Category Archives: 文化・アイデンティティー

「国民性」など当てにならない

昔、「日本の携帯が世界最先端をいっている」と自他ともに認めていた頃、日本の携帯インターネットサービスを海外展開する仕事をしていたことがあります。
日本の携帯キャリアがデータ通信によってARPU(Average Revenue Per User、加入者1人あたりの売上)を伸ばす一方で、欧米キャリアは下がり続けるARPUに悩んでいました。 その頃、欧米でよく聞かれたのが、ユーザーが携帯を使ってネット・ゲームなど電話・SMS以外のことを「しない」理由を「文化の違い」に帰結するものです。
よく言われたのが、
– アジアは公共交通機関が発達しているから移動時間が長い。 車社会では携帯を見ながら運転できない。
– 大きな体のアメリカ人・ヨーロッパ人は、小さな携帯画面見ながら”ちまちま”するのは合っていない。
– 日本人はガジェット好き。
– 日本は特殊だ。
・・・etc.
あの頃から5年。
えーーー、ここロンドンでは猫も杓子もiPhone。 みんな小さい画面を覗き込みながら”ちまちま”やってますが???
スマートフォンは完全にキャズムを超え、携帯でネット・メール・ゲームetc.は日常の姿になりつつあります。
iPhone以前の携帯ネットサービスがユーザーの行動を変えるほど魅力的でなかった、携帯で何でも済ます文化は日本(or アジア)の文化的特殊性に起因するものではなかった、ことが露呈したのでした。

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ボゴタ市長にならう – 人の行動を変えるには?

タリーズの松田公太さんが参議院議員になったと思ったらワタミの渡邉美樹さんが都知事選に立候補するらしい。
お2人とも著書に影響を受けている尊敬する経営者です(松田公太さん→『すべては一杯のコーヒーから』『松田公太さんの新たな挑戦』。 渡辺美樹さん→『幸せはバランスの上に』)。 特に『夢に日付を! 』を読んで以来、Googleカレンダー時代なのにいまだ紙の手帳を使い続ける私。

他人と過去は変えられない
自分と未来は変えられる

がモットーの私はあまり他人を変えようと思ったことがないのですが、政治家って人の行動を変えるのも仕事のうち、ということでとても面白い例を思い出しました。
イノベーション会社IDEOのスピーチで聴いた話 (動画はコチラ)。
1995年、コロンビアの首都ボゴタ市長に就任したAntanas Mockus、ボゴタの長年の問題であった無謀運転による交通事故の多さに取り組みます。 無謀運転を行うドライバーに対して罰金を課す取り締まり強化を始めたのですが、なかなか効果があがらない。
そこで「コロンビア人にとって何が大事なんだろう?」と意見を募ったところ「プライド」というキーワードが浮かびあがってきました。
bogota-mime.jpgそのキーワードにヒントを得た市長が行ったのがこれ(→)。
何かわかります?(笑)

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爆走するイギリス・ユーモア

先日発表されたゴールデン・グローブ賞の司会を務めたイギリス人コメディアンRicky Gervaisのスピーチがやりすぎだ、と話題になっています。

ここで炸裂しているハリウッドのゴシップネタの半分もわかりませんが(ぜんっぜんわかんないですよね? 解説はこちら↓)、注目すべきはネタの内容ではなく出席している大物ハリウッド俳優の表情。
exciteニュース:「主催者は賄賂を受ける」ゴールデン グローブ賞の司会者がスパーク!
明らかに目が笑ってません(笑)。
アカデミー賞の司会でジョークを飛ばしたヒュー・ジャックマンについて以前『オーストラリア、ニュージーランドを笑う』で書きましたが、今回のハリウッド俳優たちをメッタ斬ったジョークはそんなに温かく受け入れてもらえなかったようです。

