Tag Archives: イタリア

人が自然に生きられる社会

昨日紹介した『ヨーロッパの目 日本の目』に、私が初めてのヨーロッパ旅行以来、ヨーロッパに惹かれていた理由(「落ち着く」という表現の方が正しいかも)が「これだっ!」と腑に落ちる言葉になっていたので引用。

人が自然に生きられる社会をどう維持するか、この点に努力をすることが文化の要諦だと考えています。 生活する一人ひとりの心のキャパシティを想像し考慮しながら、すべての経済活動がおこなわれることが鍵です。 良質と表現されてしかるべきモノやコトは、こうした社会からしか生まれようがありません。

「なぜアメリカではなくヨーロッパのビジネススクールに行ったんですか?」と聞かれたことは数えきれず、今まで「ヨーロッパにはQuality of Lifeがある」、「文化度が高い」(→『都市の文化度』)などの表現しか思いつかなかったのですが、経済性だけではない、人の平穏な生活を邪魔する権利は誰にもない、ことが社会の根底に行き渡っているとたしかに思います。
イタリアではイギリスに比べて街がHigh street chain(*1)に浸食されていないことに驚きます。 街には狭い地域に何軒も個人オーナーのバルがあり、どうやら経済的に成り立っているようです。
*1・・・スーパーではTESCO、Sainsbury’sなど、ドラッグストアはBoots、コーヒーはStarbucksやCosta、衣料品はNext、GAPなど、駅前のHigh streetの街並みはどこも一緒。 駅から離れるとindependent shopsがあります(→『日本の鉄道会社の事業モデルは海外でも有効か?』)。

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クリスマスのイルミネーションつれづれ

今さらですがクリスマスの話。
シンガポールからロンドンに来るにあたって、楽しみにしていたことのひとつがクリスマス。 クリスマスのオーチャード・ロード(シンガポール一の繁華街)は、かなり首をかしげるセンスのデコレーションな上に商業的な香りしかしないので、本場ヨーロッパのクリスマスを楽しみにしていたのでした。
christmas_regent_st.jpgそんな私の一方的な期待は・・・むなしく裏切られました。 去年のリージェント・ストリートを華々しく飾ったイルミネーション(左の写真)は(光って見えないけど)、映画『ナルニア国物語』の宣伝・・・
誰がイルミネーションを決めているのかは知りませんが、ハリウッド映画の宣伝はないんじゃあ・・・
ロンドンの”クリスマス3大がっかり”のひとつでした(あと2つは、サウスバンクのクリスマス・マーケットと今週ロンドンの街中に捨てられているクリスマス・ツリーの粗大ゴミ)。
クリスマスの翌日Boxing Dayから始まる冬の大セールも含め、商業主義に走りすぎで興覚め。

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なんちゃって日本食レストラン

一瞬、この記事(↓)の題名だけ読んだとき、違うことを思い出してしまった。
時事ドットコム : 「日本食街」規制の動き=アジア系集中、住民が懸念−パリ
農林水産省が「食を通して、海外に日本文化を理解してもらう」との目的で日本食レストラン海外普及推進機構なる団体を設立し、海外の日本食レストラン推奨計画を作ったという話。 パリではJETROが先導してオーセンティック(本物)な日本食レストランを推奨する制度もあります。
私も今まで海外でまずい(と断言できる)日本食レストランに行ったことは何度もあります。 ほとんどの場合、現地の人に「美味しい日本食レストランがあるから」と連れていかれたところ。
モスクワでは寿司のたまり醤油が水で極端に薄められて出てきたし(逆に普通のたまり醤油は”spicy source”と呼ばれていた)、フランス人に連れて行かれたパリの13区のレストラン(焼き鳥と寿司のセットばかり)は見事に全部NG、トロントのオフィスの裏にあった韓国人が経営する日本食レストランは店名が私のファーストネームと同じで「頼むから、この名前やめてくれ」と思ったことも。
日本人からするとまずい日本食レストランが世界中に溢れていることは百も承知の上で、それでも、それでも、役所が口を挟むことかー?と思います。
以前、『日本のイタリア化』というエントリーを書きましたが、私が想像する明るい日本料理の未来はイタリア料理みたいなもの。

