Tag Archives: 教育

国の価値観と個人の価値観

このブログのタイトルに込めた意味を、

日本国内だけではなく世界中から自分のライフステージに合わせてベストなライフスタイルを選ぶ生き方

とした通り(ABOUTページ参照)、私たちは半年前、今のライフステージに合った場所という仮定のもとロンドンにやってきました。
今のライフステージとは「子育てステージ」。
次の15-20年間は教育を含めた子どもの環境を一番のプライオリティとして住む場所を選ぶことになります。
清潔だし治安はいいし物事がスムーズに運ぶし家事はしなくていいし・・・この上なく生活が楽なシンガポールを去って(←未練たらたらな私たち、笑)、ロンドンに来た理由は、私たちが子どもに持って欲しい価値観とシンガポールという国(政府)が最優先している価値観が合っていなかったことが大きいです。 『ロンドンに引っ越します。』に書いた理由は、この根幹の価値観が具現化した結果という言い方もできるかも。
企業経営の根幹にミッション(使命)・ビジョンと並んでバリュー(価値)があるのと同じように(*1)、国にもその根幹をなすバリューがあることを示すものとして次のような表を見たことがあります。

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日英バイリンガルへの道 – 2

昨日の続き、私の息子のように、家庭では日英の二言語、外は圧倒的に英語、という環境で生まれ育つ場合どのようにしてバイリンガル教育をするのか、というトピック。
周りに聞いたり、mixiの『海外で育児!』コミュニティーで調べたりしました(mixiのコミュニティーはかなり調べものに使えます、特に周りに日本人がいない環境で子育てをしている人にとってはネットは重要な情報源 & コミュニティー)。
まず、うちの場合がそうなので、母親 = 日本人、父親 = 英語ネイティブ、外の世界 = 英語、と仮定。
2. WHO(誰と?)に一貫性を持たせることがとても重要で、

  • 母親と話すときは日本語、子どもが英語で話しかけてきても「お母さんとは日本語だけね」と伝え日本語で話させる(ネイティブ並みに英語が話せても、一言語に統一し、1対1のときは日本語しか話さないのが原則。 ミックスすると子供が混乱し、言語発達がより遅れる)
  • 英語で話しかけられて日本語で答えてはいけない。 子どもは意思の疎通が目的なのでそれで目的を達してしまい、日本語が理解はできても話せなくなる。
  • 単語レベルでも文章レベルでも日本語と英語のミックスはいけない。 子どもがミックスしたときや英語で話しかけてきたときは「英語ではplaneね、じゃあ日本語では何と言うの?」と明確に区別させる。
  • 「てにをは」は抜かずになるべく正確できれいな日本語を話す。

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日英バイリンガルへの道 – 1

私は息子に日本語で話しかけているのですが、その様子を見た人(イギリス人)から必ず「あら、この子、バイリンガルになるの? いいわね〜」と言われます。 私の今までの周囲の調査・観察によるとそう簡単になれるものではなく、道は険しいんですけどね・・・
ある言語を自由に操るスキルの習得は当然のことながら環境によるところが大きいので、検討のためバイリンガルに育つ環境要因を5W1Hで場合分けをしてみます。
1. WHAT(何を?)
何の言語をどこのレベルまで操るようになることを目標とするのか?
日本で話されている日本語と英語を第一言語とする国で話されている英語。 私が「バイリンガル」と言う場合、二カ国語ともに母語並みに自由に操れること、すなわち話し言葉が通じるだけでなくその言語で勉強・仕事ができるレベルを指していますが、そのレベル到達を目標とするかは本人の様子を見ながら検討します。
子どもは英語環境で育つので日本語は完璧を求めない(祖父母と話ができるレベルでよし、漢字など読み書きは求めない)という家庭も多く見受けられます。
2. WHO(誰と?)
誰とコミュニケーションすることによってその言語をマスターするのか。
母親(私) = 日本語、父親(夫) = 英語、周囲の環境 = 英語
3. WHEN(いつ?)
言語習得過程でいつその言語に触れるのか? その環境は変わるのか?
生後すぐから、おそらくずっと家庭 = 日本語と英語、外 = 英語の環境は変わらないでしょう、まだわからないけど。

