Tag Archives: アイデンティティー

国のセルフイメージ

countries_self_image.jpg昨日のyahooニュースになってたので知ってる人も多いと思いますが、すごい調査結果が出てましたね。
自国のセルフイメージ(信頼と賞賛)が調査国中、最も高い国はオーストラリア、最も低い国が日本という上記結果。
The Economist : National pride
これ見たとき、私は「日本人はやっぱり自分の国のことを誇りに思ってないのか〜」・・・とは思わなかった。
それどころか、日本人ほど「日本人論」が好きな国民もいない、よっぽど自国が好きじゃないとできないよね・・・と思っている。

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Happy National Day

昨日はシンガポールNational Day、44周年の建国記念日でした。
『多民族国家の祝日の過ごし方』に書いたように、シンガポールの休日は民族・宗教に関連したものが多く、National Dayはシンガポール国民全員の唯一のお祭りの日。
National_Day_flags.jpg街中がこの日に向けて国旗を飾りhdb(公団)のバルコニーから垂れ下がった国旗がはためくのは毎年お決まりの光景。
戦闘機が空中ショーを行うため1ヵ月ほど前から練習が始まる(日没時に耳をつんざくような爆音を響かせて上空で練習する)のも毎年同じ。
この日のクライマックスは夕方から巨大スタジアムで始まるナショナルデーパレード(NDP)。 簡単に表現すると、北京オリンピックのオープニングセレモニーのスケールダウン版みたいな音楽あり踊りありの一大ショーです。 これに国軍やPAP(シンガポールの与党、人民党)などの行進、毎年異なるナショナルデーソング、クライマックスの花火が加わり、最後の国歌斉唱で国を想う気持ちが最高潮に達する、という趣旨の国威発揚イベント。
政府が大変な予算をかけて行うイベントで今年は不況だから地味にするのかな?と思いきや何のその、今年も派手にやってました(結局、気になってテレビで見てしまった私たち)。
今年の様子は→National Day Paradeオフィシャルウェブサイト

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人材の海外流出を防ぐには?

3カ月ほど前の渡辺千賀さんの「海外で勉強して働こう」エントリーの後起こった数々の議論の中に、「日本の英語教育が役に立たないのは、日本人が海外に逃げないようにするための政府の陰謀だ」というコメントを読んだのですが、その真偽はともかく、それと全く反対のことが起こっている国がありました。
以下、シンガポール政府上級官僚がある高校で行ったスピーチ(いつも記事を送ってくれるYさんが送ってくれました、ありがとう!)

1996年から1999年までの4年間にAレベルをとったトップクラスのシンガポール人生徒5人に1人は、10年後の現在シンガポールにはおらず海外で働いている。 また、奨学金ではなく自前で留学したシンガポール人学生の3人に1人はシンガポールで就労していない。 こうした人材の海外流出問題は軽視できないまでになっている。
人材が不足しては経済発展・繁栄は望めない。 シンガポールのように出生率が低く、人口の小さな小国はなおさらである。
だが、今の若者はグローバル時代に生きている。 政府も海外留学・飛躍を奨励し新しい知識を吸収し経験を積むよう激励している。 だが、優秀な学生が仕事や結婚などを理由に帰国する者が減り続けたら、シンガポールはどうなるのか?
だからこそ、シンガポールへの帰属感を養い、シンガポールの国家社会に貢献するよう幼少から教えこむ必要があるのだ。 子供たちに、誰が育ていつくしんだのかをよく理解させ、持てる力を国家社会に還元するよう教えるべきである。(星日報より)

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ブラック・スワンとレバノン

久しぶりに、うなりながら読む本に出会いました、『銃・病原菌・鉄』以来かもしれない。
2007年以降の金融危機を予言したとして有名になったので、聞いたことある方は多いと思いますが、ナシーム・タレブ著『ブラック・スワン』(本をじっくり読めばわかりますが、著者は金融危機の予言はしていません)。 大ベストセラーとなった前の著作『Fooled by Randomness』(日本語訳:『まぐれ』)も良かったけど(ブログではこちらこちらで紹介)、私は『ブラック・スワン』の方が好きです。
この著者のキャラクターが強烈で本では彼のユーモアが炸裂しているのでプロフィールを引用。

