Tag Archives: 日本人

海外日本人をデータで見る

前にちょこっと書いたけど(→『若いアジア』)、私は統計大好きです。 ちょっと前のisologue『データを見ない人々』というエントリーに、

日本の99%くらいの人は、おそらくほとんどデータを見ずに(「観念的」に)仕事や生活をしてるはず

とあったので、「ひょえーー」と仰天したのですが、根拠を示さない観念的な話を聞くと「うーん、データで示してよね」と思ってしまいます。 統計は恣意的な使い方もできるし、統計で嘘をつくことも簡単だけど、そういうところも含めて面白い。
今日は私の好きな統計のひとつ、外務省の海外在留邦人数調査統計をご紹介。
「どんな国・都市にどんな日本人がいるの?」ってことが手にとるようにわかる(?)すぐれもの。 3カ月以上海外に在留する場合に届出が義務づけられている在留届を基にしているので、日本国籍を持つ外国の長期滞在者と永住者が対象。
ところでこの「在留届」、今はオンラインで届け出られるようになり、私はマメに届け出ているのですが、夫がオーストラリア領事館に出している気配はなし、制度がないのかも。 ひょっとして外務省(& 日本人)ってすごくマメ???
海外在留邦人とひとことで言えど、そのプロフィール(性別、職業、家族帯同状況など)は国によって都市によって全然違うのですな。 次に、シンガポール・イギリス・アメリカ 3ヵ国の海外日本人の性別と職業を円グラフにしてみました(暇だな、私・・・)。 この3ヵ国はこのブログのアクセスが多い3ヵ国です。

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成熟国出身者のキャリア戦略

私が働いているのはいわゆる”ブティック系”の経営アドバイザリーファームで、現在のメンバーはイギリス人2人、スウェーデン人、私。 共通点は、先進国出身、投資銀行・コンサル・MBAというバックグラウンドで世界各地で10年以上の職務経験あり(大企業で働いていた時代も長い)。
そしてクライアントは本当にいろいろな業界から成りますが、経営者は欧米人で出身国で何年か働いた後、転勤など何らかのきっかけでシンガポールに来て「これからはアジアだぜ」と独立した、というSME(Small and Medium Enterprise)が非常に多い。 よって、経営者は欧米人ですが本社及びアジア統括会社はシンガポールです(すでにグローバル展開している企業もこれからの企業も)。
こういう環境にいてつくづく思うこと。
これは、先進国で受けた高度な教育や洗練された & グローバルに通用するビジネスのやりかたをフルに活用しつつ、すでに成長が鈍化した成熟社会(自分の出身国)ではなく、成長著しいアジア市場の勢いに乗ろうというキャリア戦略。
中国を目指す欧米人友達の話は『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』に書きましたが、彼らは独身。 家族がいて子供の教育や生活環境を考えると確かにシンガポールはアジア市場をターゲットとする際、ベスト・オプション。
日本の高度成長期がそうであったように、右肩上がりの経済の中、企業の売上を拡大させるのはさほど難しいことではないのです。

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日本人女性のステレオタイプ in シンガポール

渡辺千賀さんの『アジア人女性のステレオタイプ in アメリカ』(=頭が良くてセクシー)を読みながら、「アジア人が多いのに、そんな単純でいいのか、アメリカよ」と思ってしまいました。
シンガポールはアジアなので、さすがにステレオタイプはもう少し国別に細分化されています。
そこで今回は「日本人女性のステレオタイプ」。
なお、ほとんど個人的な経験に基づいております・・・
まず、シンガポール人男性が日本人女性に対して持ってる幻想は「夫のために、めちゃくちゃ尽くす妻」です。
専業主婦で夫・子供のためにいっさいの家事を一人でこなし、ひたすら尽くす妻像・・・
私の夫の会社の後輩(シンガポール人)は、私が働いていて夫も家事をすることを聞いて驚愕したらしい。 いったいどんなテレビ見て育ったんだ・・・
その中でも私たちが「スリッパの謎」と呼んでいるものがあります。
これは私ではなく、夫がしょっちゅう聞かれる質問なのですが「日本人の奥さんは、夫が帰ってきたら玄関にスリッパを揃えて差し出すのか?」というもの。
夫は今まで5, 6回聞かれてるんじゃなかろうか?(私たちの結婚式で余興の司会をやった中国系マレーシア人には余興のネタにまでされた)
「スリッパの謎」の出所がわからずググったら台湾に住まれている方も聞かれるらしいので(→日本人の奥さんと台湾人の旦那さん )、アジアに広く出回っている風説と推察されます。
どうせアジアで大ヒットしたドラマかなんかの影響なんだろうけど、「おしん」と「星の金貨」しか思い浮かばない。 そんなストーリーなんでしたっけ???