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至福のオリーブオイル

『世界級ライフスタイル』とは「世界中から”いいとこ取り”したライフスタイル」とも言い換えられるので、今日は私を虜にしたオリーブオイルのお話。
去年、イタリア・トスカーナ地方と南イタリアをドライブ旅行したのですが、『世界でいちばん贅沢なトスカーナの休日』を読んで惹かれたトスカーナのオリーブ園にも直前にアポを取って訪問してきました。
70歳になったアルベルトがひとりで切り盛りするPODERE DI PILLOREというオリーブ園は、フィレンツェ郊外のフィエゾーレ近くの丘陵に広がる小さな農場。 今は手造りのオリーブオイルを年間2,000本だけ常連客に販売しており、観光用農場ではありません。 宿泊先のオーナーに30分前に電話でアポを取ってもらったにも関わらず、庭のテーブルにはすでに試飲用のオイルが用意されていました。
今、先進国で出回っている低価格の大手メーカーのオリーブオイルはスペイン・ギリシャ・チュニジアなどで余っている安いオイルをブレンドして、瓶詰めだけイタリアで行い”MADE IN ITALY”のマークをつけて輸出したりしているそうで、機械工程が多く、ほとんど「工業製品」に近い。
そんな風潮に反発するトスカーナのオリーブ農場主たちは、昔ながらの製法で手造りで少量いいものを作り家族・友達・地元で消費するため、本当にいいものは国外に出ていかない、というお話でした。

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'la dolce vita'の由来

今日のエントリーはほとんど個人的な妄想なので、興味のない方は読み飛ばしてください。
ブログのニックネームの’la dolce vita’の由来を聞かれました。
フェデリコ・フェリーニ監督の映画『甘い生活』が由来か?と聞かれますが違います(映画は見たことがありません)。
大学1年のときに習ったフランス語のテキストにあったフレーズから名付けました。 テキストが手元にないのですが、こんなやり取りだった気が(以下フランス語でした)。

A : Jeanはどこにいるの?
B : Jeanは今、イタリアの海でバカンス中だよ。
A : いいわねー、la dolce vita… bella vita…

‘la dolce vita’はイタリア語の直訳では「甘い生活」という意味ですが、フランス語のテキストにも出てくるように、広く「good life, happy life」くらいの意味のようです。
・・・とはいえ、アメリカン・ドリーム的な「若いうちに猛烈に働いてビジネスでひと財産築きあげた」みたいなアグレッシブな価値観ではなく、もっとイタリア的な「スローライフを楽しもう」という方が語感に合っています。
フランス語のテキストでこの表現に出会って以来、私の人生のテーマなのですが、著しく逸脱しているような・・・?
私のイメージ(妄想)する’la dolce vita’を写真で解説(すべて今年6月に行った南イタリアより)。

夜更かしした次の日、起きたらもうお昼近く。
海を見下ろす丘の上にある我が家の庭には・・・

Minoli.JPG

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日本のイタリア化

昨日のブログで書いたように、外からは「”寿司”、”コスプレ”などイメージだけでも」愛されつつある日本。
私はこれを「日本のイタリア化」と呼んでいます。
別に私の造語でも何でもなく、今年の5月に日経新聞のコラム「核心」で「イタリア化する?日本」が掲載されたのですが、記事が見つからないのでポイントだけこちらのブログから拝借すると以下の通り。

1. イタリアと日本は地理的・風土的に似ているといわれてきたが(南北に長い半島、山が多く四季のある風土)、最近は悪い共通点ばかり目につく。
2. 英エコノミスト誌は,駄目な日本を嘆く「JAPAiN」特集の次に「神よイタリアを助けたまえ」と題する駄目イタリア特集を組んだ。
3. イタリアは欧州の病人。 1人当たりのGDPはEU平均以下。一昨年スペインに抜かれ,来年はギリシャにも抜かれそう。 90年代半ばは英国やフランスより豊かだったのに。
4. 90年代前半はOECD加盟国のトップクラスから中位以下の18位に落ちた日本と似ている。 今や両国はG7で1人当たりGDPや借金財政度でブービーを争う「G7劣等生」。
5. 人口構造や少子化も似ている。 フラグキャリア(航空会社)の経営再建が課題だし(*1)、食品偽装事件も並行して多発。 社会保険庁などの行政のお粗末さも似ている。
6. そのくせ日本人はイタリアが好きだ。 経済至上主義に疲れた(負けた)日本人はイタリアを「生活大国」として憧れる。 街にはイタ飯があふれ,日本社会のイタリア化が見られる。
7. 「ねじれ国会」「短命内閣」すら似ていた。 イタリアはようやくそれから脱出したが,日本は依然として「ねじれ」のままで、イタリアにさえ置いておかれつつある。
*1 アリタリアはついに破産。→伊アリタリア航空が破産申請、採算部門を国内グループが買収へ

私もイタリア大好きですが(そして、ブログで使っているニックネームla dolce vitaもイタリア語)、この記事には深く納得。

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