Tag Archives: プロジェクト

工事が始まりました。

『築120年の家を買いました。』の家の改築工事がようやく始まりました。 ヴィクトリア時代築(推定1890年)の2階建てのテラスハウス(Workers’ cottageと呼ばれる種類で貴族の館ではなく小さな労働者階級の家)です。
大がかりな増築のため、区(カウンシル)の建築計画許可(planning permission)を取得し、ビルダー(施工業者)を決めるための見積もりを取るためのテンダーパッケージ(各種図面と仕様書)を作成、4業者から見積もりを取り価格交渉し、ビルダー決定。 テラスハウス(長屋)で両隣の家と隣接しているため、共有している壁(party wall)に行う工事の詳細に関する合意(party wall award)を取る、この全てのプロセスに7ヵ月かかりました。
ボロ家なので住み辛かったし、夏は『ナメクジ屋敷』と化したので早く出たくてたまりませんでした。 工事が始まっただけで、大きな仕事を成し遂げた感でいっぱいです(笑)。 子どものナーサリーもあるし工事の監督もあるのですぐ近くに引っ越したのですが、今にも崩れそうではない普通の家に移れただけでほっとしています。 やはり住む環境が与える影響は大きい・・・

第一週は解体工事。 あっという間に見る影もなくなりました(写真をクリックすると大きくなります)。
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ファイナル・プロジェクト – 3


客室はメゾネットタイプ。 すべての部屋の窓から絶景を楽しめるように窓枠にそのままベンチとして腰掛けて外を眺められるようになっています。 このアイデアは『親切で優しい成功哲学』で紹介した哲学者Alain de Bottonが行っているLiving Architectureというプロジェクトの家(→例えばThe Dune House)にインスピレーションを受けました。 窓の外の景色をアート、窓を額縁と見立て、景色が最も美しく見えるように窓枠を切り取るというコンセプト。

屋根にもちょうどロフトのベッドに寝転びながら星空が眺められる位置に天窓が。 ベッドのヘッドボードとマットレス台もチェックのファブリックでUpholstery。 ロフトの下の部屋はバスルーム、銅製のバスタブと洗面ボウルはWilliam Holland。 壁の木材は薄い色と濃い色を交互に組み合わせ、部屋が重くトラディショナルになりすぎないようにします。 もちろん壁にはローカルのアーティストの作品が。
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ファイナル・プロジェクト – 2


1階のエントランス(玄関)を入り右に曲がるとダイニングルームとオープンキッチン。 夜はアンティークストーブの前の大きなダイニングテーブルでゲスト全員がシェフお手製の料理を堪能しますが、朝は天気がよければテラスで朝食が楽しめます。
ホテルにある家具はスコットランドまたは英国内で求めたアンティーク品とモダンブリティッシュデザインの組み合わせ(上記ダイニングテーブルはアンティーク、椅子はBenchmarkのもの)。 すべてのUpholstery(*1)の椅子はスコットランド ハイランド地方に起源を持つ伝統柄にインスピレーションを得たファブリックを張っています。
*1・・・詰め物をして生地を張ること
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ファイナル・プロジェクト – 1


記憶が怪しくなる前にThe Interior Design Schoolの最終プロジェクトをアップしておきます(今までブログに載せた『ロフトアパート・プロジェクト』『クリエイティブ・プロジェクト』とこの最終プロジェクト以外にもあるのですが、ブログに載せるのはこれが最後)。
卒業展で展示する最終プロジェクトはテーマは何でもよし。 学校の向い側にある建物を使ってどんなスペースをデザインしてもよく、イギリス国内であればどこにロケーションを設定しても構いません。

私は今回インテリアデザインを勉強しましたが、『空間が持つパワー』に書いたように、場所が人に与える空気・パワーが好き。 その空気をつくり出すものが結果的に建築(外の箱)なのか、インテリア(中に入ってるもの)なのか、ランドスケープ(景観)なのか、は分類上の違いでしかなく、素晴らしい場所というのは都市計画も含めこれらが一体となっているものだと思っています(そういう意味で将来インテリア以外の領域も学ぶと思うし一生かけても全部はカバーできないほど広くて深いトピック)。
常々アマンリゾートのような外の自然と建物と中のインテリアが三位一体となった空間が好きだったので、最終プロジェクトには隠れ家リゾートをデザインすることにしました。

「イギリス国内」という制限がついていたので選んだ場所はスコットランド北部に位置するスカイ島。 上がそのリゾートのイメージボードです(クリックすると拡大します)。
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クリエイティブ・プロジェクト – 2

