Category Archives: 5. 趣味・プライベート

「絶え間ない幸せの泉」と「自分の周り」

橘玲さんが『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で取り上げていた本『子育ての大誤解〔新版〕上』『子育ての大誤解〔新版〕下』が気になったので原著『The Nurture Assumption: Why Children Turn Out the Way They Do』を読みました。 初めに書いておきますが、邦題の副題「重要なのは親じゃない」はミスリーディングです。 原著の副題「Why Children Turn Out the Way They Do」(どうして子どもはこういう人間になるのか)の方が良いニュアンスです。
1998年という、もう20年も前に書かれた原著の原題は、人間がどういう人間になるのかを決定すると考えられる2つの論派のうちのひとつ、Nature Assumption(遺伝がほぼ全てを決定するという考え方)に対するNurture Assumption(環境がほぼ全てを決定するという考え方)です。 ところが、当時のNurture Assumption派は「環境=親の育て方」の一辺倒だったのですが、これに対し、環境は親だけが与えるものではない、むしろ子どもが育つ同姓・同年代グループの影響が多大、というのがおおざっぱな骨子。 長いですが、興味深い箇所がたくさんありました。

その中で’Relationship’と’Groupness’という言葉が盛んに出てきました。 人間関係を考える上で非常にわかりやすいフレームワークなので今日は’Relationship’と’Groupness’の話です。 邦訳でどう訳されているのかわからないのですが、「関係性」と「集団性」と訳しておきます。
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「どこ」で「誰」と「どのように」生きるのか

最近、30代前半の女性とお話する機会がたて続けにありました。 いずれも日本企業からの駐在員、MBA社費派遣、米企業の日本法人社長などバリバリのキャリア女性たちです。 彼女たちの悩みは、海外キャリア・結婚・出産など・・・ 過去の自分を見ているようです。 この世代の悩みって変わらないものですね・・・

私にとって30代は激動の10年でした。 結婚→シンガポール移住→ロンドン移住→第一子誕生→キャリアチェンジ→第二子誕生→第三子誕生・・・と息つく暇もなかったような。
今年夏に末っ子が3歳になり、ふっと体中にぶら下げてていたダンベルが落ちたようにラクになりました。 なぜラクになったのかは別の記事として書くとして、東京でキャリアウーマンとして30代を迎えた私が、ロンドンで3児のママとデザイナー業をジャグリングしながら40代を迎えることになったのかまとめておきます。 あまり参考にはならないと思いますが(苦笑)。
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伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 2

Stephen Ryanという現代最高峰のインテリアデザイナー、1980年代にはあのホテルオークラの全客室をデザインしたトップデザイナーの西ロンドンにあるお宅の訪問記第2回です。 あまりテレビに出たり、自分の名前を冠したブランド品をつくったりするようなタイプのデザイナーではないので、日本では名前が知られていないと思います。 が、アンティークとアートの鑑識眼、異なる時代・地域のものを自由に組み合わせるセンス、考えに考え、練り抜かれた空間設計、何を取ってもレベルが高すぎて、私にはため息しか出ない、というよりため息すら出ないような空間です。
前回の続きなので、前回をご覧になってからどうぞ。


アンティークの木製彫刻のインパクトもすごいキッチンですが、ディテールに全く気を抜かないStephen。 これは廊下からキッチンへの観音開きのドア。 面材はおそらく合皮のヘビ皮。 ハンドルはアートとハンドルの中間のようなプロダクトで金属製。 住宅設計が基本的に全てオーダーメイドのイギリス(*1)にはドアノブ・ハンドル・ラッチ・ヒンジなどのパーツもひとつひとつ選びます。 例えばアートな部品の代表格Philip Watts、アートなドアノブがいっぱい。
*1・・・参照:『日英リノベーション業界比較』
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伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 1

今年もあっという間に幕を閉じたロンドン・デザイン・フェスティバル、ブログを通してご連絡頂いた方、日本から毎年この季節に渡英するデザイン系の方と懐かしい再会あり、新しい出会いありの楽しい期間でした。

今年のハイライトは、フェスティバルとは直接関係ありませんが、期間中に伝説のデザイナーのお宅を訪問する機会を得たことでしょう。 私も所属する英国インテリアデザイン協会(BIID = British Institute of Interior Design)の日本から来たメンバーのために、澤山乃莉子さんがアレンジしてくださいました。 こんな世界にも稀にみるレベルの私邸を訪れ、デザインしたご本人に案内してもらうなど、一生に何度もない機会です。 乃莉子さん、ありがとうございました!

