Category Archives: 家庭・育児

イギリスの小学生の夏休み

イギリスの新学期は9月。 去年9月から小学校に入った長男の初の夏休みが始まって2週間経ちました。 いやあ、覚悟はしていましたが、疲れております。

イギリスでは子どもに親が付添っていなければいけない年齢が法律で決まっているわけではありませんが、The National Society for the Prevention of Cruelty to Children (NSPCC、英国児童虐待防止協会)のガイドラインによると、

– 乳幼児はいかなる時でもひとりにしてはいけない
– 12歳以下は緊急事態に対処できる年齢ではないので長時間ひとりにしてはいけない
– 16歳以下を一晩ひとりにしてはいけない
(出展 – Gov.uk: The law on leaving your child alone、NSPCC: Home Alone

そうで、日本のように夏休みに小学生にひとりで留守番させる選択肢はありません(注)。 どこへ行くにも大人の付き添いが必要で公立の学童のようなところもありません。
注:アクサダイレクト生命の首都圏に住む小学生の母親624人を対象にした調査によると、夏休み期間中の親の不在時に「子どもだけでお留守番」と答えた母親が、小学校低学年が34.3%、高学年が66.3%(→アクサダイレクト生命「小学生の夏休みの過ごし方」調査

そこで共働きの家はどうするかというと、
1. 家族でホリデーに行く
2. ナニー・ベビーシッターを雇う
3. 祖父母を頼る(来てもらう、もしくは子どもを実家に送り込む)
4. 夫婦交代で有休を取って子どもの面倒をみる
5. 民間のサマーコース(ホリデーキャンプ)に入れる
の5種類を組み合わせて恐怖の6週間を乗り切ります。
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ハーフの子育てあるある

最近、時間がなくてブログを書く心理的ハードルが上がっていたので、ハードルを下げるためにくだらない話題を。

タイトルは「ハーフの子育てあるある」になってますが、海外在住の場合です。

1. 子どものカタカナ名が思い出せない
現在直面している最大の問題。

これ、私だけでしょうか? 普段は英語で子どもの名前を書くのですが、子どもが生まれたときに日本領事館に出生届を出して戸籍登録しています。 その時はアルファベットは使用不可なのでカタカナで登録したのですが、長男のカタカナ名が思い出せない!!!
子どもの名前がDavidならば(注:仮名です)「デービッド」、「デイビッド」、「デイヴィッド」・・・etc. いろいろカタカナ表記が考えられるのですが、長男の名前のカタカナ表記がどうしても思い出せないのです。

先日、長男のパスポート更新期限がきたのでロンドン日本領事館に行きました。 用紙を記入している最中にカタカナ名がどちらだったか思い出せないことに気づき、窓口で「思い出せないんですけど・・・」と正直に申し出たところ、「最初のパスポート取得時に戸籍謄本コピーを頂いてますので、そちらをチェックしておきますね〜」と実に日本らしく気の利いたサービス。 そのため、結局どちらかわからず。

そして今、夏休みのため長男はロンドンの日本語幼稚園サマーコースに通っているのですが、私が結局名前を思い出せずに申込書に適当に書いた方の名前でひらがなの練習をしています。 後から「実は自分の名前の書き方間違ってた」って知ったらどう思うだろう?(笑)

早く戸籍謄本チェックしろ、ってそれだけの話なんですが。

なお、今日は次男の3歳の誕生日なのですが、Facebookの「3年前はこんなことがありました」という昔の写真が出てくる機能を見て、次男の日本名の漢字を思い出しました。 おお、そっちの漢字だったか!
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週休3.3日のワーキングマザー

前回のブログから2ヵ月も経ってしまいました。 最近、立て続けにブログを通して連絡を頂いたので重い腰をあげて近況を。

長女が生後6ヵ月になった3月から仕事復帰しています。 イギリスのナーサリー(保育園)の0歳児保育は私立しかなく公的補助はないので、何日預けたいかは親が自由に選べます(ナーサリーによって最低2日/週など規則あり)。 公的補助がなく高額なこともあり、子どもが小さい時は週3, 4日にセーブする母親が多く、週5日働く人の方が少ないのですが、私は長男の時は当然のように週5日、次男の時も週5日預けました。

長男の時は妊娠8ヵ月で渡英し無職のまま出産したため、次に何がしたいのかわからない中、出産と育児が足かせになるのを怖れていました。 就職活動のためだけなら週5日も預ける必要はなかったのですが、ベビーブームのロンドンでナーサリーにはウェイティングリストがあり、就職先に週5日勤務可能であることをアピールするためには就職活動中から預けないとすぐ動けないと思っていました。