昨日の続き。
フランスのスパークリング・ウォーターブランド ペリエがロンドンデザインフェスティバル中に出すポップアップ・バーのコンセプトは「ペリエを五感で体験する」、歩行者だけでなくサイクリストも自転車から下りずに入れます。 自分がミニチュアになってペリエのボトルの中に入ってしまうような感覚を再現するものですが、当日まで来場者に内容は秘密(クリックすると大きな画像になります)。

期間中の2週間だけ使われる建物は、ペリエのボトルを再現するためにドーム型のテント構造を採用。 クリエイティブオフィスが多数集まるClerkenwell中の路上にミステリアスな足跡と自転車マークが散りばめられ、その足跡に誘われるように追っていくと内から照らされた緑のドームが突如広場に姿を現します。
歩行者とサイクリストがぶつからないようにそれぞれ専用の入口から中に入ると初めてペリエのボトルの中に入ったんだとわかる仕組み。
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クリエイティブ・プロジェクト – 1

最近、育児の合間にちょっとずつ建築インテリアデザイナーとしての仕事を始めています。
去年の9月から今年の6月までプロフェッショナル・ディプロマを取りにロンドン北部のThe Interior Design Schoolに通い無事に卒業できたのですが、忙し過ぎてブログをお休みしていました。

学校が始まる前、『クリエイターになりたい。』と書いた私が果たしてクリエイターに近づけたのか、今の心境をまとめておこうと思います。
まず、私のワークブックは最後まで整然としていてフランク・ゲーリーのようなスケッチは描けませんでした(→『他人になろうとするには人生短すぎる』)。 大量のビジュアル・イメージから取捨選択してコンセプトを固めていくのがスタイルとなり、最後まで「何十枚もスケッチしながら考える」というデザイナーっぽいと私が思っていたスタイルは全く身につきませんでした。

その代わり、面白いことがありました。 学校のプログラムはプロジェクト形式でプロジェクト終了ごとに外部の現役デザイナーを呼んで発表会を行いましたが、私が学校の先生(チューターと呼ばれる現役デザイナー)からも外部デザイナーからも最も高い評価を受けたプロジェクトがその名もクリエイティブ・プロジェクト(3週間)と呼ばれるものでした。
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ロフトアパート・プロジェクト – 3

今日がシリーズ最終回、家具と素材について(『ロフトアパート・プロジェクト – 1』『 – 2』)。
Material_Board_Loft_Apartment.jpgこちらがマテリアル(素材)ボードです。 インテリアの印象を決めるのに重要な床材や壁紙・ファブリックなどをクライアントに見せるもの。
デザインプロセスと並行してマテリアルのサンプルを集める必要があり、いざ手元に取り寄せるとプランが変わったりイメージと異なったり、なかなか難しいプロセスです。

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ロフトアパート・プロジェクト – 2

昨日は、AlexとCorrineのロフトアパートを形容する言葉が、

AIRY(広々とした、新鮮な空気に満ちた)、CLEAN(すっきりした)、NATURAL(自然な)、ROMANTIC(ロマンチックな)、CHILLED-OUT(ゆったり・まったりとした)

決まったところまででした。
今日は私がプレゼンした内容を載せますが、ポートフォリオ(作品集)用に編集したりしていないので、まだ粗いままです。 転載不可、質問などあればこちらからメールでお願いします。
こちらがイメージボード。
Image_Board_Loft_Apartment.jpg

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ロフトアパート・プロジェクト – 1

学校で最初のロフトアパートのプロジェクト(4週間)が終わりました。 よく「どういうことしてるの?」と聞かれるのでアップしておきます。
学校はレクチャー(講義)を挟みながらプロジェクト形式で進みます。 実際のデザイナーの仕事と同じプロセスを経ながら必要な知識・スキルを学んでいくというもの。
ロフトアパートのプロジェクトは、私たちが使っているデザインスタジオ(北ロンドンの住宅街)のスペースをカップルが住むアパートにリノベートするという前提。
実際には、クライアントとのブリーフィング・ミーティングにおいてクライアントの機能的要件・生活スタイル・所有物・デザイン嗜好・予算などを細かくヒアリングするのですが、今回は仮想のクライアント。 カップルのうち1人は実在の人物を割り当てられるのでその人物のリサーチをし、後の条件などは自分で仮定します(機能的要件は箱の広さからある程度決まる)。
私のクライアントは英”Food & Travel”誌の編集長Alexと(ここからは仮定)彼のガールフレンドCorrine。

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