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経歴よりリファレンス

『なぜ家庭教師ならOKで家事代行はNGなのか?』に、多くの情報ありがとうございました! ネタ元の友人も喜んでいます。
さらに、その友人から、(私がお勧めする)直接契約に関し、

家庭教師の場合は大学名なんかが身分証明書代わりになるけど、シッターとかハウスキーピングの場合、身元確認とかスキルの確認とかかなり面倒くさそう・・・ (=「自分で判断」は初めから放棄してます)

とあったので、今日はこの点について。
ベビーシッターやクリーナーとの直接契約が一般的な社会でも自分で面接と経歴書(CV)だけで判断するわけではありません。 もっと大事なのが「リファレンス」です。
リファレンスとは「前雇用主からその人の働きぶりを聞くこと」です(具体的には、前雇用主の電話番号などコンタクト先を入手する)。 あらゆる採用で非常に一般的(というより必要不可欠)で企業が中途採用する場合もリファレンス(元上司や同僚・クライアントのコンタクト先)の提出を求めることがありますし、賃貸契約の際には家賃支払い能力を証明するために現職場と前家主の連絡先を求められます(→『外国人お部屋探しの高い高い壁』)。
日本と違って、「大学名」や「会社名」など身分証明にならないのですよ・・・ 経歴詐称する人なんていくらでもいるし、本当にその(有名)大学に在籍している(いた)としても多種多様な人が集まっているし(去年クリスマスに米航空機爆破未遂を起こしたのはロンドン大学卒、一連のテロ事件を起こしたオウム真理教幹部は京大出身者多数ではないですか・・・)

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移民X世代

週末はINSEAD Baby Halloweenと称してロンドン在住の赤ちゃん連れINSEAD同級生で集まりました、総勢7カップル(大人14人)+9人の赤ちゃん。 全員2歳以下の赤ちゃんとランチというのは壮絶な光景でしたが(トマト・スパゲティを手づかみで食べてたし)、さすがINSEAD、全員が国際結婚(国籍が違う人同士の結婚)で7組のうち5組の赤ちゃんがmixed(*1)でした。
*1・・・日本語の「ハーフ」は和製英語(→『One-drop rule』)。 英語で”mixed”という時は、主に人種が違う場合に使います(イギリス人とフランス人の間の子どもは”mixed”とは呼ばない)。
フルメンバーは以下、夫・妻の順に・・・
ドイツ人Hとインド系イギリス人K、スイス人Pとスリランカ系イギリス人C、インド系スイス人Rとフランス人A、オランダ人Lとイラン系アメリカ人L、インド系イギリス人Sとインド人、イタリア人Aとスペイン人U、(私たち)オーストラリア人と日本人。
そしてインド系ヨーロッパ人が4人も(*2)。 以前、『シンガポールでインド人について考える – 2』で、「インド人はインド人と結婚する」と書きましたが、移民X世代目でイギリスで産まれ育ち完璧なブリティッシュ・イングリッシュを話しアッパー・ミドルクラスの地位を確立しプロフェッショナルな職につく彼らには「インド人と結婚しろ」というプレッシャーはないのでしょうか? 前書いたように、インドから(親同士の仲介、いわゆる見合いで)奥さんを連れてきたのは1人だけでした。
*2・・・親(または祖父母)の出身地がインド・パキスタン・バングラデシュ・スリランカなどインド亜大陸にルーツがある人たちをまとめてインド系とする。 例えば、私の友人はカテゴリー上ではパキスタン系だが、両親がイギリスに移住した後にパキスタンがインドから分離独立したので、親が「今パキスタンと呼ばれている地方」出身だというだけで、彼にとってこの分類にあまり意味はない。

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ロー・コンテクスト社会の育児中の働き方

日経ビジネスオンラインで久しぶりに1ページに10回くらいうなずいてしまうこのコラム、『英語の公用化って何?』。 著者の河合江理子さんはINSEADの大先輩です、面識はありませんが。
特に全部蛍光マーカー引きたいくらいだった『英語ができても、意思が通じるとは限らない』から抜粋。