その伝説のデザイナーとは・・・ Stephen Ryanという人でデザイナー歴30年以上、世界最高のプロ集団BIIDの中でもそのアートとアンティーク・建築・クラフトに関する知識と美的センスが群を抜いており、数々の賞の受賞歴・メディア掲載歴があります。 現在は西ロンドンでStephen Ryan Design & Decorationという自分のスタジオを経営しています(プロフィール写真はウェブサイトから拝借しました)。
Stephenは、イギリスやデザイン界では知らない人はいないDavid Hicksという稀代のインテリアデザイナーがまだ存命だった時代にDavid Hicksのスタジオでチーフデザイナーを務めており、1980年代にホテルオークラ東京、神戸、アムステルダムの一連のオークラ系列ホテルの客室をデザインしています。 オークラ東京の数百室ある客室は全客室、異なったデザインですべて彼がデザインしたそうです。

日本が大好きで「日本でまたたくさんプロジェクトをやりたい。 日本の皆さんになら見せていいよ」と写真撮影とブログ掲載の許可を頂いたので、ご紹介します。 写真は全て私かご一緒したBIID日本人メンバーが撮影したものですが、プロのフォトグラファーが撮影したものはこちらから見られます。
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ユニットバス・クッションフロア・蛍光灯からの脱却

昨日の続きです。

『「ハレ」と「ケ」の建築』と同じく、日本では建物の中でも「ハレ」の空間の美しさに比べ、「ケ」の空間がおざなりにされすぎではないか、というお話。

考えられる理由としては・・・

日本の家はプライベートな場所であり、よっぽど親しい人でないと家に招くことはない。 ホテルやレストランなどの内装が美しいのは空間を含めた体験を売っているので当たり前だが、家の中はプライベートな場所なので見栄えを気にする必要はない。 一方、イギリスでは家は社交の場で、気軽に人を招くので、他人の見た目を気にする必要がある。

もっともらしく聞こえるのですが、判断の軸は「他人」で良いのか?と思います。

Garbage In Garbage Out(ゴミばかり入れているとゴミばかり出てくる)

という言葉がある通り、醜悪なものしか見ないと美しいと感じる感性すら鈍ってしまいますし、そもそも自分の目に入るすべての景色、起きている時間の何割かを過ごす家の中の景色を景色(View)としては見ておらず、空間がそこに住む人に与える感覚を五感を使って感じられなくなっているのではないかと思います。

アレックス・カー氏の『ニッポン景観論』にこういう画像が載ってますが(*1)、まさにこれのインテリア版。


バチカンのサン・ピエトロ広場(現状)©Alex Kerr

バチカンのサン・ピエトロ広場(改善)
大型駐車場ができたことによって、実に便利になりました。アスファルトは危険ですから、ご注意ください。 ©Alex Kerr
*1・・・写真とキャプションは”日経ビジネスオンライン:『この景色は「嫌だ」と思うことが大切です』より引用。

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憧れのインテリアには泊まる時代!のおうち比較

先日ある日本の雑誌の取材を受けたのですが、その中でこんな質問がありました。

日本とイギリスの「インテリア」についての意識の差はどのように感じますか?

紙面の制限もあり、言いたいことが伝えきれなかったので今回は掘り下げてみたいと思います。

ここで話題となっているのは一般の人の家の中ですが、最近、頻繁に利用しているAirbnb、世界中の普通の人の家からインスピレーションを得るのにも使えるのです。 そこで、東京とロンドンで一般の人(ゲストハウスやシェアハウスではなく)が掲載しているAirbnb物件でおうちの中を見てみましょう。

まず、期待に胸をふくらませて東京。 素敵なインテリアを見るのが目的なので検索条件で価格を1泊3万円以上にして探してみましたが・・・

インテリア的に「はっ!」と心が踊るような家が全く見つかりません・・・(Airbnbに載せてらっしゃる方、すみません) 内装の業者は一社独占?と疑いたくなるほど全部同じに見えます。 「あっ、素敵!」と思ったらWIRED HOTELだったり・・・ まあ一般の人は自分の家に他人(よりによって外人!)を泊めたくない、という事情はあるのかと思いますが。 ひとつ他と違って際立っていたのは表参道のコンクリート打ちっぱなしのこのお宅(Tokyo Artist Loft in Omotesando)。

ホストは映画製作が本業で東京とブルックリンの二拠点生活、建築家のご友人とつくった家だそう。
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ロンドン・デザイン・フェスティバル2017

今年もロンドンで行われるデザインのお祭りに世界中から人が訪れるロンドン・デザイン・フェスティバルの季節になりました(オフィシャルサイト:London Design Festival)。 今年は9月16日(土)から24日(日)にわたってロンドン市内の各地で、クリエイティブ事務所・メーカー・ショップがオフィス・工房を一般にオープンし、屋外では大規模なデザイン・インスタレーションが行われ、クリエイティブたちによる各種セミナー・パネルディスカッションが行われ、さまざまな展示会にバイヤーが集います。 
2012年、ニューヨーク・タイムズにこう言わせたロンドン、

悪いな、ミラノ・東京。 残念だったね、ストックホルム・パリ。 アインドホーベン・ベルリン・バルセロナ・・・そして特にニューヨークよ、許しておくれ。
だけどロンドンこそが世界のデザインの首都だ。

デザインの首都の最大のお祭りであるデザイン・フェスティバル、少し古いですが、その意義について4年前にも書いているのでご覧ください(→『ロンドンのデザイン・エコシステム』)。
街中が右のロゴで溢れ、観光客でも気軽に立ち入ることができるのですが、見どころが多いので、ざっくりと全体の概要をご説明します。
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旅における「本物体験」とは何か?