ナシーム・ニコラス・タレブ
文芸評論家、実証主義者にして、非情のデリバティブ・トレーダー。 レバノンでギリシャ正教の一家に生まれる。 ウォートン・スクールMBA修了。博士号はパリ大学で取得。 トレーディングを行うかたわら、ニューヨーク大学クーラン数理科学研究所で7年にわたり確率論のリスク管理への応用を(客員教授の立場で)教えた。 現在はマサチューセッツ大学アマースト校で学長選任教授として不確実性科学を研究している。 前著『まぐれ』は世界30ヵ国語に翻訳されたベストセラーである。 主にニューヨーク在住。

まだ全部読み終わっていないので全体的な感想はまたの機会にして、今日は私が特に興味を持った著者の出身地レバノンについて。
「レバノンってどこ?」って人も多いと思いますが、私も留学中にレバノン人に出会うまでほとんど知りませんでした。 中東の一国で何やら複雑な歴史を持つ紛争地帯のイメージ。

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カミングアウト

このブログも今日が300エントリー目になりました、そしていつの間にかブログを始めてから1年以上経っていました。 いつも読んでくださってる方、ありがとうございます!
100回目も200回目もやった通り、今日は記念日っぽいエントリーにします。
100回目:‘different’と’wrong’
200回目:‘食わず嫌い’と’食った嫌い’
ひとつめは実名のカミングアウト。
こちらに書いたとおり、ブログをニックネームで始めたのは当時まだ次の就職先が決まってなかったからですが(会社によっては禁止)、そういう事情はなくなり、あまり匿名にしておく理由がなくなったので。
また、ブログからリアルの出会いにつながることが多いので、匿名のままにしておくメリットがあまりないかな、とも思いました。
・・・というわけで、今日からProfilesやABOUTページに実名書いてます。
ただ、la dolce vita(←この前、読めないと言われた、ガーン・・・ 普通読めない? 読み方:ラ・ドルチェ・ヴィータです)というニックネームは気に入っているので、これからもお好きな方で呼んでください。

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アボリジニーへの"Sorry"

rabit_proof_fence.jpg夫と出会ってすぐの頃、夫が”rabbit-proof fence”という映画のdvdを貸してくれました。
日本では『裸足の1,500マイル』という邦題で2003年に公開されています。

オーストラリアにイギリス人を初めとするヨーロッパ人が入植し始めた頃、オーストラリアには5万年前から住む先住民族アボリジニーがいました。 ところが、オーストラリアを植民地化したイギリス人はアボリジニーを僻地に追いやったばかりか、白人同化政策を取ります。 その一環が、アボリジニーと白人の混血児(後に純血アボリジニーも)を強制的に親元から離し施設に収容し、白人社会に適応させるという政策。
 
映画の舞台は1931年の西オーストラリア。 アボリジニーの女性と白人男性の間に生まれた3人の姉妹がある日突然「アボリジニー保護局」によって強制的に拉致され、1500マイル離れた収容所に収容されます。 母親に会いたい一心の3姉妹は1,500マイル(2,400km。 札幌から那覇の距離。)離れた故郷を目指し砂漠を歩き続き、ついに家にたどり着くという実話。
私はこの映画で初めてアボリジニー白人同化政策の実態を知りました。

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オカマの日

今日はオカマの日。
知らない人でも、日本人ならちょっと考えると「あーー」とピンとくると思いますが(こない?)、3日3日が女の子の日、5月5日が男の子の日なので、真ん中の4月4日はオカマの日。
ついでに私の誕生日。
・・・と、私は小さい頃からからかわれて育ったので、オカマの日はけっこうメジャーだと思っていたら実は知らない人が多いので、局地的な流行語だったのかもしれない。
なので、初めてググってみました。
betty's_mayonnaise.jpg大阪のミナミを代表するニューハーフパブ「ベティーのマヨネーズ」(右の写真)が1985年4月4日にオープンし毎年イベントを開いたことから広がった(関西限定?)のだそうです(『今日は何の日』より)。
ベティーのマヨネーズ・・・ローカルすぎましたね・・・
混同しやすい以下の4種類をまとめておさらい。 特に当事者の前で間違えて使うとヒンシュクを買うのでご注意。
1. Transvestite・・・異性の服装をする人。 e.g. 映画『キンキー・ブーツ』のローラ
2. Homosexual (Gay, Lesbian) ・・・同性愛者。 e.g. 主演のショーン・ペンがオスカー受賞した『ミルク』のハーヴェイ・ミルク
3. Gender Identity Disorder(性同一性障害)・・・「体の性」と、本人の自覚する「心の性」が違う状態。 e.g. 主演のヒラリー・スワンクがオスカー受賞した『ボーイズ・ドント・クライ』のブランドン
4. Transsexual・・・性同一性障害の中でも特に強く手術を受けたいと願う人。 e.g.『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』のヘドウィグ
言うまでもありませんが、この4種類はmutually exclusiveではないので複数に該当する人もいるし、これら呼称を嫌う人もいます。 オカマは広義の1. Transvestiteの俗称ですね。

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あなたはアジア人ですか?

