく「八ヶ岳連峰型の人生観じゃないと、人生後半がさみしくなりますよ」とある日経ビジネスオンラインのこの対談も趣旨が似ています。
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昨日の続き。
2. 複雑な料金体系を瞬時に暗号処理
もうひとつのFeliCaの強みは複雑な料金体系を瞬時に暗号処理できるカードOSでした。 首都圏の電車・地下鉄は相互に複雑に路線乗り入れしており、複数の鉄道会社の乗車料金清算(営団と都営を30分以内に乗り継げば割引清算など)が必要です。 また乗車距離(キロ数)に基づく料金体系に加え、数多くの例外があります(基本は乗車距離によって料金が上がるが、首都圏だけは例えば東京駅から新宿駅へ行くのに中央線に乗っても山手線に乗っても同料金)。 各種割引もあります。 ところが、これはおそらく世界一複雑な料金体系。
ロンドン地下鉄はゾーン制で遥かにシンプルですし、NYやパリ地下鉄に至っては均一料金です。 ここでも日本や他アジア国で評価された強みは欧米ではオーバースペックでした。
3. 顧客の理解力と求めるもの
上記のように世界一ハイエンドな公共交通システムを持つ日本において交通事業者は優秀な技術系学生の就職先でもあります。 2010年にはJR東日本が理系男子学生の就職先人気企業9位にランクインしています(→『大学生が選んだ就職先人気企業ランキング2010』)。 交通事業者が人気就職先ということは欧米各国ではおそらくありえない、多くは政府や自治体が運営するインフラ事業者でさまざまな規制の対象で、JR東日本のようにインハウスで最先端の技術開発ができるような部隊はいません、日本独特のメーカーからの出向もない。
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10 Comments | tags: ガラパゴス化, ソニー, テクノロジー, 日本企業 | posted in 4. 教養・知識, IT・テクノロジー, 日本
先週以来、寒波に襲われているヨーロッパ、雪のパリに遊びに行ってました。
パリ話はさておき、日経ビジネスオンラインの連載『異文化市場で売るためのモノづくりガイド「ローカリゼーションマップ」』のコラム『「腑に落ちなくても従う」、パナソニックの欧州白物家電戦略』にデジャブ(既視感)すら感じました。
ヨーロッパで白物家電(冷蔵庫と洗濯機)を売ろうとしたとき、日本やアジアで評価されたコンセプトが、全く評価されなかった。 日本で最先端である「ななめドラム洗濯機」や「多ドア冷蔵庫」といった商品を持ち込めば、イノベーションとなることを想定していたが、大きな文化的・生活習慣面でのバリアがあった。
冷蔵庫は家電ではなく「冷えるキャビネット」でインテリアの一部。 一方、洗濯機は機能品質重視でおばあちゃんの時代からの信頼性がモノを言う・・・
コンシューマーエレクトロニクスの世界で現地ユーザーの使い方や文化的コンテクストにフィットしない商品を持ちこんで、日本でアピールする機能を謳っても売れないことは容易に想像ができます。 が、これはコンシューマー製品だけではなくB2B製品でも同じなのです。
以前、こちらで私が昔ソニーに勤務していたことを書きましたが、ソニーでは花形のコンシューマーエレクトロニクスではなく、(今は”Suica”などで日本の欠かせない生活インフラとなった技術)FeliCaの部署にいました。 FeliCaを海外展開させるのがミッション。
野村総研が「日本のガラパゴス化現象の例」として非接触ICカード(FeliCa)をあげ、「ガラパゴス化」という言葉を生み出した時より5年以上前の話です。
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日を経るごとに「まずいなー、まずいなー」とハラハラしていたトヨタ問題、結局米下院での公聴会までBBCで生中継で観てしまいました、全部は観なかったけど。
豊田章男社長が自ら(猛獣のごとし、海千山千の)下院議員の前に出て真摯な対応を見せたことでバッシングの嵐はひとまず過ぎた感がありますが(これからは損害賠償訴訟の嵐か?)、今回の件はすべての(日本国外でビジネスをする/しようとしている)日本企業は魂の底から震え上がり、即刻、自社の研修システム・人事制度などもろもろを改革するきっかけになるほどのインパクトを持っていたのと思うのですが、日本ではそういう機運や報道になっているんでしょうか?
