Category Archives: 美食・グルメ

食の都ロンドン

イギリスに対する2大悪口といえば、「天気が悪い」、「食事がまずい」です。
以前、『「イギリスは天気が悪い」をデータで見る』

「イギリスは天気が悪い」というより「イギリスは冬が暗い(そして長い)」

と前者に対する反論を試みたので、今日は後者に関して。

「イギリス料理はまずい」に対する反論もいろいろありますが、最近ロンドンを訪れた人で「まずいものしか出会わなかった」って人は単にレストランの探し方(選び方)が悪いのかと。 特に、ロンドンは世界中から人が集まり、”authenticity”(本場の味)が味わえる外食のバラエティの豊かさではヨーロッパ一。 ポイントは、低技能移民だけではなく、グルメが多い金持ちや高学歴・高技能移民が多いところ(イギリスは高等教育を受けた移民の割合がOECD諸国の中ではカナダに次いで高く、ヨーロッパの中では群を抜いている→The Economist : Immigrants: Better than billed)。 『ロンドンで懐石料理レストラン』の渡辺彩子さんが、

もともとヨーロッパで日本料理店を開く目的でMBA留学した。 ヨーロッパの食の都はパリだと思ってたけど、実際来てみたら食の都はロンドンだったので、ロンドンに予定変更した。

とおっしゃってたけど私もそう思います(残念ながらSakiは閉店)。 

乳幼児を持つ私たちはほとんど外食をしなくなりましたが、もともと食べることが好きなので稀にセントラルロンドンに行くときのレストランは絶対にハズしたくありません。 私が美味しいレストランを見つける方法はシンプル、食べたい料理の国の出身の友人に聞くこと。
・・・と長い前置きでしたが、ロンドンのお勧めレストランのリストをどうぞ〜(いろいろな人に長い間「書くから!」と約束していました)
家では材料が手に入りやすいイギリス料理やイタリアン・フレンチが多いので(家の料理本→Jamie OliverRiver CafeJulia Childなど)セントラルまで行くときは西洋料理ではないエスニック料理を食べることが多いです。 またロンドンではひとり£10(約1,500円)以下で絶品料理を見つけることは至難の技ですが、ひとり£20(アルコールなし)だとかなり選択の幅が広くなるので、断りがない限りこの価格帯のレストランです(以下、思いつくまま、順不同)。
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GENJIでSUSHIと未来を考えた

ロンドンでは”SUSHI”が本当にどこでも見られるようになりました。 今ではどこのスーパーでも売ってるし、サンドイッチ屋でも売ってる。 どこでも「見られる」だけで「食べられる」わけじゃないんだけどね・・・
大手サンドイッチチェーンのPret A Mangerの寿司はシャリがあまりにも機械で固められすぎて落下させたらはずむ、との報告まであります(笑、→『ロンドングルメ – 持ち帰り寿司食べ比べ、落ちても崩れぬ固さに絶句』)。
基本的に、世界のSUSHI業界は、少数の本物志向レストランと多数のなんちゃってSUSHIに分かれており、前者は日系、後者は中国・韓国など非日系が経営しているという人が多いと思います(農水省がスシ・ポリス設立してましたね・・・→『なんちゃって日本食レストラン』)。
今日はカリフォルニア・ロールなど寿司ではなくSUSHIとして知られるロール寿司で有名なGENJIをご紹介。 このアメリカではお馴染みの寿司テイクアウェイ・チェーンは日系で、イギリスのManaging Director(社長)を私の友だちYくん(INSEAD卒)がやっています。

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アルザスの夏の贈り物

1ヵ月くらい前の出来事ですがフランスから小包が届きました。
開けてみると、とーっても綺麗な色をした3種類のコンフィチュール。
『フランス仕込みのコンフィチュール』で紹介したコンフィチュール(フランス版ジャム)のWebショップ“Le fruit de l’aurore”をやっている友人がストラスブールからアルザス特産、夏の果物を詰め込み直送してくれたのでした(→こちらの商品)。 ありがとう!!!
彼女のジャムはそんじょそこらのジャムとはひと味違います。
果物そのものの味が活きてるのは当然として、爽やかだったり華やかだったり、口の中に入れた途端、口の中全体が「ぱっ!」って輝きます。
もともと不思議な組み合わせが多かったのに、「白桃×生姜」、「杏×はちみつ×ピスタチオ」、「いちじく×ラムレーズン」etc. 片っ端から試してみたくなる新商品が増えてる(現在販売中の商品はこちら)。
現在のお薦めはカクテル「モヒート(Mojito)」にヒントを得た「パイナップル×ラム酒×ライム×ミント」だそう。

