Tag Archives: アジア
2ヵ月前にThe Economistで「アジアの女性たちが結婚から逃げている」という特集が組まれていました。
The Economist : “Asia’s lonely hearts”, “The flight from marriage”
以下、要約。
アジアではどんどん晩婚になっている、それどころか全く結婚しない非婚も増えている(続きを読むをクリックするとグラフが現れます)。 結婚が減っているのは欧米でも同じだが、欧米人は結婚という法律婚にとらわれないようになっただけで同棲は増えている。 結婚も同棲もしないのはアジア特有の現象。
アジア女性が自立した理由は高学歴化と労働市場への参加である。 アジアでは高学歴女性ほど結婚率が低い、これは欧米とは逆の現象である(→『女性における学歴と結婚の相関関係』)。
高学歴が非婚を生むのは2つの理由がある。 ひとつめの理由は高学歴の女性はもともと未婚率が高かった、また都市の方が田舎より未婚率が高い。 女性がどんどん高学歴化し都市に流入するにつれ未婚率が高くなるのは自然である。 ふたつめの理由はアジアのほとんどの国は女性は伝統的に”marry-up” = 「上方婚」するものとみなされてきた。 女性が高学歴化するに従って男女のミスマッチが起こっている。
またアジア特有の理由に女性が家事・育児・介護などの負担をひとりで背負っていることがあり、これが結婚の魅力をなくしている。
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1 Comment | tags: アジア, アメリカ, 結婚, The Economist, 人種 | posted in 4. 教養・知識, 7. 心・精神, 文化・アイデンティティー, 時事
私が働いているのはいわゆる”ブティック系”の経営アドバイザリーファームで、現在のメンバーはイギリス人2人、スウェーデン人、私。 共通点は、先進国出身、投資銀行・コンサル・MBAというバックグラウンドで世界各地で10年以上の職務経験あり(大企業で働いていた時代も長い)。
そしてクライアントは本当にいろいろな業界から成りますが、経営者は欧米人で出身国で何年か働いた後、転勤など何らかのきっかけでシンガポールに来て「これからはアジアだぜ」と独立した、というSME(Small and Medium Enterprise)が非常に多い。 よって、経営者は欧米人ですが本社及びアジア統括会社はシンガポールです(すでにグローバル展開している企業もこれからの企業も)。
こういう環境にいてつくづく思うこと。
これは、先進国で受けた高度な教育や洗練された & グローバルに通用するビジネスのやりかたをフルに活用しつつ、すでに成長が鈍化した成熟社会(自分の出身国)ではなく、成長著しいアジア市場の勢いに乗ろうというキャリア戦略。
中国を目指す欧米人友達の話は『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』に書きましたが、彼らは独身。 家族がいて子供の教育や生活環境を考えると確かにシンガポールはアジア市場をターゲットとする際、ベスト・オプション。
日本の高度成長期がそうであったように、右肩上がりの経済の中、企業の売上を拡大させるのはさほど難しいことではないのです。
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10 Comments | tags: アジア, キャリア, コンサルタント, 日本人 | posted in 2. ビジネス・キャリア, フリーランス
もはや世界的にアジア系の子どもの理数系学力が高いことはコンセンサスになっていると思います。
参考までに、2007年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)の数学(14歳)のランキング。
1. 台湾
2. 韓国
3. シンガポール
4. 香港
5. 日本
国際学習到達度調査(PISA2006)の数学的リテラシー(15歳)のランキング。
1. 台湾
2. フィンランド
3. 香港
4. 韓国
5. オランダ
– 以前書いた『移民の子どもの教育』にも中国人移民の子どもは移住先の国を問わず理数系の成績がよいことを示す結果が出ている
– 渡辺千賀さんブログの『カッコウの巣の小学校』によるとカリフォルニア州で一番学力が高い学校の生徒は90%がアジア人である
など、他にも例は枚挙に暇がありません。
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6 Comments | tags: アジア, マルコム・グラッドウェル, 教育 | posted in 4. 教養・知識, MBA・教育