その後、東日本大震災をきっかけに『クリエイターになりたい。』と大きくキャリアチェンジしてフルタイム(週5日)学校に通い、卒業の翌月に次男を出産。 この時も焦っていました。 クラスメイトは当然、卒業してすぐに就職活動をし働き始めていたのに、私はまたもや出産・育児。 幸い、フリーランスとして声がかかり仕事探し自体は苦労しなかったのですが、夫がいない平日に例え週1, 2日でさえ手間がかかる盛りの男の子2人をひとりでみるなんて考えられず、週5日ナーサリーに預けていました。

そんな私が長女が産まれて3回目の今回は、仕事を週5日ではなく週3.7日に押さえることにしました、土日週2日に加え、1.3日は働かないことにしたのです、週休3.3日(半端な日数については後ほど)。 なぜなら過去1年くらいで本当に、本当に、すとんと腑に落ちた・・・というか悟ってしまったからです。 ああ、この子たちのこの瞬間を見られるのは今しかないんだ、と。 
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3人育児は2人育児よりめちゃくちゃ大変だった話

去年の8月に生まれた長女も来週で生後9ヵ月になります。
私はものすごく精神的に大変な時はブログには書くのは避けて、ブログにはあえて無関係なことを書きます。 嫌なメールがきたときに即返信しないのと同じ論理、ブログはネガティブな感情を書き溜める場所としては使っていないので。

でも幸せなことに人間とは忘れる生き物。 喉元を過ぎれば本当に熱さを忘れてしまうんですよね・・・ よく子育てが終わった世代の女性が育児真っ最中の女性に冷たいことがありますが、あまりに大変すぎて記憶がすっぽり抜け落ちているのも理由のひとつかなー、と思います。

たまに「3人育てるのは2人育てるのと変わらない」、「上2人が赤ちゃんをみてくれたからラクだった」という人がいますが、「おいおいおいおいおい、2人と3人は全然違うわ!」と100回くらい言いたい。 子どもの年が離れていればラクだと思いますが(2人目が3歳以上)、全員2歳差(4歳、2歳、0歳)の3人育児はめちゃくちゃ大変でした。

3月に仕事復帰して長女(3人目)も保育園に入り、最近ようやく生活のペースもつかめてきました。 私も3回の出産時の痛さとかは忘却の彼方ですが、3人育児の大変さは時間があった時にちょこちょことメモしていたので、ようやくトンネルの出口を抜けた感がある今、ここに記録しておこうと思います。

なお自分用に書いたメモをブログに転載する理由ですが、こういう「育児が辛い」系の内容は小町や知恵袋などの掲示板で「がんばってますね!」系の励ましコメントと「望んで産んどいて甘えるな」系の自己責任論コメントの応酬で終わってしまいがちです。 せっかくハフィントンポストに転載の機会を頂いているので、普段掲示板の育児トピックなど読むこともない人の目にも触れるといいな、と思います。
また、私に3人いるため「3人は2人より遥かに大変だった」となっていますが、1人目の時も2人目の時もめちゃくちゃ大変だったと思っていたので、1人育児や2人育児はラクだ、と言っているわけではありません、念のため。
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Tiger Mum on a Budget

『クリエイティブ教育のための博物館』の続編。 タイトル”Tiger Mum on a Budget”(意訳:お金をかけずに教育ママ)は夫が私に付けたあだ名です(笑)。 最後に付けた「お勧め美術館・博物館リスト」を見てわかるように、ロンドンの博物館はものすごいクオリティの高さでほとんど無料なので冬は足しげく家族で通っています。
1歳台から楽しめる博物館ですが、しっかり会話ができるようになってからより楽しくなってきました。 とはいえ、まだ長男(来月5歳)も幼児なので”興奮して館内を走り回る息子2人を追いかけ回すだけで疲れた”なんてことにならないためにちょっとした工夫があります。
1. テーマを絞る
2. 数日前から博物館の話をして盛り上げる
3. 展示物とすでに子どもが持っている知識・経験をつなげて話す

例をあげます。
最近、宇宙にはまっている息子たち。 South Kensington駅近くの博物館御三家のひとつサイエンス・ミュージアムに宇宙を見に行くことにしました。 目的物はこれ。
planet earth in science museum
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アメリカのママ応援CMが炎上している件

イギリスのクリエイティブ教育の話題から少休止して、友人がFacebookでシェアしていたCMについて。
去年は日本で共働き家庭を描いたCMがやたらと話題になっていました。 味の素の「日本のお母さん」からヘーベルハウスの「家事ハラ」サイボウズの「大丈夫」まで。 その中でこのブログの英フィアットのママ応援CMの記事もすごいアクセス数を記録しました。

