Tag Archives: グルメ

Jamie Oliverの食の革命

jamie_winner.jpgイギリスのカリスマシェフJamie Oliverが食の革命を起こし肥満と戦おうという活動の功績を評価されて、2010年TED賞を受賞しました(TEDについてはこちら)。
BBC : Jamie Oliver wins US prize for anti-obesity campaign
Jamieは日本での売り出され方が若い女性をターゲットにした「王子シェフ」だったのであまり関心がなかったのですが、近年の彼は完全に食に関する社会活動家ですね。
我が家は私も夫も(冷凍食品や調理済食品ではない)手作りの家庭料理で育ち、私たちも毎日料理をしていて1日3食自宅で作った料理を食べている(ロンドンに来てから夫はお昼はお弁当)という料理好きなので、あまりにもひどい食生活をおくる子供たちの将来を憂う、という彼の姿勢がとても共感できます。
以下、TEDが評価した彼の功績。

  • 130ヵ国で視聴された12のTVシリーズ
  • 29言語に翻訳され56ヵ国で2,400万冊売れた10冊の料理本
  • School Dinners/Feed Me Betterというキャンペーンでイギリス政府に学校給食改善のため10億ドルの予算増額を実現させた
  • Fifteen Foundationという18 – 24歳の恵まれない若者にシェフ修行をさせて自立を促す社会事業を創設。 団体はロンドンにあるが、アムステルダム、コーンウォール、メルボルンにフランチャイズ展開している
  • 今年からアメリカで放映される新TVシリーズJamie Oliver’s Food Revolution USAで彼のビジョンをアメリカに持ち込もうとしている

Continue reading


太陽の恵みをシンプルに味わう

今回のメルボルンの帰省は12日間。
こんなにいても毎日することはないのですが、ひとつ帰省のすごいインセンティブがあります。 それは義父母の料理がバツグンにうまいこと!
grilled_vegetables.JPG義母は昔コルドン・ブルーでディプロマを取ったという料理の腕前なのでめちゃくちゃ料理が上手、というのは前から知っていたのですが、義父(→こちらに登場)が会うたびにスキルアップしていくのに驚いています。 今回は毎日ランチとディナーは義父担当で私たちはもっぱら食べる方専門。
彼の料理は「地元で取れる新鮮で質のいい食材と庭で取れるハーブをたっぷりと使って、料理自体は素材の風味を活かしてシンプルに仕上げる。 仕上げも良質のオリーブオイルと塩・胡椒でシンプルに」というもの(右写真はある日のディナー。 野菜をグリルしオリーブオイルで和えたサラダ、胡椒だけで焼いたステーキ、ポテトグラタン)。
このスタイルは、(食が不味い不味いと言われながらも過去10年に素晴らしい改善を果たした)イギリスで人気ですが、オーストラリアの方がピッタリ。 浴びている太陽の量が違うのでしょう、ちゃんとしたマーケット(もっぱら行くのはQueen Victoria Market)では風味豊かでとびきりフレッシュな食材が安価に手に入ります。 特に私の大好きなフルーツが笑っちゃうくらい安いのが素晴らしい!

