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工事が始まりました。

『築120年の家を買いました。』の家の改築工事がようやく始まりました。 ヴィクトリア時代築(推定1890年)の2階建てのテラスハウス(Workers’ cottageと呼ばれる種類で貴族の館ではなく小さな労働者階級の家)です。
大がかりな増築のため、区(カウンシル)の建築計画許可(planning permission)を取得し、ビルダー(施工業者)を決めるための見積もりを取るためのテンダーパッケージ(各種図面と仕様書)を作成、4業者から見積もりを取り価格交渉し、ビルダー決定。 テラスハウス(長屋)で両隣の家と隣接しているため、共有している壁(party wall)に行う工事の詳細に関する合意(party wall award)を取る、この全てのプロセスに7ヵ月かかりました。
ボロ家なので住み辛かったし、夏は『ナメクジ屋敷』と化したので早く出たくてたまりませんでした。 工事が始まっただけで、大きな仕事を成し遂げた感でいっぱいです(笑)。 子どものナーサリーもあるし工事の監督もあるのですぐ近くに引っ越したのですが、今にも崩れそうではない普通の家に移れただけでほっとしています。 やはり住む環境が与える影響は大きい・・・

第一週は解体工事。 あっという間に見る影もなくなりました(写真をクリックすると大きくなります)。
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日英リノベーション業界比較

最近立て続けに友人がFacebookでリノベーションに触れていたので、日本のリノベーション現状についてリサーチしてみました。 私は日本にいた時は居住目的で不動産購入を考えたことがなく、イギリスに来てから建築インテリアデザインに目覚めたので、日本よりイギリスの状況の方をよく知っています。

イギリスはリノベーション大国ですが(注1)、だいぶ日本と前提条件、環境が違うのだということがわかりました。 また、欧米で言うところの’interior designer’(インテリアデザイナー)という職業は日本にはほとんど存在しないため、合わせてまとめておきます。
注1:英語では’renovation’や’reform’という言葉を日本と同じような用法で使いません。 ’refurbishment’、’remodeling’、’modernisation’、’updating’など内容に応じていろいろな言葉が使われますが、ここでは日本語で伝わるようにリノベーションという言葉を使っています。

1. 新築志向の日本と中古が基本の英国
ヨーロッパに旅行すると築数百年の建物からなる街並が続き、まるでタイムスリップしたような感覚になります。 逆にヨーロッパ人が東京に行くと「未来都市だ!」と感嘆します。 『あなただけの家 – 1』に書いたように、イギリスは全住宅流通量(既存流通+新規着工)に対する既存住宅(中古物件)のシェアは日本が13.5%に対し、イギリスは88.8%です(アメリカ77.6%、フランス66.4%。 国土交通省『中古住宅流通、リフォーム市場の現状』より)。 つまり、9割が中古(中古が常識なので「家を買った」と言えば中古のこと。 新築は’new-build’と言います)。
建物の外観は公共に属するものなので、建物の中を現代の生活様式に合うように変えたり(’modernise’や’update’)、改築(’conversion’)や増築(’extension’)を行って自分たちのニーズに合った空間にするのが一般的です。 リフォーム市場(改築・増築など大掛かりな工事から水回りのリフォームなど小さなもの含めてこう呼びます)の規模は大きく、住宅投資に占めるリフォーム市場の割合は日本の27.3%に比べ、イギリスでは54.5%にのぼります(2007年、上記国交省資料より)。
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