Tag Archives: 多文化

クリスマスのイルミネーションつれづれ

今さらですがクリスマスの話。
シンガポールからロンドンに来るにあたって、楽しみにしていたことのひとつがクリスマス。 クリスマスのオーチャード・ロード(シンガポール一の繁華街)は、かなり首をかしげるセンスのデコレーションな上に商業的な香りしかしないので、本場ヨーロッパのクリスマスを楽しみにしていたのでした。
christmas_regent_st.jpgそんな私の一方的な期待は・・・むなしく裏切られました。 去年のリージェント・ストリートを華々しく飾ったイルミネーション(左の写真)は(光って見えないけど)、映画『ナルニア国物語』の宣伝・・・
誰がイルミネーションを決めているのかは知りませんが、ハリウッド映画の宣伝はないんじゃあ・・・
ロンドンの”クリスマス3大がっかり”のひとつでした(あと2つは、サウスバンクのクリスマス・マーケットと今週ロンドンの街中に捨てられているクリスマス・ツリーの粗大ゴミ)。
クリスマスの翌日Boxing Dayから始まる冬の大セールも含め、商業主義に走りすぎで興覚め。

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言語・文化アービトラージャー

「アービトラージ」という言葉は「サンクコスト」と同じく日本語で言われても(「アービトラージ」の日本語訳は「裁定取引」)うまく意味が伝わらないなー、と思っていたのですが、最近そのままカタカナで使う例をよく見かける気がするので(例:「国際的制度アービトラージ」)、そのまま使います。
元々は「同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引のこと」ですが、広義には「国内と海外、現在と未来、既知と未知、需要と供給、欲求と充足、価値と無価値、過剰と不足などのギャップを埋める行為」でほとんどの経済活動はアービトラージから生まれたとも言えます。
今日はそのうち言語・文化のギャップを埋める言語・文化アービトラージャー(アービトラージする人)に絞ります。
よく「英語屋なんて英語だけで仕事ができないからダメだ」とか「海外で働く日本人のほとんどは日本企業か日本人相手の仕事をしている」と言語・文化アービトラージャーをバカにする人がいるのですが、「一側面しか見てないし、批判のポイントずれてるなー」というのが率直な印象。
まず、言語・文化アービトラージャーの需要は相互依存を強める世界経済の中で加速度的に増していると思います。 いわゆる「仕事」(技術開発・セールス・マーケティング・経営、etc.何でもいいけど)にプラスαで対象市場の言語・文化を理解しギャップを埋められる人は業界問わず求められています。

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理想郷ってこんなとこ

このブログを始めたときに、「世界級ライフスタイル」の定義を以下のようにしました。

  • 日本国内だけではなく世界中から自分のライフステージに合わせてベストなライフスタイルを選ぶ生き方
  • 人の肩書き(国籍、年齢、学歴、会社名etc.)ではなく、内面(価値観・経験の共有etc.)を重視し世界中の魅力的な人との交流を楽しむ生き方

このうち2番目の点について、「そうそう、私が理想とするのはこういう世界!」という例を見つけました。
見つけたといっても、INSEADを卒業されたばかりのtrottolinaさんのブログの中で、ですが。
「INSEADならではのことって何ですか?」という質問に対し、「Diversity(多様性)が日常になっていること」を挙げられ、以下のように続きます。

そして、更に素晴らしいと思うのが、この多様性の環境が当たり前になっていること。
レバノン人とイスラエル人が一緒にパーティーで盛り上がっていたり、ギリシャ人とトルコ人が親友だったり。
先日、皆がくつろいでいる中、ポルトガル人のMが読んでいた雑誌の記事から顔をあげて、ギリシャ人のCに「なんでギリシャの軍事費はこんなに多いんだ?」と聞いたところ、隣にいた彼の親友でトルコ人のGが自分を指さして「私たちがいるから」と言ってギリシャ人と顔を見合せながら笑っていたのは面白かったです。