Continue reading


Our Big Fat Croatian Christmas

1年中で最も大事な家族行事のクリスマス・ディナー。 夫の実家では、毎年親戚一同で集まるのですが、「親戚」にどこまで含めるかがビミョー・・・な上に、大家族になると必ず問題児が現れ、数年に1度はソープオペラ(昼メロ)のようなドラマが繰り広げられるのだそう・・・
今年は義妹(夫の妹)が婚約したので、義妹のフィアンセIの実家に招かれました。
彼はクロアチア系オーストラリア人。 本人はオーストラリア生まれですが、両親はクロアチア移民1世。 生粋のクロアチア文化を守っていて、叔父・叔母・弟夫婦とその子供も含めた7人の大所帯で暮らしており、さまざまな映画のようなドタバタ話を聞いていたので、だいぶ前からとーっても楽しみにしていた私。
rotisserie.JPG祝日なのにラッシュアワーかというほどの渋滞を抜け(それぞれのクリスマス・ディナーに向かう車で大混雑)、iの実家にたどり着くと、庭で待っていたものはロティスリーで焼かれる2羽のターキー。 店じゃなくて自宅に本格的なロティスリーを持っている人を初めて見た私。 タ・タダ者ではないグルメだ・・・ 一気に興奮が高まります。
そして紹介された家族は・・・ ”My Big Fat Greek Wedding”(邦題:マイ・ビッグ・ファット・ウェディング)という映画をご覧になったことありますか? あの家族とそっくり。
スーパー・フレンドリー、すごいアクセントの英語でよくしゃべり、よく食べよく笑う、本当に映画に出てきそうな南ヨーロッパ人。

Continue reading


シンガポール人の国民的娯楽

前も書いてますが(→こちら)、近隣アジア諸国を旅行する以外はとりたてて娯楽のないシンガポール、最大の国民的娯楽は「外食」です。
日本人も食にかける情熱はすごいと思っていたけど、シンガポール人の方が上じゃないかなー? 「3食外食。 全く自炊しない」って人、すごく多いと思うし(200-300円くらいで食べられるホーカー・センター(屋台フード街)が必ず住宅街にあるので)。
アメリカのトラベル&フード番組、Anthony Bourdain: No Reservationsでシンガポールの外食の魅力を余すことなく特集していたので、YouTubeでどうぞ。

YouTube : No Reservations – Singapore Part 2 of 5
日本でディスカバリー・チャンネルに入ってる人は12月に日本語でも見られるらしい(↓)。
ディスカバリー・チャンネル:アンソニー世界を喰らう

Continue reading


日本の田舎の魅力を世界に – 1

今回の信州旅行は、「山奥の露天風呂で自然に囲まれながら熱〜いお湯に浸かった後、ふにゃふにゃになった体のままで極上の旅館料理を食べたい」という夫のかねてからの希望(ファンタジー)を叶えるのが目的。
厄介なのは、私たちの旅のスタイル(*1)は「田舎をドライブしながらゆっくり1ヵ所に2, 3泊しその土地の料理や文化を楽しむ」というものなので、日本でこれをやろうとするととてつもなくお金がかかってしまうこと。
*1・・・今年は、このスタイルで、1月には南インドに2週間(→1, 2, 3)、5月には南フランスへ10日間(→1, 2, 3)旅しました。
今回は親孝行も兼ねながら(というか、親が全部手配してくれて車の運転もしたので、親孝行になっていなかった)、信州の山奥の旅館に泊まり温泉三昧すること5泊6日。 夫が始終、食事(田舎懐石料理)・自然(紅葉真っ盛りの信州の秋)・サービス(旅館のホスピタリティー)を絶賛していたので、目的は果たせたとほっとひと息。
ここ数年の夏は南ヨーロッパの田舎をドライブ旅行することが定着していたのですが、日本の田舎はヨーロッパに負けず劣らず魅力的なことを確信していたものの、外国人(= 夫)の口から聞けてさらなる確信を深めました。
ところで、東京や京都など主要観光地では激増した感のある外国人観光客、伊豆・箱根、木曽路・白川郷といった公共交通で行ける観光地にも増えているのですが、今回行った場所ではいずれも夫以外の外国人を見かけませんでした。 やはり増えているところと全く恩恵を受けていないところと二極化しているよう。
日本の田舎は魅力は十分、存在を知れば来たいと思う外国人観光客はたくさんいます。 そこで「このハードルだけ取り除けば呼び込める」というものを考えてみました(このブログを田舎の旅館の人が読んでいるとは思えませんが・・・)。

Continue reading


オージーコーヒー、ロンドンを席巻(間近か?)