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クイズ:中国人?日本人?韓国人?

超くだらないエントリー。
先週1週間はお盆ということで、シンガポールも街中に日本人観光客がいました。 お盆に夏休みを取るという習慣があまり変わってないんだなー、ということを感じる瞬間。
ところで(批判でもなんでもないですが)日本人観光客、特に女性は遠目に見てすぐわかります。 在住日本人は遠目に見てもわからないので、その差は何かというと「ファッション」。
1年中真夏のシンガポールですが、気温は33度を超えることは滅多にないので夏は日本より過ごしやすい。 肌も露出系の人がほとんどなので、その中で日傘に頭から手・つま先まで覆う日焼け完全防止ファッションはかなーり目立ちます。 この格好でヨーロッパ行くと1秒でひったくりやスリに目をつけられると思うので老婆心から・・・ シンガポールは安全なのでいいけど、旅先で目立ってあんまりいいことないですからね。
話は戻って、アジア中の観光客が訪れるシンガポール。
どうでもいい話ですが、私は(言葉を聞かなくても)中国人観光客と韓国人観光客は顔立ちで見分けられるという自信を持ってました、昨日までは。
ところが昨日Facebookの”Chinese, Japanese, or Korean?”という顔写真だけでどこの国の人か当てるくだらないクイズにトライし、ことごとく間違ってしまったため、ガラガラと崩れ落ちた根拠のない自信・・・
Facebook上にありますが、以下載せてみました。

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余計なお世話

日本にいた頃は、「余計なお世話な人が多いなー」と思っていました。
20代前半には「彼氏いないの?」
20代後半になると「結婚しないの?」
結婚すると「子どもはまだ?」
1人目が生まれると「2人目は?」
・・・と延々と続く社会のプレッシャー・・・というイメージであった。
ところがどっこい。
シンガポールに来て「日本(正しくは「東京」かな。 日本では東京以外で社会人したことないので)なんて全然甘いぜ」と思うことがよくあります。
今の私たちの場合は「子どもは?」ですね。
友達はもちろんのこと、初対面の相手(中国系シンガポール人)からも普通に聞かれます。 ちなみに、子どもがいる人の話によると、男の子だと喜ばれ、女の子だと「2人目は?」と聞かれるらしい。
結婚してから日本に住んでいないので比較はできないですが、子どものことに関する余計なお世話っぷりはおそらく中国系の方が上。
「子どもをたくさん産んで3世代の家族全員で中華の丸テーブルを囲むことが幸せ」みたいな価値観が根強く残っているのだなー、とつくづく感じます。

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「出たとこ勝負」力を磨くには

大前さんと船川さんの対談本『グローバルリーダーの条件』を読みました。
私は数年前から大前さんの本はひと通り読むことにしているのですが(『本、大人読み』に入れ忘れたけど大人読みする著者のひとり)、最近の大前さんはこちらに書いた『「知の衰退」からいかに脱出するか?』でもそうだったのですが、変わらない日本人サラリーマンに業を煮やして叱咤するというスタイルが多く、おそらく微妙にターゲットからズレている私にはあまり響かないのですが(大前さんのターゲットは30代後半から50代のサラリーマンじゃないかな?)、それでも得るところは多いです。
この中で、納得した一節。

日本人は「出たところ勝負」と「初対面」に弱い。 つまり不確実性の高い環境で多様性の高いメンバーとの共同作業が苦手。

本当にその通り。 私も以前はだいぶ「初対面」は弱かったし、今でも「出たとこ勝負」は弱いです。
初対面が苦手な人が多い理由は非常に同質性の高い日本という国で、さらに同質性の高い「学校」「会社」というネットワークの中だけで暮らしネットワーク間の流動性が他の国に比べて極端に低いことだと思いますが、掘り下げるのはまたの機会(があれば)にします。

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海を渡った日本人画家

kazumasa_rose.jpg私の高校時代からの友人が銀座に画廊をオープンしました(右は応接室に飾ってあった、中川一政の「薔薇」)。
高校は大阪、大学は京都、就職してからは東京、と同じ場所にいて、彼が新卒就職した会社を辞め画廊の見習いになってからの苦労を見ていたので、ひとまずオープンに漕ぎ着けられて私も喜んでいます。
本当におめでとう。
銀座の中の銀座にある画廊を訪ねると、いつものとおり(いつも以上に)絵に対する想いを語ってくれました。
彼が扱うのは1900年代初頭に活躍した画家による日本の近代洋画。
「なぜその時代のその絵なの?」という私の問いに
「純粋にいい絵だと思うから」というまっすぐな答え。
江戸時代後期から明治時代にかけて日本が200年の鎖国から覚め、西洋のものが次々と入ってきた頃、当時、日本画を描いていた画家は全く技法も表現も異なる西欧の洋画にひどく衝撃を受けたんだそうです。
そのうち「どうしても自分の目で確かめ技法を身につけたい」という熱い想いを押さえきれない画家たちが自力でヨーロッパ(多くはフランス)に渡り始めます。