1. 日本企業全体が不審の目で見られた
最もまずかったのは欠陥車の製造により事故を起こしたことではなく、それが判明した後の初動の遅さと対応の悪さだったのだが、トヨタに限ったことではなく日本企業全体のコーポレート・ガバナンスの欠陥と認識されてしまったのが、まずかった。
この点に関してはThe Economistが簡潔・明快にまとめているので以下に要約(The Economist : Accelerating into trouble)。
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さて、昨日書いた「統計や金銭価値だけを基に自分のキャリアを決めてはいけない」という路線を基本に、第一弾の続きです。
2. 自分のスキルや責任の幅が高速で伸びる会社で働く
「就職活動するなら・・・」というCREAさんの質問に答えると、若いうちから権限を与えられ、社外で活きるスキルが伸ばせて、なおかつ成長している業界の成長している会社、「会社の成長に従って自分も自然と成長できる」ような環境が理想。
大学院留学を目指すとしても、MBAの場合社会人経験が必須なので(最近アメリカの大学は新卒MBAもあるけど)、その間のキャリアや、新卒就職だけでなく転職の際の基準も同じです。
逆に避けるべきは、従業員の高齢化が進み、40歳以上の使えない中間管理職が大量にいて、何層もの意味のないヒエラルキーがあり(課長・課長補佐・課長代理・主務・主任・・・と延々続く、みたいな)、その人たちは保身のための社内政治に時間を捧げているため、膨大な量の仕事が数少ない若手に振ってきて若手は長時間労働により疲弊、若手に権限はなく上が詰まりすぎて出世の見込みもないような会社。
私の友人にも毎年就職人気ランキングに登場するような大企業に勤めていて、30過ぎても後輩が入らず、部署には中間管理職が溢れ、人員削減のため雪だるま式に膨れ上がる主要業務に加えて、派遣の事務職を減らしたことによる雑用の増加、度重なる組織変更・人事異動のたびに開催しなければならない歓送迎会の幹事・・・その他もろもろの業務で月の残業時間が恒常的に100時間超え、というケースも。
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うーーん・・・やっぱり・・・
2008年秋、リーマンショック直後に野村證券がリーマン・ブラザーズの「アジア太平洋部門」「欧州・中東部門」を買収したとき、『グローバル企業への転身なるか?』というエントリーで次のように書きました。
個人的にはリーマンと野村証券の文化の違いは、(合併して9年の後)失敗に終わったダイムラーとクライスラーの文化の違いより大きいのではないかと思っています。
特に野村証券が獲得したかった(のであろう)リーマンのフロントオフィスのプレーヤーともなれば、自分の腕一本で業界を渡り歩くのは当たり前(時によってはチーム毎ボスについていく)。 前述の記事にも書いてありますが、野村をとりあえずの失業保険代わりにしながら転職活動をするのではないか、と。
今回のエントリーはこのフォローアップですが、リーマンからの人材流出ではなく(流出もしているようだが)、女性差別の話。
ちょっと古いけど(去年7月)、こちらWall Street Journalの記事(黒川清さんのブログで知りました)。
WSJ : Nomura Stumbles in New Global Push
- 男性と女性を別にして新人研修を実施し、女性だけに髪型や服装、お茶の注ぎ方の研修を行った
- ジャケットの下に半袖ワンピースを着ていたら「服装がふさわしくない」としてトレーディングルームから家に帰された
- 旧姓のままのE-mailアドレスを使っていた女性従業員のE-mailアドレスを人事部がどちらを使いたいか本人に確認せず結婚後の苗字に変えた
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昨日のクロネコヤマトに引き続き、『ユニクロに続け! 隠れた日本のスーパー企業』の中からスープストックトーキョーについて。
外食産業の海外進出はローカライズが難しいかもしれないけれど、スープストックトーキョーはコンセプトは他にも思いつく人いると思うし(実際、似たような業態の店はある)、競合も激しいジャンルなのですが、executionが素晴らしい。 「無添加、食べるスープ」を週替わりで多種類、あそこまで高いレベルで実現し続けるチェーンは存在しません。
私はスープストックトーキョーのもろターゲット層、「首都圏で働く女性」で「ひとりで落ち着いてランチができる店」がないなー、と思っていたので、かなり初期の頃からのファンでした。
さて、海外進出するのであれば、狙うべき層は「デスクでサンドイッチを食べる大都市のホワイトカラー」です。 日本で言うなら、会社でコンビニ弁当を食べる感覚でしょうか? とにかく大都市の欧米人はサンドイッチ@デスク族がめちゃくちゃ多い。 私の職場の欧米人もほぼ全員そうですし、夫の職場もそうです。
日本ではランチにサンドイッチとは女性的というかお腹にたまらなさそうな印象ですが、欧米人は男女関係なく食べてますねー ロンドンではPRET A MANGER(日本に進出した記憶があったんだけど、撤退してたんですね)、パリではPomme de Pain、PAULあたり(?)、シンガポールはCedele、米Subway、など都市によって異なりますが、お昼時は大賑わい。
ところが、本人たちはヘルシーなつもりなのか知らないけど、サンドイッチというのは栄養バランスが悪く高脂質、野菜不足になりがち(レタス 1枚じゃあねえ・・・)。