オーストラリアのコーヒーは美味しい。
・・・と言って、どのくらい深くうなづいてもらえる人がいるか知らないけど、身内びいきを差し引いても、南ヨーロッパと比べても、相当美味しいのではなかろうか。
まず、エスプレッソ・マシンを使い蒸気による圧力でコーヒー液を抽出するイタリア系です。 「いや、コーヒーはやっぱブレンドだ(ドリップ式)」「朝はコピ(シンガポールの練乳入りコーヒー)に限る」と言う人は、コーヒーの種類が違うので比較対象としない、ということで。
taylor_st_cappucino.jpgイタリア移民の影響を濃く受けてエスプレッソ文化が早くから根付いた上に、オーストラリア流のアレンジ(ミルクを使ったコーヒーアートなど)が加わり、オーストラリアのカフェ文化発祥の地メルボルンでは、文字通り街角ごとのカフェで美味しいコーヒーが飲めます。 豆の挽き方、煎れ方、コーヒー抽出のしかたなどブラック部分(エスプレッソ)はもちろんのこと、ミルクのフォームのきめ細かさなどホワイト部分に対するこだわりもハンパなし。
よって、Starbucksなどのいわゆるアメリカのグルメコーヒーは流行らず(地元のチェーンもあることはあるが)、人々は相当味にうるさいです(よく知らないけど、ニュージーランドも同じ状況のよう)。
世界バリスタ選手権などにもオーストラリア人は頻出しており、バリスタになるための専門学校もいくつかあります。

Continue reading


ホームシックが悪化する本、"LIFE"

大学卒業して実家を出て以来、毎年お盆になるとホームシックになります。
ホームシックの一番の解決法は「家に帰っちゃうこと」なんですが、夏休みはいつ取ってもいい会社に勤めていたため、お盆の旅費の高さと移動人口の多さにめげて一回も帰ったことはありません。 いつもより静かなオフィス、空いている電車でお盆を感じながら、会社でパソコン画面を見ながらうじうじとホームシックになる、というのが毎年のパターン。
今年もパソコンの画面を見ながらうじうじしていたのは一緒だったのですが、ホームシックを悪化させる究極のレシピ本を紀伊国屋で発見、『LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。』。 この本、罪です・・・
kamome_breakfast.jpg『かもめ食堂』という一部のファンの間でカルト的人気を保つ映画に出てくるあまりにも美味しそうなご飯を作っていたフードスタイリストの飯島奈美さんが出した本。
(←)こんな悩殺ものの朝ご飯作る人です(『ほぼ日刊イトイ新聞』より)。
「おとうさんのナポリタン」、「うんどうかいの、おべんとう」、「ちいさなお祝いの日の、ちらしずし」などネーミングが秀逸で、見るだけで昔むかしにタイムトリップしたような錯覚を起こす、ノスタルジーを掻き立てる写真が並んでいます(この写真も罪)。
必ずしも全部のレシピが家で食べてた味ってわけでもないのに不思議だなー・・・

Continue reading


ヨーロッパをマネする日本をマネするシンガポール

シンガポールでは日本食はもはやブームを超えて、外食のオプションのひとつになっています。 ハイエンド(高級日本食レストランでは本場日本と変わりない味が堪能できる)とローエンド(リーズナブルに若干ローカライズされた寿司・焼き鳥などが楽しめる)の二極化という世界中の大都市で当たり前の光景とは一線を画していて、「日本の食べ物はアレンジなしですべて人気」状態。 よって、ミドルレンジ(ランチS$20 = 1,500円、ディナーS$40-60 = 3,000 – 4,500円くらい)が非常に充実しており、焼魚定食、炉端焼き、山菜釜飯、鍋焼きうどん、何でもあります。 日本食のミドルレンジの充実度は量・質ともに世界一ではないかな?(全く根拠はありませんが・・・もちろん日本を除きます)
最近の面白い傾向は日本食っぽい日本食に飽き足らず、日本でアレンジされた洋モノが人気なこと。 それもオムライスやハンバーグなどいわゆる「洋食」ではなく、パスタやアイスクリームなど普通のものです。
marvelous_ice_cream.jpg例えば、去年オープンしたこの大人気アイスクリームショップ。 marvelous creamという日本のチェーンなのですが(私は知りませんでした、有名?)、コンセプトはcold stone creameryと同じ、冷たい石の板の上でアイスとトッピングをミックスするもので、価格帯も同じ(ハーゲンダッツより高いプレミアム価格)。