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多民族共生の実験場

私は「民族紛争」に昔から非常に興味がありました。 大学の卒論では当時最も複雑な民族紛争と思われたユーゴスラビア内戦前の状況を分析したくらい。
興味がある理由は長くなるのでやめておきますが、当然のことながら新疆ウイグル自治区で先週起った暴動もずっとニュースを追っているのですが、やはり本当は何が起ったのか、なぜ起ったのか、まさに事件が起っている瞬間ってわからないものですねー ナシームも『ブラック・スワン』でさかんに「頭上で起っている戦争のことは誰もわからない」、そして歴史は「発生した事実を、後から振り返って、ある文脈で解釈すること」であり、常に後講釈による歪みや曲解を生むと言ってましたが、そうなんだと思います。
そして、多民族国家でありながら民族間の緊張はほとんどない国を造り上げたシンガポール政府を改めてすごいなー、と思います(「ほとんどない」であり、個人レベルでは偏見・敵意いろいろあるだろうとは思う)。
中国系住人が多かったシンガポールは1965年、マレー人優遇を進めるマレーシア(*1)から追い出されるように分離独立しました。 多民族融和が国家存亡の肝になることを認識したリー・クアンユーが行った政策のひとつが、民族別の居住エリアを作らせないこと(初代首相であり現Minister Mentorであるリー・クアンユーは非常に尊敬されており、彼の伝記本は今でも数多く書店に山積みにされています)。 具体的には国民に安価な住宅を供給することを目的に建設したHDB(公団、今はシンガポール人の8割以上が住む)に、民族ごと(中国系、インド系、マレー系)に(人口上の民族構成に従い)入居の割合上限が決められています。
*1・・・2週間前の6月30日、マレーシアが上場企業のブミプトラ権益(マレー人優遇政策)規定を撤廃しました。 極めて大きな出来事。
マレーシアナビ!:上場企業のブミプトラ権益規定を撤廃

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私の宿題 – アイヌ

日本を離れて改めて、自分の母国に対する無知ぶりを認識し、勉強しようと誓う人は多いと思います(日本文化の良さを再認識し、着物を着てみたりお茶・お華を習いたくなったりするのも同じクチ。 私はちっとも取りかかれていませんが・・・)。
夫とその他にも数人から「アイヌ」について聞かれたことがあります。
昨日書いたように、アボリジニーという先住民族がいるオーストラリアだから、同じように先住民族がいる(北海道だけだけど)日本がどのような経緯をたどったのか興味があったのかもしれません。
聞かれたときの私の知識はほぼ皆無。
– 小学生のときの家族北海道旅行でアイヌ村に行ったことがあるが、広場のオリの中にいた子熊に気を取られ、アイヌ村自体についてあまり覚えていない
– アイヌ語を日常会話で使用する人はほとんどいなくなった、とどこかで読んだ気がする
オーストラリアにおけるアボリジーの存在とはもちろん単純比較ができないとはいえ、この無知さはお粗末すぎる。 せめて今度聞かれたときに言語・民族・歴史を含めた包括的な説明ができるようになりたい、と私の個人的な宿題になっています。
宿題の取りかかりとして少し調べてみました。

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英語以外のことばを学ぶ理由

朝日新聞に、英ケンブリッジ大学の学部生の入学基準は今まで「英語+英語以外の1言語」が必要だったのだが、今年から「英語以外の1言語」が除かれ、これからは「英語」だけでよい、とありました。 ケンブリッジ大学が廃止したことにより、これですべての英国の大学からこの基準が消えたとか。
University of Cambridge : Undergraduate Admissions : Entry requirements
理由は、非英語圏の英語人口が増加しているために、英語を母語とするイギリス人の間でわざわざ外国語を勉強しようとする人口が著しく減少しているから、とのこと。
わからんでもないですねー、外国語を勉強するモチベーションが上がらないのも。
でも、英語を母語とすることはもはやアドバンテージではなく、「え? 1ヵ国語しか話せないの?」と言われる世界になりつつあることは『Native English Speakerの危機』に書きました。
この入学基準論争を読んで思い出したのが、INSEADのこと。
私が行ったINSEADのMBAコースには”3 language requirement”なるものがあり、入学前に2ヵ国語、卒業までに3ヵ国語ができること、が条件です。
INSEAD – MBA – Languages

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多文化の街 マラッカ

だいぶ日が経ってしまいましたが、クリスマス直後に2泊3日でマラッカに行ってきました。
シンガポールからマレー半島をバスで北上すること5時間(そのうち1時間は出入国手続き)、マレーシア最古の街であり、マラッカ海峡の交易で栄え、ポルトガル・オランダが支配したこともある多文化な港町。
2008年7月には世界遺産にも登録されたのですが、あんまりそのアピールは感じられませんでした。
夫の思いつきで旅行3日前に行くことを決めたので予習が足らなかったのですが、「ここ、シンガポールよりマルチカルチュアルかも」というのが第一印象でした。
シンガポールの人口構成は
中国系 75%、マレー系 14%、インド系 9%、その他 3%
なので、多文化といえどもやはり華僑の国だと日々感じています。
ところが、マレー半島を北上するとマレー系の人口がどんどん多くなっていきます(正確には中国系がマレー半島を南下してきたのだが)。
マレー半島先端にあるジョホール・バルはシンガポールと同じく中国系がマジョリティー。 経済的にもシンガポールに組み込まれており、越境通学・通勤する人も多いです。
それがマラッカまで来ると、
マレー系 60%、中国系 30%、その他=ポルトガル系の子孫、インド系など
と、かなり民族バランスが拮抗しているのです。