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9 Comments | tags: 国際競争力, 日本企業 | posted in 4. 教養・知識, 6. 健康・美容, 美食・グルメ, 日本
Newsweek日本語版サイトに在東京の外国人5人によるリレー・コラムがあって、私はその中の仏フィガロの記者レジス・アルノー氏の主張に共感することが多いです。
ちょっと古いけど、『ユニクロに続け! 隠れた日本のスーパー企業』という記事はまさに私が日々、夫にその素晴らしさをとうとうと語っていた企業が出てきました。
記事にはパリで大成功したユニクロ(*1)の他にも「外国人が評価する日本の企業の中には、世界規模になり得る企業はたくさんある」としてヤマト運輸の「宅急便」、TSUTAYA、ベネッセの「しまじろう」、スープストックトーキョーがあげられていました。
*1・・・JB Press : パリでユニクロに長蛇の列、入場制限も
この中でユニクロの素晴らしさ(あの価格であの品質は他にはない)は十分知られているし、シンガポールでも大成功をおさめ、夫も着々とユニクロファンになっているのでここでは触れません。 が、宅急便とスープストックトーキョーは私が口角泡を飛ばして常々その素晴らしさを語っていたのでした。
宅急便の素晴らしさを懐かしみ、涙を流してうらやましがらない海外在住日本人はいないことでしょう。
午前中から21時まで2時間刻みで時間指定できる、18時(だっけ?)までに連絡すれば当日再配達してもらえる、ウェブで細かく配達状況がわかる、近所のコンビニから手軽に荷物を発送できる、重ければ集荷に来てもらえる・・・
この基本サービスだけで感涙もの。
他の国では知らないけれど、シンガポールでは時間指定どころか午前・午後の指定すらできず配達日を一方的に知らされる業者が多いです。 朝から待てど暮らせど来ず、夜になって「明日でいいか?」と言われたこともあります。
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「アービトラージ」という言葉は「サンクコスト」と同じく日本語で言われても(「アービトラージ」の日本語訳は「裁定取引」)うまく意味が伝わらないなー、と思っていたのですが、最近そのままカタカナで使う例をよく見かける気がするので(例:「国際的制度アービトラージ」)、そのまま使います。
元々は「同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引のこと」ですが、広義には「国内と海外、現在と未来、既知と未知、需要と供給、欲求と充足、価値と無価値、過剰と不足などのギャップを埋める行為」でほとんどの経済活動はアービトラージから生まれたとも言えます。
今日はそのうち言語・文化のギャップを埋める言語・文化アービトラージャー(アービトラージする人)に絞ります。
よく「英語屋なんて英語だけで仕事ができないからダメだ」とか「海外で働く日本人のほとんどは日本企業か日本人相手の仕事をしている」と言語・文化アービトラージャーをバカにする人がいるのですが、「一側面しか見てないし、批判のポイントずれてるなー」というのが率直な印象。
まず、言語・文化アービトラージャーの需要は相互依存を強める世界経済の中で加速度的に増していると思います。 いわゆる「仕事」(技術開発・セールス・マーケティング・経営、etc.何でもいいけど)にプラスαで対象市場の言語・文化を理解しギャップを埋められる人は業界問わず求められています。
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今日は日本はお休みらしいので、休みの話。
それにしても、日本は祝日が多いですよねー、1年間に15日の祝日は先進国の中で最多です。 シンガポールは10日、イギリスは8日。
さて最近、友達の間でよく聞くのが「サバティカル」。
もともと「研究のための休暇」の意で、米国の大学などでは、7年に1度など定期的に、教育義務から解放された有給休暇が得られる制度があるんだそうです。 最近は企業でも長期勤務者向けの制度として1ヵ月程度取れるようになっているところが多く、MBA終了後ずっと同じ会社に勤めている友達などはちょうど今年で5年勤務なのでサバティカルを取っています(欧米では5年勤めると「長期」なのです。 前職の総合商社では同じ趣旨で「リフレッシュ休暇」なるものがあり、こちらは10年勤めて5日間の休暇だったっけな?)
梅田望夫さんが現在、自主サバティカル中ですね→『知的生産のプロとしての「サバティカル」の決意』。
サバティカルはだいたい2, 3ヵ月くらいの期間なのですが、過ごし方としては長期旅行する人もいますが、普段忙しくて集中してできない習い事・スクールに行くという人が結構多いです。
– 自分のルーツが中国なのに中国語がひと言も話せないということで、3ヵ月間北京に語学留学したMcKinseyシドニー勤務の中国系オーストラリア人
– パートタイムでNUS(シンガポール国立大学)の東南アジア学修士課程を受講していたが、修了するためにまとめてテストや講義を受講したBainシンガポール勤務の中国系シンガポール人
– Le Cordon Bleuロンドンでフランス料理を習得したBarclays銀行ロンドン勤務のブラジル人
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2 Comments | tags: バカンス, 日本企業 | posted in 5. 趣味・プライベート, バカンス