今日はアメリカの粉ミルクメーカーSimilacが公開したママ応援CM、現在YouTubeで340万回再生されています。

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三遊間守ります、スコアもつけます。- 2

昨日の続き。
一般に「家事・育児」という言葉で現される皿洗いやお風呂入れといった作業は、野球に例えると野手が目の前にやってきた凡ゴロ・凡フライをキャッチするレベルで、次の2つの仕事への視点が欠けている、という話。
1. 特に子供が小さい時に多いワイルドピッチや悪送球の多さ
2. 対戦相手のデータを調べつくして頭に入れ、試合展開に応じて瞬時の判断・指示を出し、個々の選手をモチベートし実力を引き出す監督・コーチ業

今日は、2. 監督・コーチ業、について、ある1人の女性の話を紹介します。
以前『讃えられないママたちへの賛歌』というエントリーでも書いた本『ケイト・レディは負け犬じゃない』(映画”I Don’t Know How She Does It”の原作)からの引用、下の英テレグラフ紙の記事から読めます。
Telegraph : I Don’t Know How She Does It is the movie for unsung mothers everywhere(『ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)』は誰にも讃えられることのない母親たちへの賛歌だ)
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三遊間守ります、スコアもつけます。- 1

先日の『漏れなくダブりない家事の方法』に色々コメントありがとうございます。
– 家庭の経営は企業と一緒で戦略的なマネジメントが必要である
– 重要なのはトップのCEOレベルと2層目のマネジャーレベルであり、実際のタスク(任務)を行うプレーヤーレベルにはめまぐるしく変化する外部環境(転職・進学・引っ越しなど)・内部環境(子どもの成長・病気など)を鑑みながらリソース配分・調達を行うべき
ということが言いたかったのですが、乳飲み子を抱えて寝不足の私が夜なべしてつくった(←嘘)稚拙な役割分担チャートに興味が集中してしまったようです。
その中でも2つ嬉しかったコメントがあったので、今日はそこを掘り下げます。

三遊間はすべて妻が担うことに(><)

すごい。こういうのがあると燃える男性が多いかも?

そうです、そうです。
政府や大企業の女性活躍推進とかって自分自身は家事の「か」の字もしたことがないおじさんたちが言ってると思うのですが、野球に例えたり、組織図で説明したり、おじさん達から見てブラックボックス化している家事・育児をわかりやすく説明する努力は必要だと思います。
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漏れなくダブりない家事の方法

MBAやコンサル界隈の人ならすぐピンときたと思いますが、タイトルはMECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive、ミーシー)のこと、ちょっと使ってみたかっただけで我が家の家事が漏れなくダブりなくできているわけではありません・・・

子どもが産まれる前は『夫を家事の部下にしない』などというエントリーを書くほど能天気な緩い感じだった我が家ですが、子どもが増えるごとに指数関数的に増える膨大な家事の量をこなすためにシステマチックにやっている方法をご紹介します。

家庭の運営は会社など組織の運営と同じ。 経営者(夫婦)がいて、各部門(家事・育児の分野)のマネジャーが部門の責任を持ち、任務を遂行するプレーヤーがいます。 我が家の場合を図にしてみました(クリックすると大きくなります)。 夫が水色、私がオレンジ、アウトソース先が黄緑。
MECE Housework
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その規制は本当に子供のため?

緑が多いことでは恵まれている今の生活ですが(→『公園は誰のもの?』)、現代って子供が育つ環境としてどうなの?と思うことは少なくありません。
ハフィントンポストの『学力だけじゃない、体力もカネで買う時代』を読んで激しくうなづきました。

一般に、「教育にカネがかかる」と言うと、塾通いや稽古事といった、上昇志向な教育費用を連想する人が多いかもしれない。 だが、現実はもっと厳しい。 生きていくための技能、基礎的な体力や持続力を身に付けるためにも、いちいちリソースを子どもに差し向けなければならないのだ。 ほったらかしでも子どもがバイタリティや生活技能を身に付けてくれる時代は過去のものになったのだから。

イギリスでは11歳以下の子供にはひとりで外出はおろか留守番すらさせることはできず保護者の同伴が必要です。 小学校には大人が送迎する必要があります、習い事も同様(→『ママ友ステレオタイプ』)。 働いていて自分で送迎できない場合はナニーを雇うので、給料のほとんどがナニー代に消えるケースは珍しくありません。
GOV.UK: The law on leaving your child home alone
誘拐や性犯罪、交通事故から子供を守るために定められたものですが、子供が自由に出歩いていい自宅からの半径距離は1970年代から90%も減少しました。 1971年には7-8歳の子供の80%が歩いて通学していたのに対し、今日では10%以下だそうです(The Guardian: Back to nature)。
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