Tag Archives: 人種

結婚しない女たち

2ヵ月前にThe Economistで「アジアの女性たちが結婚から逃げている」という特集が組まれていました。
The Economist : “Asia’s lonely hearts”, “The flight from marriage”
以下、要約。

アジアではどんどん晩婚になっている、それどころか全く結婚しない非婚も増えている(続きを読むをクリックするとグラフが現れます)。 結婚が減っているのは欧米でも同じだが、欧米人は結婚という法律婚にとらわれないようになっただけで同棲は増えている。 結婚も同棲もしないのはアジア特有の現象。
アジア女性が自立した理由は高学歴化と労働市場への参加である。 アジアでは高学歴女性ほど結婚率が低い、これは欧米とは逆の現象である(→『女性における学歴と結婚の相関関係』)。
高学歴が非婚を生むのは2つの理由がある。 ひとつめの理由は高学歴の女性はもともと未婚率が高かった、また都市の方が田舎より未婚率が高い。 女性がどんどん高学歴化し都市に流入するにつれ未婚率が高くなるのは自然である。 ふたつめの理由はアジアのほとんどの国は女性は伝統的に”marry-up” = 「上方婚」するものとみなされてきた。 女性が高学歴化するに従って男女のミスマッチが起こっている。
またアジア特有の理由に女性が家事・育児・介護などの負担をひとりで背負っていることがあり、これが結婚の魅力をなくしている。

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私はアジア人 – その他

以前、『あなたはアジア人ですか?』というエントリーに

「アジア人(”Asian”)とは英国では主にインド人を指す」というのは本当なのだろうか?

と書いたところ、コメント欄で「本当らしい」と教えてもらっていたのですが、詳細判明しました。
以下、近所のGP(General Practioner、ホームドクター)登録に行ったときに、もらったフォームの”Ethnic group”(民族グループ)のカテゴリー分けです。

A. Asian or Asian British
Bangladesh
Indian
Pakistani
Other Asian

B. Black or Black British
African
Caribbean
Other Black

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都市内部での(自発的)コミュニティ化

グローバライゼーションなどと言われ、人の往来が増え、大都市には多国籍・多文化・多人種がこれまでにないほど集まるようになっているのに、逆にその内部では似た者同士はますます集っているのだなあ、というお話。
先週書いたように(→『家探しでわかる都市政策』)治安のいい場所と悪い場所がパッチワーク状に混じっているロンドン。 実際、南ロンドンを走る345番バスに乗り、ロンドンで危険な地域と真っ先に名前があがるエリア(黒人率80%)から緑が広がるヤング・ファミリーのエリア(白人率90%)のにガラッと変わるのを見たのですが(この2つのエリアの距離1.2km)、もっと便利なツールを発見。
UpMyStreet
サイト上に、住所の郵便番号を入れるとエリアに関する情報が見ることができるものですが、そこの住民プロファイルが「そこまで言うか?!」って感じ。 私たちの引っ越し先(上記のうち「緑が広がるヤング・ファミリーのエリア」)の住民プロファイルを要約してみると・・・

フラットに住む若い裕福なプロフェッショナル。
都市部で25 – 29歳の年齢層が一番多く、ハイスキルでキャリアを駆け上がり高給を得ている。 よく働く結果として余暇を効率的に使う。 食料品をオンラインで買いホーム・デリバリーをしたり、オンライン・ショッピングをする人の率は平均の2倍以上。
読書量が多く、アート・音楽・演劇・映画など幅広い趣味を持ち、定期的に外食もする。 海外旅行が大好きで、冬山から夏のビーチ、週末旅行から長期旅行まであらゆるタイプの旅行を楽しむ。
時事問題は細かく追っており、職場へ行く途中で読む新聞はFinancial TimesThe Guardian、Independentである。
New ACORN Classification Mapのタイプ16)

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あなたはアジア人ですか?

INSEADにいた頃、同級生にこう聞かれたことがあります。

A(INSEADの日本人の先輩)のことを”アジア人”と言ったら「俺はアジア人じゃない、日本人だ!」と言われたんだけど、日本人は自分のことをアジア人だと思っていないの?

INSEAD留学前から仕事で海外(主にアメリカ)を飛び回っていたので、私はアジア人と見られることに慣れきっていたのですが、Aさんはそうではなかったのかな?
そんなことを思ったのは、最近日本からシンガポールに遊びに来た友達が送ってくれたこんなメール。
遊びに来る前は、

アジアは初めてなので楽しみ!