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すごいベビーおもちゃ

最近、育児以外の話題に乏しいのでワールドカップの話題でも!と思ったのですが、残念ながら我が家にはテレビがない・・・(シンガポールのアパートはTV付き、今のフラットには付いていなかったのだが出産など出費が多すぎていまだ買えず)
それならイギリスらしくパブでゲーム観戦!と意気込んでいたのに、週末見たい試合(イングランド – USA戦、ドイツ – オーストラリア戦)は南ア時間20:30開始(イギリス時間19:30)。 乳児を連れて夜のパブ観戦は断念しました。 くすん・・・
よって引き続き育児話です。
妊娠中から薄々感づいていたけれど、育児グッズって一大産業ですねー
愛する我が子のために財布の紐が緩んでしまう親心、ジジ・ババ心につけこむをキャッチするグッズが、あれもこれもと襲ってきます。 幸いイギリスはチャリティーショップやバザーなど子ども用品のセカンドハンド市場が充実しているし、友達のお下がりもあるので、あまり新品は買わずに済んでいますが、それにしてもすさまじい・・・
今日はロンドンのゼロ歳児の定番おもちゃのご紹介。
出産前は子ども部屋のインテリアに夢を膨らませていた私。 『パリの子供部屋』『ロンドンの子ども部屋』『ストックホルムの子ども部屋』あたりはそんな夢が詰まったインテリア本で海外でもアート系本屋のインテリアコーナーに置いてあったりします。 子ども部屋といえど妥協せずシックかつキュートにまとめよう、プラスチックおもちゃは不可・木と布のおもちゃOK、など現実感のないランダムな空想を抱いていたのですが、産まれてからはそんな空想は見事に現実の前に叩きのめされました。

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12年後の教育オプションを買う

昨日書いたように、ロンドンに来て以来、グンと夫が高校・大学の同級生(夫はメルボルン生まれ・育ち)と集まる機会が増えたのですが、その1人、18ヵ月の女の子を持つRから忠告されました。

メルボルンに帰る可能性が少しでもあるなら、今から子供の私立セカンダリー・スクールに申し込んでおいた方がいいよ。 ボクはもうW(メルボルンの名門私立校)に申し込んだ。

セカンダリー・スクールとは、Year 7 – 9、12 – 14歳です(日本的には中学校?)。 12年後に子供を入学させたい学校への入学申し込みを生まれてすぐやっておけ、というアドバイス。 オーストラリアは「プライマリー・スクール(Year 1 – 6)はともかく、セカンダリー・スクールは良い教育を受けさせたければ私立しかない」という夫談で(本人も大学以外、ずっと私立)、日本のように受験ではなく、申請受付順(+兄弟が通学していたら優遇とか)らしいので、人気のある学校はこういう事態になるのですね・・・(以前は妊娠がわかったら申請する人がいたらしいが、現在は生前の受付は禁止されたらしい)
私たち、12年後、どこに住もうかなんて全然決めてないんですが・・・ 12年後の人生計画なんてたてたことないし・・・
いきなり12年後に息子を行かせたい学校を考えろ(すなわち、住む都市・地域も決めろ)、と言われて困惑する私たち。 しかも、この「プライマリー・スクールはともかくセカンダリーは私立じゃないと・・・」という状況はロンドンでも同様のよう。

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Jamie Oliverの食の革命

jamie_winner.jpgイギリスのカリスマシェフJamie Oliverが食の革命を起こし肥満と戦おうという活動の功績を評価されて、2010年TED賞を受賞しました(TEDについてはこちら)。
BBC : Jamie Oliver wins US prize for anti-obesity campaign
Jamieは日本での売り出され方が若い女性をターゲットにした「王子シェフ」だったのであまり関心がなかったのですが、近年の彼は完全に食に関する社会活動家ですね。
我が家は私も夫も(冷凍食品や調理済食品ではない)手作りの家庭料理で育ち、私たちも毎日料理をしていて1日3食自宅で作った料理を食べている(ロンドンに来てから夫はお昼はお弁当)という料理好きなので、あまりにもひどい食生活をおくる子供たちの将来を憂う、という彼の姿勢がとても共感できます。
以下、TEDが評価した彼の功績。

  • 130ヵ国で視聴された12のTVシリーズ
  • 29言語に翻訳され56ヵ国で2,400万冊売れた10冊の料理本
  • School Dinners/Feed Me Betterというキャンペーンでイギリス政府に学校給食改善のため10億ドルの予算増額を実現させた
  • Fifteen Foundationという18 – 24歳の恵まれない若者にシェフ修行をさせて自立を促す社会事業を創設。 団体はロンドンにあるが、アムステルダム、コーンウォール、メルボルンにフランチャイズ展開している
  • 今年からアメリカで放映される新TVシリーズJamie Oliver’s Food Revolution USAで彼のビジョンをアメリカに持ち込もうとしている

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留学するなら大学? 大学院?

最近話をした2人の友人の話。 年は10歳違うし、年収もケタが違うのですが、私には2人がダブって見えました。

  • 中国人Y(♀、36歳)