私が今でも意識しているのは、アメリカの文化人類学者であるエドワード・T・ホール氏による「『ハイ・コンテクスト文化』と『ロー・コンテクスト文化』についての概念」である。 コンテクストとは、ざっくりと言えば、状況や背景(バックグラウンド)を指す。
ハイ・コンテクスト文化圏としては、フランスなどのラテン系やアジアなどが当たる。 こうした地域では共通の価値観が長い間かけて作られているため、「いちいち言葉で伝えなくても、お互いに相手の意図を察し合うことでコミュニケーションが成り立つ」というのがホール氏の解釈だった。
一方、アメリカやドイツなどは、ロー・コンテクスト文化圏に属する。 こうした国々の人とは、理論的に説明しないと意思疎通できない。 移民国家は、たいていロー・コンテクスト文化である。
ちなみに、日本は「典型的なハイ・コンテクストの国」とホール氏は指摘していた。 実際、日本には「阿吽(あうん)の呼吸」や「空気を読む」といった独特の表現がある。 言葉を使わずに相手の言いたいことを理解するのは、高いレベルのコミュニケーションスキルと言える。

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Grandな結婚式 in マドリッド

外国人友達の結婚式に行くのが大好きな私。
今回はINSEAD時代の友達のニュージーランド人T(新郎)とスペイン人A(新婦)との結婚式に招待されてマドリッドに行ってきました(私たちの南スペイン旅行はそれに合わせたもの)。
INSEAD時代の友達の結婚式には世界中からゲストが集まるので(→『世界一国際色豊かなMBA』)、みな以下のような点に気を使います。
1. 日程のお知らせ(”Save the date”)と招待はとにかく早めに(1年近く前に)出す → 遠方の友人がバカンスを兼ねて来られるように。
2. 英語圏以外の国で行う場合も英語を含むバイリンガル(場合によってはトライリンガル)の進行にする。 
3. モダンな式・披露宴ではなく、開催地(通常は新郎または新婦どちらかの出身地)の文化が堪能できるような会場・料理をセレクト。 新郎・新婦が異文化カップルの場合、式や披露宴の進行はうまくミックス。
4. 遠方から来る友人のホテル予約や現地の慣習(プレゼント・ドレスコードなど)の事前連絡は念入りに。
5. 遠方から来る友人のためにフォーマルな式・披露宴と別にカジュアルなイベントを計画。
これ、全部やるのは本当に大変なのです・・・(私も2年半前に東京でやった時は大変でした、日本語を訳すのは全部私だったし)。
今回も上記すべて完璧に満たされていて、準備大変だっただろうなー
ひと言で言うとスペインの”grand”な式でした(grandって訳すの難しいですが、「威風堂々」ってイメージ)。

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国の価値観と個人の価値観

このブログのタイトルに込めた意味を、

日本国内だけではなく世界中から自分のライフステージに合わせてベストなライフスタイルを選ぶ生き方

とした通り(ABOUTページ参照)、私たちは半年前、今のライフステージに合った場所という仮定のもとロンドンにやってきました。
今のライフステージとは「子育てステージ」。
次の15-20年間は教育を含めた子どもの環境を一番のプライオリティとして住む場所を選ぶことになります。
清潔だし治安はいいし物事がスムーズに運ぶし家事はしなくていいし・・・この上なく生活が楽なシンガポールを去って(←未練たらたらな私たち、笑)、ロンドンに来た理由は、私たちが子どもに持って欲しい価値観とシンガポールという国(政府)が最優先している価値観が合っていなかったことが大きいです。 『ロンドンに引っ越します。』に書いた理由は、この根幹の価値観が具現化した結果という言い方もできるかも。
企業経営の根幹にミッション(使命)・ビジョンと並んでバリュー(価値)があるのと同じように(*1)、国にもその根幹をなすバリューがあることを示すものとして次のような表を見たことがあります。