と書かれており、旅行後は、

シンガポールは都会なのにアジアなところもあって新鮮だった。

すでに私の感覚がズレてきているんでしょう、このメールは「アジア? ああ、(日本以外の)アジア、という意味ね」と頭の中で立ち止まって( )内を入れないと解釈に戸惑ってしまったのでした。
なお、はてなキーワードでは「アジア人」の定義は次のようになっています。

アジアの人。
英国では主にインド人を、米国では東アジアの黄色人種を指すことが多い。
海外に行くと、日本人も中国人や韓国人とひとくくりにアジア人と呼ばれることが多いのに気づく。
日本人が使う場合は日本人以外のアジア人を指すことが多い。

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本1冊で13,000年を俯瞰する

我が家は夫婦ともに読書好きなのでインドでも本ばかり読んでいたのですが、久しぶりに身震いするような本に出会いました、『Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies 』(日本語訳:『銃・病原菌・鉄』)。 出会ったといっても夫が持っていた本なので、うちの本棚に眠っていたのですが(しかも、以前薦めたのに私が興味を示さなかった、と言っていた。 記憶にない・・・)。
以前、『映像でおさらいする20世紀』というエントリーで、以下のように書きました。

世界史を俯瞰するのは結構難しく、「1192(いい国)創ろう鎌倉幕府」のように「点」で覚えるだけでは十分でなく(というか意味がない)、大河なる流れのように一国の歴史を「線」で捉えるのはもちろんのこと、「1910年頃」と問われれば「日本では日露戦争が終わり韓国併合へと軍備拡張へ進んでいた頃、ヨーロッパは第一次世界大戦前のつかの間の平和、アメリカは大量生産時代の始まりによる経済大国への躍進」と「面」でイメージする必要があります。
その上、世界にはオスマントルコ帝国→ハプスブルク家→オーストリア・ハンガリー帝国→ソ連下共産主義と支配者が変わったハンガリーみたいな国(地域)がほとんどであり、それらすべてを俯瞰するためには、頭の中にGoogle Mapを持って自由に飛び回りつつ、それに時間軸がついている、みたいな四次元な世界を作る必要があるわけです。

「頭の中に、自由にズームイン・アウトしながら縦・横・斜めに自由に展開できる時間軸つきGoogle Mapを持ちたい」というのは、私の密かなる野望ですが、この本は20世紀どころか過去13,000年の人類の進化を地理学、進化生物学、言語学など専門知識を駆使しながら鮮やかに1冊で解くすさまじい本です。
著者自身の本書の要約は以下。

History followed different courses for different peoples because of differences among people’s environments, not because of biological differences among peoples themselves.
歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない。

タイトル「銃・病原菌・鉄」はヨーロッパ人が他大陸を征服できた直接要因を凝縮したものですが、なぜ逆(例えば、インカ帝国の原住民がスペインを征服する)ではなかったのか? 究極要因まで突き詰めて解き明かす、目からうろこだらけの本。

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One-drop rule

昨日に引き続き、Dr.Liuとのディスカッションで面白かった話。
ゲノム、遺伝学が専門なのでその分野に関するディスカッションが中心だったのですが、One-drop ruleって聞いたことありますか? 私は知りませんでした、軽くショックでもありました。
私は以前からオバマがなぜ「米国初の黒人大統領」と呼ばれるのか理解できませんでした。 彼はケニアのエリート留学生の父(黒人)とカンザス出身の白人の母に生まれたHalf black, Half whiteです。 アメリカの奴隷制を生き抜き公民権運動の結果平等を勝ち取ったいわゆるアメリカの黒人とは全くバックグラウンドが違うので、「Half black, Half whiteと正しく言うか、もしくは全く言及しないか、どっちかにしようよ」と思っていました。
同じことを思っていた人がDr.Liuに質問したのですが、「アメリカにおいて”Black(黒人)”とは、遺伝子レベルの議論とは全く異なる社会経済的なステイタスであり、”一滴でも黒人の血が混じっていると黒人とみなす”」のだそう。
Wikipedia : One-drop rule
なお、このアメリカにおける考え方は、黒人に限ったことではなく、第二次世界大戦中、西海岸地域一帯に住む日本人移民と日本人の血が1/16以上入っている日系アメリカ人(従軍中の者は除く)は全員日系人強制収容所へ送られたそうな。
ひぇぇぇー、1/16って・・・ ほとんど見分けがつかないんじゃあ?
なお、同じ敵国でもアメリカ在住のドイツ人やイタリア人は強制収容所送りになっていないので、人種差別です。

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国籍と人種と民族と・・・

すでにネタとしてブログなどで出尽くされている感がありますが、ノーベル賞の物理学受賞者について日本のメディアでは日本人3人と報道されているのに、外国メディアでは(ノーベル財団の発表でも)米国人1人、日本人2人とされていることが話題になっているそうです。
私にとって、米国籍を取得された南部さんは、
国籍(nationality)= アメリカ
人種(race)= 東アジア人(モンゴロイド系というのだろうか?)
民族(ethnicity)= 日本民族
使用言語(language)= 英語 + 日本語
と非常にクリアなんですが・・・
当のご本人も国籍法改正論まで飛び出す過剰反応にさぞかしビックリなことでしょう(頭脳流出問題が絡んでいるためですが)。
日本は大多数の国民の国籍、人種、民族、使用言語が単一である、という希有な国なので、ときどき(というか頻繁に)国籍と民族(or 人種)を混同した表現を見かけます。
私自身がもっとも言われて違和感がある(そのため自分ではほとんど使わない)表現が「国際結婚」。
国籍の違う人同士の結婚を指す言葉なので、本来の意味で使われる場合はいいのですが(例:国際結婚では、役所に届け出る書類の数が多い)、ほとんどの場合、文化の違いを指していたり(例:国際結婚は文化が違うから大変でしょう?)、言いたいことそのものが意味不明だったり(例:憧れの国際結婚)します(最後の例では、国籍の違いがなぜ憧れにつながるのか意味不明、笑)。

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