Continue reading


ソムリエとさかなクン

フランス留学中、どこに行ってもワイン、そして安いのに美味しい、のでワイン大好きになって帰ってきました。 元々あまりお酒に強くないので、留学前は1杯しか飲めなかったのが、3杯まで飲めるように。
フランスにいる間は週末や休暇中にワイナリー巡りをしたけど「この味好き、好きじゃない」という感覚のみで飲んでいたので、「もっと知識があったら、飲むのも選ぶのも楽しいだろうな」と思っていました。
そこで日本に帰国後は、体系的に知識を習得するために、ソムリエとはいかなくともワインエキスパートの資格を目指そうかな、とぼんやりと思っていたのですが、出張に次ぐ出張の生活でまとまった時間が取れず断念。
去年シンガポールに引っ越してようやく出張に追われる生活とおさらばしたので、「ワイン習いたいなあ」と夫に言ったところ、「ワインって習うものじゃなくて、飲んで自然に覚えるもんなんじゃないのー?」と暗に反対されてしまった。 彼は小さい頃から食卓でディナーと一緒にワインを楽しみながら、親に聞いて自然に覚えたんだそうです。
「ワイン飲んで育った人とは違うわよ」とか「ワインって言ってもオーストラリアワインしか知らないじゃん」とか思ったのですが、指摘されて初めて自分の中に「日本人の検定好き」を発見。
一時期、検定ブームが起きて、さまざまな検定が乱立しましたよね。
東洋経済オンライン:乱立する新興検定の舞台裏、漢検除けば、どの検定も青息吐息
これは日本人の資格好き・権威志向とオタク性がうまく交差した結果ではないかと思っています。 TVチャンピオンはその走りであろう(私、あの番組、好きでした)。

Continue reading


la vie en rose

フランスでいつも思うんだが(スペインでもそうだったな、イタリアはどうだっけ?)、何でワインよりジュースの方が高いんだろう???
特にシンガポールのように酒類にかけられる関税が驚異的に高い国から行くと、ワインの美味しさと価格はくらくらするほど魅力的で「この滅多にない素晴らしい機会を活かす論理的帰結は飲むしかない」ということになります。
なので、フランスではひたすら食べて飲んでました。
イタリア語ではこういう極楽な生活をla dolce vitaというのですが、フランス語ではla vie en rose(バラ色の人生)ですかね? ここからは有名なエディット・ピアフの”La Vie en Rose”をBGMに聞きながらどうぞ〜→Edith Piaf – La Vie en Rose
旅行中で一番素晴らしかったレストランがこちら、Auberge de la loube。 ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』に出てきたらしいのですが、山奥の小さなレストランなのに予約客でいっぱい。 土地の素材を活かしたオードブルがトレイにびっしりと並んで出てきて美しい! 美味しい!
ソースが決め手の北フランスの料理と異なり、太陽の恵みをたっぷり浴びた南フランスの料理は野菜が踊り出しそうにカラフルでジューシーで、私は断然こちらが好みです。
プロヴァンスのからっと乾いた夏には、ロゼがピッタリ。
私が好きな赤はこの気候には重く、プロヴァンス産の赤は武骨でラフなリュベロンの台地を思わせる味がするので、ロゼばかり飲んでました。
その土地でできるワインはその土地の食べ物に合っているのだなー、としみじみ。

Continue reading