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"生"Jamie’s 30-minute meals

去年のクリスマスシーズンに発売され「イギリス史上最も売れたノンフィクション」になったのが、セレブリティー・シェフJamie Oliverの『Jamie’s 30-Minute Meals』です(なお、フィクションではぶっちぎりでハリー・ポッター)。
一番売れたノンフィクションが料理本って・・・よっぽどイギリス人って本を読まないのか、よっぽど料理好きなのか? と一瞬悩みますが、Jamie Oliverがそれほど人気なのです。 近年は社会活動家としての顔も定着し(→『Jamie Oliverの食の革命』)、ただの「シェフ」って肩書きを超えて、それこそアメリカ人のオプラ・ウィンフリー好きに匹敵するくらいイギリス人の間で人気でないかしらん?(アメリカ進出は、あまりうまく言ってないみたいだけど)
私はそのうち「サー」の称号をもらうんじゃないかと勝手に思っています。
この『Jamie’s 30-Minute Meals』、「30分でディナー3品(スターター・メイン・デザート)をつくる」というありふれたコンセプトなのですが、本当に30分で見た目よし・味よしのディナーがつくれるというところがすごいらしい。
「らしい」というのは、もちろん我が家にもあるのですが夫しかつくったことがないため。 子どもが産まれて以来、Julia ChildでもなくRiver Cafeでもなく、料理は早さが命(!)になってしまったので、『Jamie’s 30-Minute Meals』は本当に重宝。

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Let it snow, let it snow, let it snow

tower_bridge_snowman.JPG今日はこの曲をBGMにどうぞ。
ロンドンはこの冬2度目の大雪ですっぽりと覆われています。 そう言えば今年初めにロンドンに到着したときも雪だったなー(→『雪とエアコン』)。
地球規模の気候変動は「地球温暖化」と呼ばれることが多いですが、イギリスではここ数年、夏はより暖かく、冬はより寒くなっているそうです。 北極の海水温が上昇し、年々大規模な面積で氷河が消えていく一方、冷たい風が流れ込み北西ヨーロッパに寒波をもたらしているとか。
緯度が高いにも関わらず雪はあまり降らない気候だったロンドンは雪への備えは全くされておらず、雪のたびに空港閉鎖・道路で車が立ち往生・・・と国全土で大混乱が起こります。 そろそろ雪という常態(非常事態ではなく)に備えてもいいんじゃないかと思いますが・・・

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Baby-Led Weaningと『モチベーション3.0』

早いもので息子ももう4ヵ月半、あとひと月で離乳食の時期です。
こんなにオッパイ星人なのに、もう大人への階段を上っていくのか・・・さみしいなあ・・・(←親バカというよりバカな親)
離乳食関連の本を日英まとめて読んでみました。
授乳・睡眠スケジュールでは大いに役立ったGina Ford(参照:『本で読む育児 – 1』『育児が楽しい!』)の離乳食本『The Contented Little Baby Book of Weaning』は、勧められている離乳食がまずそうすぎる(笑)、こんな厳格なスケジュール・内容では食事の時間が楽しくなさそうなのでひとまず却下。 日本の離乳食本も離乳食ステージに合わせた料理が面倒くさそうすぎる・・・。
・・・というわけで今のところ白羽の矢が立っているのが、イギリスで流行っているらしい『Baby-Led Weaning – Approach to Introducing Solid Foods』。 検索しても日本語の情報がほとんどない・・・のはワイルドすぎて日本では無視されているのでしょうか?