私は6年前に留学先で多くの白人オーストラリア人(たぶん、みんなイギリス系)に出会うまで、オーストラリア人とカナダ人は性格が似ているんだろう、と勝手に思ってました。
日本ではワーホリの広告などで、カナダとオーストラリアは「大自然、大らかな人々、生活環境が良い」など似たようなポジショニングであっため、「カナダの暖かい版だから、カナダ人よりさらにeasy-goingなんじゃないの」くらいのイメージ(トロントに住んだことがあったのでカナダ人はちょっとわかっていた)。
知り合ってわかったことは、オーストラリア人(イギリス系)はカナダ人とはぜんっぜん違います。
はるかにイギリス人と近い。 メンタリティーもそうだし、志向がイギリスに向いていて、大学を卒業し20代のうちに数年ロンドンで働くのは非常にポピュラー(子供が生まれるとオーストラリアに戻る人が多い)。
衣料品、食品などのコンシューマー製品も欧米向けと同じマーケティング(商品、広告・宣伝)が基本路線で、それにアジア系などマイノリティーに向けたサブバージョンも作る、と聞きました。
それだけにケビン・ラッド首相が去年アジア・太平洋共同体構想を打ち出したときはちょっと驚いた。 「いや、キミに”共通の価値観”とか言われても」みたいな。
日本記者クラブ記者会見(2008年6月11日):「アジア・太平洋共同体」を提唱する
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12 Comments | tags: アジア, オーストラリア, 地球環境問題 | posted in 4. 教養・知識, 時事
INSEADにいた頃、同級生にこう聞かれたことがあります。
A(INSEADの日本人の先輩)のことを”アジア人”と言ったら「俺はアジア人じゃない、日本人だ!」と言われたんだけど、日本人は自分のことをアジア人だと思っていないの?
INSEAD留学前から仕事で海外(主にアメリカ)を飛び回っていたので、私はアジア人と見られることに慣れきっていたのですが、Aさんはそうではなかったのかな?
そんなことを思ったのは、最近日本からシンガポールに遊びに来た友達が送ってくれたこんなメール。
遊びに来る前は、
アジアは初めてなので楽しみ!
と書かれており、旅行後は、
シンガポールは都会なのにアジアなところもあって新鮮だった。
すでに私の感覚がズレてきているんでしょう、このメールは「アジア? ああ、(日本以外の)アジア、という意味ね」と頭の中で立ち止まって( )内を入れないと解釈に戸惑ってしまったのでした。
なお、はてなキーワードでは「アジア人」の定義は次のようになっています。
アジアの人。
英国では主にインド人を、米国では東アジアの黄色人種を指すことが多い。
海外に行くと、日本人も中国人や韓国人とひとくくりにアジア人と呼ばれることが多いのに気づく。
日本人が使う場合は日本人以外のアジア人を指すことが多い。
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4 Comments | tags: アイデンティティー, アジア, 人種 | posted in 7. 心・精神, 文化・アイデンティティー
・・・という内なる声が日に日に大きくなってきたので、来週から上海と北京に行ってきます、プライベートで1週間、ひとり旅。
別に誰に言われた訳でもないし、アジアを語っているつもりもありませんが、華僑の国に住み、周りに中国に行ったことがない人を思いつかないという現在の環境下、「中国本土に行ったことがない」とはなかなか言いにくいものがありました。
もうひとつの理由は、いろいろな旅スタイルを経て、「急激に変わりゆく世界を、しかとこの目で見たい」という「オトナの修学旅行」を求める思いに変わったことでしょうか。
学生バックパッカー時代を経て(→『バックパッカー時代も悪くない』)、社会人になってからは地中海とアジアン・リゾートに現実逃避していた時期もあったのですが、「オトナの修学旅行」に開眼したのが(それまでちっとも興味がなかった)ロシア・モスクワに長期出張していた2004-2005年。
石油バブルで高級車が走り回り、美女しか顔パスできないクラブ(踊る方です、私はコネ入場)では知らない成金オヤジが次々にシャンペンを開ける一方で、(給料の少ない)警察が旅行者を捕まえカツアゲするという(私もカツアゲされた)、貧富の差が急拡大していたモスクワは、経済が急成長する最中に生きる人々の生活やその歪みを間近に見ることができた「あの時代だけのモスクワ」でした。
住みたい街ではないけれど、あの時代にしか見ることができないモスクワを見られたのはラッキーだったと思います。
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6 Comments | tags: アジア, バカンス, 中国 | posted in 5. 趣味・プライベート, バカンス