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ロンドンで懐石料理レストラン

いまいちシリーズ化していない起業家応援シリーズですが(ブログの右下のTag Cloudで’起業家’をクリックすると、私の友人起業家たちの話が読めます)、今日はロンドンで日本食レストランをオープンした日本人女性のお話。
私が渡辺彩子さんを知ったのはINSEADの卒業生ニューズレター(↓)。 そう、INSEADの先輩です。
INSEAD : Meet Ayako Watanabe MBA’96D – Founder, Saki Bar & Food Emporium, London
2006年にレストラン激戦地のロンドンで本格日本食(懐石)レストランSaki Bar & Food Emporiumをオープンし、あまたあるレストランの中から数多くの賞を受賞しています。
‘The UK Best Dishes Award’
‘Best Seat in the House’
海外で成功している高級日本食レストランの経営者ってNOBUの松久信幸さんとか、Tetsuya’sの和久田哲也さんとか、シェフ出身で「料理の腕がよく、経営もわかる」人だと思っていたのですが、なんと彩子さんはINSEAD卒業後、ITコンサルのアクセンチュアに勤務すること6年。
思わず「ニューズレター見ました!」とメールしてしまいました。

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北京在住日本人の集い

北京滞在のハイライト。 以前書いたとおり『北京メディアウォッチ』のフリーライターしゃおりんさんが、中国をこよなく愛する北京在住日本人6人を集めて貴州料理のお鍋を囲む会を開いてくださいました。
全員が全員、ついたり離れたりしながら10年以上の中国との縁がある方ばかり。 もちろん北京語(Mandarin)はペラペラ、普段はどっぷりと地元密着で仕事・生活をされています。 今でこそ「普通に住めるようになった」と私の友人たちも移住する北京ですが、今の中国でキャリアを積める可能性を得てやってきた、「渡り鳥」的な友人たちと異なり(→『華僑の移住モデル』参照)、中国に対する熱い思いを何年にも渡って秘めて移住してこられた方ばかりでした。
私も驚いた1人ですが、皆さんも心を痛めていたこのニュース。 一般的な日本人の対中感情は一向によくなりませんねー
毎日jp : 外交世論調査:「日米関係良好」最低の68.9% 内閣府

日中関係では、中国に「親しみを感じない」と答えた人が3.1ポイント増の66.6%。 「親しみを感じる」は2.2ポイント減の31.8%で過去最低に落ち込んだ。

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女性における学歴と結婚の相関関係

非常に妙齢の女性の反応が良さそうなタイトルをつけてしまいましたが、疑問に思っていたことがあったので調べてみました。
こういうトピックは主観で語ると紛糾しやすいので、統計攻めでいきます。
日本では「高学歴の女性は売れ残る説」が既成事実のように言われて久しいですが、まだ旬なトピックなんでしょうか? 
私の周りは去年から猛ラッシュなので「遅い」だけで「結婚しない」わけではないと思うが、個人的体験は置いておいて、統計で確認(2000年国勢調査より)。
女性未婚率(全国)
     25-29歳  30-34歳
大卒   69.3%   33.2%
短大卒  56.5%   27.1%
高卒   45.1%   22.6%
たしかに大卒未婚率の方が高い。 「学歴」というからには大卒内で細分化してほしいけど、さすがにそのレベルは見つかりませんでした。 続いて東京都のデータ。 個人的には東京と全国平均の差の大きさの方が興味あります。 さすが独身天国、東京・・・
女性未婚率(東京都)
     25-29歳  30-34歳
大卒   73.7%   40.9%
短大卒   64.0%   35.9%
高卒    55.9%   32.1%
(もっと知りたい方はコチラ→東京都の統計:若者の結婚の状況の変化
で、疑問に思っていたことというのは、一般的には高学歴と思われるINSEAD同級生を見渡すと、女性は30過ぎたら一斉に結婚し子供もバンバン産んでいるのに対し、男性は独身で「いい人がいない」と言っている人が多いような気がします(もちろん結婚する人の方が多いですが)。
「気がする」だけではなく、統計においても裏づけられています。

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