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コーヒードリーム花開く

去年の秋、まだロンドンに来る前、『オージーコーヒー、ロンドンを席巻(間近か?)』と書きましたが・・・キ・キテル! ロンドンにオージー・コーヒーブームがキテル!(*1)
注・・・勝手にオージー・コーヒーと名付けていますが、正確にはオーストラリアとニュージーランドから来た若者たち(彼らにとってロンドンに来ることは地方から東京に出てくるようなもの→『ロンドンにとっての地方』)がロンドンのコーヒーの不味さに辟易して自らバリスタになりインディー系(独立系)の小さなコーヒーショップをあちこちにオープンし始めたのが始まり。 私のINSEAD時代からの友人NのTaylor St. Baristasもそのひとつ(→『すべては一杯のコーヒーから』)。 ”Australia and New Zealand”は英語でも長いので、Antipodean(対蹠地の人)と言ったりする。
Young and Foodish.com : London’s great coffee moment has come
costa_flat_white.jpgまず、”flat white”という言葉が流行だし、今年1月には大手コーヒーチェーンのCostaが大々的なキャンペーンとともにメニューにflat whiteを登場させました。 今ではStarbucksでも飲めます。 ただし本場(?)のflat whiteとは似て非なるものですが・・・

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フランス仕込みのコンフィチュール

confiture_cherry.jpgmaison ferber(メゾン・フェルベール)というフランスのコンフィチュール(ジャム)ブランドをご存知ですか?
「ジャムの妖精」と呼ばれるクリスティーヌ・フェルベールがつくる、季節の野菜や果物をふんだんに使った宝石みたいな綺麗な色合いのジャム。
日本では新宿伊勢丹で買えます→伊勢丹新宿店:メゾン・フェルベール
フランス・アルザス地方のニーデルモルシュという人口300人の小さな村にあるこのお店でマダム・フェルベールのもとでコンフィチュールを学び、続いてストラスブールのパン屋さんで修行をした高校時代の友人が、去年帰国し、Webショップを開きました。
Le fruit de l’aurore
彼女と私の出会いは高校1年の15の春、大阪の高校のバスケ部で3年間一緒に汗を流した仲。
大学卒業後、東京の洋菓子メーカーで商品企画をしていた彼女がパティシエになる夢を叶えるため会社を辞めて渡仏。 その後、滞在ビザの壁が高いフランスで何度もビザで苦労しながらパティシエ修行を続けていました。

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サウジアラビア便り – 1

アイスランドの火山灰さえ流れてこなければ、明日夫が出張から帰ってくるはず。
ここ9ヵ月くらい、夫はサウジアラビア(首都:リヤド)のプロジェクトに従事しています。
アラブ諸国の中でも最もイスラム教の戒律が厳格なサウジアラビア。 観光業も発達しておらず、女性の入国は男性親族の許可証がいるため、男性で、しかも仕事でなければ足を踏み入れることはない国でしょう。
今まで訪れた国の中で最も西洋的な文化から程遠く、出張者の娯楽は皆無だそうで、Skypeで「つまらない、つまらない」と連発しているので、「サウジアラビアの変わった文化・風習をレポートしてよ」と言ったら本当に書いてきてくれました。 よっぽどやることないのね・・・(笑)。
今日はレポート第一弾「ティーンエージャーのデート事情」です。 もちろん夫の独断と偏見満載(& 私の適当な訳)。

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Julia ChildのBoeuf Bourguignon

一般的に男性の方が女性より(その対象が何であれ)オタク度が高いのではないかと思う。
私は特に何でも興味を持ってしまう代わりに興味の対象が散漫になりがちで昔から極めてオタク度が低い、一方で夫の方はマイブームが比較的深く長く続くようです。
その特性が適切な方向に向くと、とてつもない恩恵を受けられてしまった、というお話。
義母は昔ル・コルドン・ブルーでディプロマを取ったとかで家でスフレとか焼いちゃうし(家でスフレって焼けるのね・・・)、義父もこちらの通りのグルメ、という恵まれた食環境で育った夫ですが、独身の時はパスタのソースを(買ってくるのではなく)自分で作る程度でした。
結婚後、なぜかみるみる料理に目覚め、旅行先の料理(スパニッシュ→イタリアン→南インド)に片っ端からはまっていきました。 ところがシンガポールは食糧自給率が5%くらいというお国なので、とりわけ西洋料理食材は高く(質の高いものはオーストラリアから航空便で輸入している)、鶏肉以外の肉は目玉が飛び出るほど高かったので、夫の不満は募るばかり・・・(& 我が家にはオーブンがなかったのが致命的)。
ロンドンに引っ越すことが決まってからは、「オーブンで○○作るんだ! △△も作るんだ!」と食べ物の話ばかりしてたし、家探しの際には一緒に近所のbutcher(肉屋)も探してたし・・・(苦笑)。
そんな彼の料理ブームに見事なタイミングでヒットしてしまった映画が(日本でも上映中?)『ジュリー&ジュリア』

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