週末はイベント盛りだくさんでした。
シンガポールのINSEAD卒業生を対象にしたイベントで、シンガポールで影響力のあるスピーカーを招いて30人程の少人数でスピーカーとインフォーマルにディスカッションしようというものがあり、今回のスピーカーは著名なゲノム学者であり科学技術庁 (A*STAR)シンガポールゲノム研究所(GIS)所長であるDr.Edison Liuでした。
詳細な経歴はコチラにありますが、簡単に経歴を紹介(こちらのサイトには日本語も)。
香港生まれ。 子ども時代に家族とカリフォルニアに移住。 スタンフォード大学で化学・心理学の学士号、医学博士号を取得。 University of North Carolinaで教授、米国立癌研究所(NCI)でDivision Directorなどを勤めた後、2001年にシンガポールゲノム研究所所長に就任。
非常に興味深かったので、その中で特に面白かった話をいくつか。
まず、Dr.Liuの経歴(香港→アメリカ→シンガポール)そのものが1980年代以降の高度人材の流れを体現しています。
イギリスから中国への香港返還が決まったのが1984年(実際の返還は1997年)。 この際イギリスは香港市民に対し積極的にイギリス市民権を与えなかったため、大量の移民がカナダ、アメリカ、オーストラリアなどに移住しました。
教育熱心な中国系移民の家庭の例にもれず、Dr.Liuもスタンフォードで博士号まで終了。 その後、”Land of opportunity”の米国で存分に研究し成果を発表、成果に対する表彰・受賞は数知れず。
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Leave a comment | tags: アジア, シンガポール, 海外移住 | posted in 5. 趣味・プライベート, 7. 心・精神, 文化・アイデンティティー, 海外に住む
私は、起業家という人種が好きなので、今日と明日、2日続けて応援ブログです。
red herringという雑誌をご存知ですか?
シリコンバレーにある出版社(雑誌とWeb)で、そのRed Herring社が毎年選ぶ”Red Herring 100″は世界を変える可能性を秘めた革新的なベンチャー企業100社に与えられ、ベンチャー企業の登竜門とも言える名誉ある賞です。
“Red Herring 100 Asia”はそのアジア版。
このたび、今年の”Red Herring 100 Asia”のファイナリスト200社が発表されました。
ふーんとリストを見ていると、何と前職の同僚が会社を辞めて社長に就任したベンチャーの名が。
残念ながら仕事上もプライベートもほとんど絡みがなかったのですが、Red Herring Asiaのファイナリストになっているとは!
本番は12月。 受賞できるといいですね!
去年のRed Herring 100 Asiaの受賞企業(→コチラ)の顔ぶれを見てみると、中国とインドが圧倒的に多い(やっぱり・・・ 今さら驚かない)。
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1 Comment | tags: アジア, ベンチャー, 起業家 | posted in 2. ビジネス・キャリア, 4. 教養・知識, ベンチャー・起業家, IT・テクノロジー
最近仕事を始めて各種アジアの統計と格闘しているのですが、改めて驚いたことが。
なーんだ、そんなの知ってるよ、って方も多いと思いますが、アジアの発展途上国の平均年齢は軒並み30代前半か、下手したら20代なのです。
下の「続きを読む」をクリックすると表が現れますが、この表にあるアジア10カ国の中で何と年齢のMedian(= 中央値。 人を年齢順にずらーーーーっと並べてちょうど真ん中になった人の年齢)が私より上の国はわずか5カ国。 後の5カ国は人口の半分以上が私より若いのです。
なぜかこの表には日本が載っていないのですが、2008年現在日本の中央値は43.8歳(CIA – The World Factbookより)。 香港と並びダントツの高齢っぷり。
また、表に載っていない国も記載しておきます(いずれもCIA – The World Factbookより)。
ベトナム・・・26.9歳
カンボジア・・・21.7歳
ラオス・・・19.2歳
ネパール・・・20.7歳
国民の半分以上が20歳より若いって・・・ どんな世界なのか全く想像がつきません。
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1 Comment | tags: アジア, 日本 | posted in 4. 教養・知識, 時事