北京生まれ北京育ちの中国人。 高校卒業まで北京だったが、大学はイギリスへ(どこか忘れたけどオックスフォードとか英トップ5のどこか)。
大学卒業後は米大手会計事務所に会計士として就職し、ロンドンと香港で働く。
INSEAD(フランス)でMBA取得。 当時、「私はもう中国(大陸)には帰れないし、帰りたくない。 フェアな実力社会で自由な欧米式生活に慣れきっているし、下方婚志向でキャリア女性を好まない中国人と結婚できるわけがない」と断言していたのが印象的。
INSEAD卒業後は、英系投資銀行(香港オフィス)へキャリアチェンジ。 INSEAD同級生のスペイン人J(戦略コンサル、NYオフィス)と香港 – NYの遠距離恋愛開始。
勤務先の投資銀行を説得し5ヵ月後にNYオフィスに転勤成功、1年後にJと結婚。
NYアッパーウェストにある高級アパートに住み、2人の子供を育てながら(フルタイムナニー付)、今なおウォールストリートの(数少なくなった)投資銀行でキャリアの階段を駆け上る。
今年5月の卒業5周年同窓会(→『5年目の同窓会』)には2人の子供をナニーに預け、Jと出席。 私たちのロンドン引っ越し計画に「いいなー、私もロンドン住みたいなー」と言っていた・・・かと思うと、ある米系名門投資銀行(ロンドンオフィス)のヘッドハントを受け、家族と共に1月からロンドン暮らしだと言うメールがつい先日届いた。

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心地よい刺激のシャワー

ブログによるレバレッジで素敵な人に出会えたシリーズ第2弾。
以前からブログを通して仲良くなっていた、SF帰りのlat37nさんが、ブログ友達のライフネット岩瀬さんBlastbeatAKさんとの飲み会を企画してくれ、岩瀬さんがさらに『はじめての課長の教科書』酒井穣さんを誘い、酒井さんが、日本で「大人の学び」の第一人者である東大准教授の中原淳さんを誘い、何だかすごい人たちの集まりになってしまった月曜の夜(岩瀬さんは風邪で欠席)。
酒井さんはNED-WLTという匿名ブログをされていたときからファンで念願の初対面。
以下、刺激的なひとときの中で思ったことです。
1. 日本の同年代がすごいぞ。
私を含めた上記6人はほぼ同年代(酒井さんがちょっと上)。 私たちはいわゆる「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれる世代で(私自身は「失われた」とは思っていないので、この言葉が好きではない)、ちっとも日の目を見ていない世代です(なお、景気の浮き沈みは経済活動において不可避であるが、新卒一括採用・年功序列・硬直した労働市場・長期経済低迷など日本特有の事情でこれほどまでに世代格差が広がった例は他先進国には見当たらない)。
私の非日本人友達のほとんどはINSEAD同級生なので、国籍も住む場所もさまざまながら同年代・同学歴・類似バックグラウンドですが、彼らと比較しても、上記諸氏の専門知識・洞察力・世界観・問題意識などは卓越しているように思えました。
それぞれ本を出版し始めるなど世の中にも影響力を及ぼし始め、(自分のことを棚に上げ人ごとのように言うのも何ですが)「全然、世界の同年代に負けてないなー」と感動。 全員、海外経験があるので、世界のレベルを知った上で日本に活躍の場所を求めたことからくる自信もあるのかもしれません。

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教育における重要な変化

少し前にブログネタ切れと書いたら、CREAさんが非常に興味深いインタビューを送ってくださいました。 今年出版された『国をつくるという仕事』で知った人も多いのでは? 元世界銀行南アジア担当副総裁の西水美恵子さんのインタビュー。
ソフィアバンク:Audio Archives 西水美恵子
西水さんは都立高校時代に奨学金でアメリカへ留学して以来、ずっと日本を外から見てきた、ということでインタビューの内容は本当に深く考えさせられるものでした。
経済学者としてプリンストン大学で教えていたのに畑違いの世界銀行へ転身した過程を語った「(1)貧困と戦う世界銀行との出会い」もお薦めですが、「これは聞いておくべき」と思ったのが「(2)今、日本は、何を改革すべきか」の教育に関する箇所(以下、インタビュー該当箇所のサマリー)。

私は教育格差のない時代に義務教育を受けた。 貧しい家庭の子どもでも勉強すればいい学校に行って良い教育が受けられた。 私の行った都立西高はその時代のトップレベルの先生がいた。
その根本が崩れ始め教育格差がつき始めたのが20年ほど前。
世界銀行で取りたい人が見つからなくなった。 海外で仕事や大学に行っている日本人であれば世界銀行で取りたい人材がいるが、日本から直接では欲しい人が見つからないようになった。

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Blastbeat – 高校生の音楽ビジネスプロジェクト

ブログを通して知り合ったAKさん(英オックスフォードMBA留学中)が、とある社会事業プログラムに関わっているのでお知らせ。
Blastbeatというアイルランド発の高校生向け社会事業プログラム。
高校生が「ロックコンサートの企画・運営」を通じてビジネスとは何かを学び、利益の一部を慈善事業に還元することで社会問題への気づきを促すもの。 創業者のRobert Stephensonは若者に音楽ビジネスを起業させて無気力や非行の解決に取り組もうと立ち上げました。 アイルランドで大成功を収めた後、南アフリカ、イギリス、アメリカに展開しています。
百聞は一見にしかず。 この南アフリカの高校生の姿を見てみてください(→こちら)。 ほとんどアフリカ語で何を言ってるかわかりませんが、興奮と情熱が伝わってきます。

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