INSEADにいた頃、同級生にこう聞かれたことがあります。

A(INSEADの日本人の先輩)のことを”アジア人”と言ったら「俺はアジア人じゃない、日本人だ!」と言われたんだけど、日本人は自分のことをアジア人だと思っていないの?

INSEAD留学前から仕事で海外(主にアメリカ)を飛び回っていたので、私はアジア人と見られることに慣れきっていたのですが、Aさんはそうではなかったのかな?
そんなことを思ったのは、最近日本からシンガポールに遊びに来た友達が送ってくれたこんなメール。
遊びに来る前は、

アジアは初めてなので楽しみ!

と書かれており、旅行後は、

シンガポールは都会なのにアジアなところもあって新鮮だった。

すでに私の感覚がズレてきているんでしょう、このメールは「アジア? ああ、(日本以外の)アジア、という意味ね」と頭の中で立ち止まって( )内を入れないと解釈に戸惑ってしまったのでした。
なお、はてなキーワードでは「アジア人」の定義は次のようになっています。

アジアの人。
英国では主にインド人を、米国では東アジアの黄色人種を指すことが多い。
海外に行くと、日本人も中国人や韓国人とひとくくりにアジア人と呼ばれることが多いのに気づく。
日本人が使う場合は日本人以外のアジア人を指すことが多い。

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国家は人を容れる器でしかない?

昨日の夜遅くに上海・北京の旅から帰ってきました。 最終日の万里の長城が見事に晴天で、日焼け止めを持って行かなかったため、顔が雪焼けのように腫れ上がっています。
上海・北京でお世話になった皆様、ありがとうございました。
私が中国に行こうと思ったきっかけは華僑の国に住み、華僑に興味を持ったためですが、中国で出会った(街であいさつしたとかいうレベルではなく、友人に連れて行ってもらった飲み会・イベントなどで話をした)人々も、台湾人、香港人、台湾系アメリカ人、香港系オーストラリア人、シンガポール人、中華系マレーシア人・・・華僑ばっかり。
私は中国語ができないので、英語でのコミュニケーションに限られてしまったのですが、上海生まれの上海育ち、今は上海で欧米系高級ブランドの戦略チームに属し、さぞかし上海でハッピーかと思われた友人も「娘のためにシンガポール移住を考えている」とかで娘さんはシンガポール人候補。
よくあちこちと動き回り、そしてよく自分たちだけで集う人たちである・・・

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One-drop rule

昨日に引き続き、Dr.Liuとのディスカッションで面白かった話。
ゲノム、遺伝学が専門なのでその分野に関するディスカッションが中心だったのですが、One-drop ruleって聞いたことありますか? 私は知りませんでした、軽くショックでもありました。
私は以前からオバマがなぜ「米国初の黒人大統領」と呼ばれるのか理解できませんでした。 彼はケニアのエリート留学生の父(黒人)とカンザス出身の白人の母に生まれたHalf black, Half whiteです。 アメリカの奴隷制を生き抜き公民権運動の結果平等を勝ち取ったいわゆるアメリカの黒人とは全くバックグラウンドが違うので、「Half black, Half whiteと正しく言うか、もしくは全く言及しないか、どっちかにしようよ」と思っていました。
同じことを思っていた人がDr.Liuに質問したのですが、「アメリカにおいて”Black(黒人)”とは、遺伝子レベルの議論とは全く異なる社会経済的なステイタスであり、”一滴でも黒人の血が混じっていると黒人とみなす”」のだそう。
Wikipedia : One-drop rule
なお、このアメリカにおける考え方は、黒人に限ったことではなく、第二次世界大戦中、西海岸地域一帯に住む日本人移民と日本人の血が1/16以上入っている日系アメリカ人(従軍中の者は除く)は全員日系人強制収容所へ送られたそうな。
ひぇぇぇー、1/16って・・・ ほとんど見分けがつかないんじゃあ?
なお、同じ敵国でもアメリカ在住のドイツ人やイタリア人は強制収容所送りになっていないので、人種差別です。

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