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異宗教間の結婚式

bouquet.JPG土曜日は前の仕事で知り合ったシンガポール人の友人の結婚式でした。
私は外国人友達の結婚式に行くのが大好きです(そのわりには有休不足で招待されてもあまり行けてませんが)。 なぜなら祝福するという本来の目的もさることながら、結婚式ほど文化・宗教の粋を集めたイベントはない、普段グローバルに飛び回る友達の文化的背景を垣間見るのも楽しいし、それが異文化間結婚ならなおさら楽しい(慣れない習慣に戸惑うご両親・親戚の姿とかね)。
今回は中華系シンガポール人同士の結婚だったのですが、新婦が敬虔なクリスチャンなのでキリスト教式の教会ウェディングでした。
最近まで知らなかったのですが、シンガポールにキリスト教徒は意外と多い。 シンガポールの宗教構成(15歳以上)は以下の通り(2000年国勢調査より)。
仏教 42.5%、イスラム教 14.9%、無宗教 14.8%、キリスト教 14.6%、タオイズム 8.5%、ヒンズー教 4.0%、その他 0.6%
民族構成は以下の通りなので、14.6%のキリスト教徒は欧米人ではありません。 そのほとんどは中華系シンガポーリアン。
中国系 75%、マレー系 14%、インド系 9%、その他 3%
彼らは福音系(evangelical)と呼ばれるプロテスタントの一宗派。 聖書の教えに忠実に従い信心深く、アメリカのキリスト教徒はほとんどがこれだそう。
Wikipedia : 福音派
なお、知らない方のために、一般的にアメリカのキリスト教徒はヨーロッパのそれ(プロテスタント、カトリック、アングリカン)と比べても非常に信心深く、日常的に教会に行く人の割合が国民の40%にのぼります。 この流れを受けるシンガポールのキリスト教徒も日曜は教会に行く、という人が多いです。

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'different'と'wrong'

このブログも今日が100エントリー目になりました。
開始当初から訪問頂いている方も、途中からの方も、いつも訪問頂きありがとうございます。
100エントリーを記念して(?)、今日はこのブログの底に流れている精神みたいなものの話を。
それに気づいたのは、INSEADに留学していたときにイスラエル人のクラスメイトに言われたひと言。

I read ‘different’ and ‘wrong’ are the same words in Japanese. It tells so much about its culture, doesn’t it?
日本語では’different’と’wrong’が同じ言葉だって(何かで)読んだよ。 すごく日本の文化を現しているよね?

はじめ彼が言ったことが何を指しているのかわかりませんでした。 その単語が「違う」だと気づいたとき、初めて私が長い間感じてきた「しっくりこない感」の正体が説明され、私の過去の体験とつながりを持ったのです。
英語では、
He has a different opinion.(彼は違う意見を持っている)

What he says is wrong.(彼が言っていることは違う)
とは
‘different’と’wrong’という異なる単語を使って明確に区別されます。 ところが、日本語では「違う」と同じ単語で表現できてしまいます(2番目の文は「彼が言っていることは間違っている」と明確にすることもできますが)。
言葉は文化なので、’different’ = ‘wrong’と無意識にせよ意識的にせよ2つの概念を混同していることからくる違和感を、彼に指摘される瞬間まで数多く体験していたので、霧が晴れたような気分でした。
‘different’ = ‘wrong’と混同することから来る社会とはひと言で言うと「マイノリティーに冷たい社会」です。

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対中関係を良くする小さな提案

シンガポールのような中華系の国に住んでいると、たまにすごーく困ることがあります。
それは、会話の中で中国の地名、人名などの固有名詞が出てきたときに、英語で言われてもわからない・・・
歴史の授業でも日本語のニュースでも地図でも全部日本語読みで覚えているので、英語(原音に近い)で言われても全くわからんわけです。
最近もこんなことがありました。 夫の職場の後輩(中国人)に紹介されたときのこと。
私:どこの出身?
後輩クン:×△○□
私:(しまった・・・わからないのに聞いてしまった・・・)
後輩クン:×△○□、日本に近いし日本軍が侵略した地方だから知ってるでしょ?
私:(いや、発音がわかんないだけでたぶん知ってる地名なんだよ、遼東半島か? それにしても、そういう言い方するかぁー?)
夫(中国語と日本語が少しずつわかる、漢字も):あー、「トウホク」だよ。
・・・となぜか、中国人と日本人の会話をオーストラリア人に訳してもらう、という意味不明な状況に陥ったのでした(ちなみに東北 = Dong bei)。
基本的な地名や人名がわからないと中国人には「この無知な日本人が」という顔をされます。 シンガポーリアンの若者はさすがにそういう顔はしないのですが、「どういう漢字?」と聞くと(筆談に持ち込もうとする私)、「漢字はわからない」と言われます(中国語を話せても書けないシンガポーリアンは多い)。

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