ルーマニアのマラムレシュシリーズ(→1, 2, 3)の最後に、今日は旅において「本物体験」とは何か、「本物体験」を多くの人が体験しようとするとどうなるか、ということを考えたいと思います。
「物より思い出」ということで近年「本物体験」が盛んです。 Airbnb(*1)でも宿のホストの他に「地元でしかできないユニークな体験をホストしよう」というサービスが新しく始まりました(→体験ホスト)。
*1・・・Airbnbについて初めて書いたのは6年前(→『おうち交換で格安旅行!』)。 その後、ゲストとしてもホストとしても利用しています。 まだアカウントを持っていない人はこちらから初回割引クーポンがもらえます。

私がマラムレシュ旅行で泊まったのもAirbnbでしたが、世界遺産の木造聖堂以外は観光地化されていないので、伝統工芸を見るのも乳搾りなど酪農体験をするのも日々の生活の営みとしてやっている人を見つけて、見せてもらうよう頼まなければなりません。 当然すべてルーマニア語・・・ 私たちが泊まった2軒目はホストの親戚がロンドンに住んでいてコミュニケーションは全部ロンドン経由。 Airbnbレビューに以前泊まったゲストが「山に羊飼いの小屋を見に行ったのが楽しかった」(*2)とあったので、私も山に羊と羊飼いを見に行きたいと頼んでみました。 そこには1週間滞在したのですが、頼んだのが滞在初日の月曜日。
*2・・・この地方ではほとんど家庭が零細農家であり零細酪農家。 牛・馬・豚・羊・鶏などの数種類の家畜をそれぞれ少数持っています。 家の近くの牧草地では牛や馬を放牧し、羊はプロ羊飼いが村の羊をみなまとめて山の上の方の牧草地に連れて行きます。 カルパチア山脈は今でも全ヨーロッパの6割の熊、8割の狼が生息していると言われ、熊や狼から羊の群れを守りつつ羊を放牧させるのは、さまざまな仕事をこなす農家の人と違い、プロ羊飼いの仕事です。

翌々日の水曜日に、「近所の農家の人で山に連れていってくれる人探してるんだけど、今は繁忙期で忙しいから誰も見つからない。 もしかして滞在中には無理かも・・・」という返事。 ああ、そうでした、ここの人たちは4月から10月のうちに1年分の食料と肥料をつくらなければいけないから(こちら参照)8月はもっとも繁忙期だよね。 暇な旅行者の相手してる人なんかいないんだわ・・・
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ヨーロッパ最後の中世 マラムレシュ – 3

マラムレシュ紹介シリーズ最終回!
前回までは今もほとんど変わらないBreb村の生活様式の話でしたが、今回は変わりつつある側面の話。 引き続き、William Blackerの著作“Along The Enchanted Way”から。

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共産主義政権が倒れた後、初めにやってきたのは文化人類学者や言語学者たちだった。 その後、国内経済が極度の困窮に陥り西側諸国のチャリティー団体から支援物資が送られてきたが、自給自足で食べるものにも着るものにも困らないBrebの人々はなぜ物資が送られてくるのかわからなかったそうだ。

生活が徐々に変わり始めたのは2000年代初頭だった。 村に舗装された道路が通った。 荷馬車が主な交通手段だった村に車がやってくるようになった。 それまで子どもたちは朝から晩まで自由に外を出歩いて農業を手伝ったり家畜の世話をしたりしていた。 村で初めての交通事故で8歳の男の子が死んだ。 西側の多国籍企業の商品をたくさん積んだ行商の車がやってくるようになった。 見たこともない品物の数々に人々は心を踊らせた。 今まで全ての物をつくっていたのに、物を持っているかどうかはお金を持っているかどうかのバロメーターになった。 若者は民族衣装ではなくTシャツにジーンズを着るようになった。
2010年頃には村にサテライトTVがやってきた。 外の世界の人々が住んでいる世界、見たこともない品々の数々に村の人々は驚愕した。

2007年、ルーマニアがEUに加盟してからは他のEU諸国に出稼ぎに行く人が出てきた。 村の男性は誰でも自分の家くらい建てられる。 出稼ぎ先で建設労働や農業などに従事して貯めたお金で帰国してからは高級車に乗ったりコンクリート製の家を建てる人が出てきた。
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ヨーロッパ最後の中世 マラムレシュ – 2

『ヨーロッパ最後の中世 マラムレシュ – 1』の続き。
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各家庭では野菜・小麦・とうもろこし・果物などを栽培している。 家畜から出た排泄物をもとにした有機肥料で土地の地力を保つ有機・有畜農業で農産物がよく育つが雪に閉ざされる冬の間に必要な食料品は全て秋の間に酢漬け・塩漬けにする。 農作物はすべて無農薬、現金収入がない農民は農薬を手に入れる現金がないからである。 薬もハーブやナッツを基本とした民間療法である。

(滞在した家で毎日出てきたブレックファスト。自家製バター・チーズ・ジャムと庭で採れたトマト・きゅうり・ピーマンに朝産み卵と朝搾り牛乳。 パンとコーヒー以外は全て自家製。)
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