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ロンドン2012から東京2020へ

今朝目が覚めたら東京に決まっていました、尽力された皆さん、おめでとうございます。

population londonシンガポールからロンドンに移ってきた2009年に私は『成熟国からの視点』というエントリーを書いています。 20世紀初頭に世界の大国の地位をアメリカに譲り渡し二度の大戦後は経済衰退する一方だったイギリス、主要都市では中心部の荒廃が進み、首都のロンドンは70年代には世紀初頭より20%も人口減となりました(右の表はグレーター・ロンドンの人口推移)。 ところが、今年4月に生涯を閉じたサッチャーの一連の改革(80年代)で劇的なカムバックを果たします。 見事に生まれ変わり、現在は激動の世界で堂々たる中心都市のひとつとなったロンドン、私たちは世界の各都市をピックアップしPros-Consを検討した結果、この成熟都市の中で子育てしようとやってきました。

21世紀が中国の世紀であるといわんばかりに国威を顕示した北京2008に続いたロンドン2012、リーマンショックを引き金とした大不況から抜け切れない中行われましたが、見事に「オトナのオリンピック」を魅せました。 世界中のメディアが大絶賛した開会式の『“Very British”なオリンピック』は普段は自虐的なイギリス人に”Proud to be British”(イギリス人であることを誇りに思う)と言わせました。

どうやら最近のオリンピックは新興国→先進国→新興国→先進国という順番になっているようです(正確には「オリンピック・パラリンピック」ですが長いので略)。 「オトナの国のオリンピック」を魅せたのがロンドンなら「未来の国のオリンピック」を魅せられるのが東京。 ロンドン2012がもたらした効果・遺産は今でも計測・分析されている真っ最中ですが、ロンドン2012のここが東京2020にも活かせるのでは?という点をあげてみました(長い前置き!)。
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変わる・変わる・ロンドン

ロンドンに住んで面白いなー、と思ったのが”gentrification”という言葉(動詞はgentrify)。 イギリスだけじゃなくアメリカにもあると思うけど、日本ではあまり聞いたことがない概念のような気がします。

gentrification・・・高級化、中産階級化。 劣悪化している区域に中流階級あるいは裕福な階級の人口が流入していくのを伴った区域再開発・再建プロジェクトのことで、通常それまでの貧困層の住民が住む場所を失う(アルクより)

田舎が都市化するのはgentrificationとは呼ばず、あくまで都市中心部の荒れた地域が中産階級が好んで住む住宅街に変わるプロセスを指します。
以下、過去15年くらいにgentrificationを経た、代表的なエリア。
Notting Hill・・・1999年公開された映画『ノッティングヒルの恋人』(大好きなラブコメ!)で一躍世界的に有名になった街。 90年代以前はカウンシル・フラット(→『家探しでわかる都市政策』)が立ち並び、カリビアン系黒人が多く住む地域だった(有名なカーニバルはその頃からの伝統)。 大規模なgentrificationの結果、今では有数の高級住宅街に。 ポートベロー・マーケットも私が学生時代好きだった頃のエッジーな面影はなくなり、週末は観光客で溢れ返って歩くこともままならない昨今。

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