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平均とは統計上の便宜的な数値

日本代表は残念でしたね。
BBCの解説者は途中から「こんなつまらない試合見たことがない」とボロカスで、そっちを聞いてる方が疲れました・・・ なので、気を取り直して普段のブログ。
『産まれました。』でご報告した通り、私の息子は3,660gと平均よりちょっと大きめで産まれました(日本だと「だいぶ大きめ」かもしれないが、こっちでは「ちょっと大きめ」)。
今まで完全母乳で育てていますが、初めのうちは人並みに苦労しました(*1)。 いきなり乳腺炎になり、痛くて痛くて泣きながらあげていたことも。
*1・・・イギリスでは国を挙げて母乳育児が推奨されている割には日本のようにサポート体制が整っていないこともあり(出産後、1 – 2泊で家に帰されるし)、8割の人が母乳育児を始めるものの、6週間後続けている人は5割に減少、6ヵ月後には2割になる。
growth_chart_boy.jpgイギリスでは子どもが産まれると通称red bookという赤い表紙の健康記録帳(日本の母子手帳のようなもの)を渡され、検診・予防注射・成長記録などを書き込んでいきます。 また生後すぐからbaby clinicという地域のクリニックに2週間ごとに体重を測りに行き、同時にhealth visitor(保健士)に育児の相談ができます。
体重は右のような成長チャート(真ん中の線が平均で下から1%, 2%, 10%, 25%, 50%, 75%, 90%, 98%, 99%と示されたパーセンタイルグラフ)に書き込んでいきます。
息子はちょっと大きめで産まれたにも関わらず、生後5週までほとんど体重が増えずにずっと横ばい、5週目に体重を測ったときには下から10%になっていました。
その時に、Health Visitorに言われたひとこと、「あなたの赤ちゃん、体重増えてないわね」。

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男のスポーツ、階級のスポーツ

日本ではワールドカップでカメルーンに一勝して盛り上がっているのでしょうか???
ロンドンでは街を走る車の多くにイングランドの旗がはためきパブやカジュアルレストランでは大画面テレビで試合を見せ、街では(どこかに集合して見ていたのでしょう)さまざまな国のサポータールックをした集団に出会います。 サッカーのルールもあまりわかっていないと思われるオーストラリア人とサッカーは4年に1回ハイライトを観るだけの日本人の我が家も(一応、両方出場国だし)毎日ハイライトだけは観ています。
一緒に観ていた試合でレッドカード一発退場のシーン、私が「こんな危ないスポーツ、息子にはさせられないわ」と言うと、夫が呆れた顔で「こんな小手先(小足先?)でちょこまかするスポーツ、Real man’s sports(真の男のスポーツ)じゃないよ」とひと言。
彼が言うReal man’s sportsとはコンタクトスポーツ(身体的な接触のあるスポーツ)のことで、オーストラリアではオージーフットボール(*1)かラグビーのこと。 これにクリケットを加えたのが3大人気スポーツで、クラブのキャプテンだったりすると女の子にモテるというわけです(*2)。 オーストラリアではサッカーは南欧移民のスポーツというイメージでクラブも出身別のクラブが多く比較的マイナーなスポーツ。
*1・・・アメフトともヨーロッパのフットボール(すなわちサッカー)とも全く違うスポーツだが、オーストラリアで”football”といえばこれのこと。 オーストラリアの、しかもヴィクトリア州以西という超局地で圧倒的な人気を誇る。 ルールは何度説明を受けても覚えられないのでWikipediaをどうぞ。
Wikipedia : オージーフットボール
*2・・・Real man’s sportsとエラそうに語る本人は身長が高く痩せてて重心が高いのでコンタクトスポーツには全く向いていない。 なので学生時代はちょいマイナーだがいじめられない(←重要ポイント)フィールドホッケーでした、

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