Category Archives: 英語・外国語
現在8歳、日本の学齢で小学3年生にあたる長男が、週1回、土曜の午前中に通っていた日本語教室に行くのをやめたい、と宣言してから1年が経とうとしています。 理由は同じ時間帯にある地元のサッカークラブの練習に参加したいため。
あの時、私は軽く・・・というよりかなりショックでした。 このまま彼は日本語の読み書きを忘れてしまうのだろうか?と。
(このあたりの経緯をご存知ない方は下の三部作を先に読んで頂くと、スムーズです)
『Google翻訳イヤホンが投げかける答えのない問い』
『Google翻訳イヤホンが示す二極化する未来』
『キミたちはいつ日本人になるチャンスを失うのだろうか?』
ロンドンの日本語教室で国語の教科書を基に勉強を始めてからわずか2年弱、小学2年の3学期(今年の1月)に行くのを止めてしまった長男。 止めたタイミングと時を同じくして去年の年末年始に私たちは日本に一時帰国していました。 その一時帰国中に、彼が見事に、完全に、はまってしまった物があります。
それがこれ。
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11 Comments | tags: 日本語学習 , 日本語教育 , 海外子育て | posted in 4. 教養・知識 , 5. 趣味・プライベート , 英語・外国語 , Uncategorized , 家庭・育児
前回 の続き。
翻訳イヤホンが出てくる数日前の話です。 きっかけは長男と次男が通う小学校の放課後に行われているクラブの中でスペイン語のクラブが最小催行人数である8人が集まらずキャンセルになったという話。
補足説明をすると、公立小学校ですが放課後のクラブは有料、希望者のみ、定員あり(日本と異なり先生のボランティアではない)。 日本の部活のようにひとつの部に所属するのではなく、それぞれのクラブが決まった曜日・時間に週1回で開催され、毎日さまざまなクラブの選択肢があります。 学校の先生が率いるクラブもあれば外部の習い事業者が学校の敷地内で開催するクラブもあり、部活より習い事に近いイメージ。 学校の敷地内でやってくれるので便利とは言え、決して安くはないので、いくつクラブをやらせるかは家庭によってまちまち。 最小催行人数が集まらなければキャンセルになることもよくあります。
子どものためにスペイン語のクラブを申し込んでいたのに未催行になったギリシャ人のママ友が「イギリス人は他の言語を学ぶのに興味がない」とぷりぷり怒っていた話を夫にしたところでした。 すると夫が「小学校で第二言語が必修じゃないなんておかしい」と熱弁をふるい始めたのです。
夫:「何でオランダ人やスウェーデン人が英語ができると思う? 彼らが特別に賢いからじゃない、小学校で英語が必修だからだ。」
私:「いやー、だってこれからの世界で英語はできなきゃだめでしょ。 でもこの国では英語は母語じゃん。」
夫:「それは外国語を学ぼうとしないイギリス人と同じ言い訳だ。 Brexitが何で起こったと思う? 英語を話せない=自分とは異なるよそ者だ、と思うような人たちが離脱に投票したんだ。」
私:「・・・・・」
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4 Comments | tags: バイリンガル , 自動翻訳イヤホン , Google , 日本語が亡びるとき , 日本語学習 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語 , IT・テクノロジー
先日、Googleが自動翻訳機として使えるイヤホンの販売を発表しました(→‘言語40種、一瞬翻訳イヤホン登場!グーグルから’ )。
Googleの機械翻訳がブラウザChromeに実装されたり、日常生活に(Appleの)Siriやら(Amazonの)Alexaが入って御用聞きをしてくれるようなってから数年、こういう方向に世界は進むんだろうな、と思ってはいましたが、想定していたより製品化が速くてビックリ。 来るとわかっていた未来が近づくスピードが速くなっている気がします、自分が年を取っただけかもしませんが・・・
ここ数年の間ずっと悩んできた、でも答えのない問いがまた大きく膨らみ始めました。
それは「我が子にどこまで日本語をやらせるべきか」という問い。
このブログの中でシリーズ化するつもりだったのに、シリーズ化できなかったトピックに「バイリンガルの頭の中」シリーズというのがあります。 長男が2歳8ヵ月の時に書いたこの記事 が最初で最後です。 その理由は家庭では二言語(母と日本語、父と英語)、家庭外では一言語(英語)という我が家の子どもたちの環境では完全なバイリンガルは無理だと早々に悟ったからです。 英語と言語的に近いヨーロッパ言語ならいざ知らず、日本語と英語のバイリンガル(会話及び読み書きともに母語並みに操れるレベル)は『日英バイリンガルへの道』 で書いたように、私は家庭で日本語(両親ともに日本人で家庭内言語は日本語)、家庭外で英語(初等教育後半から中等教育を英語の現地学校で受けた)と完全に分かれていたケースしか知りません。 そのケースでも日本語のレベルを保ち伸ばすために土曜に日本語補習校に通うなど親子とも並々ならぬ努力をされています。 我が家の子どもたちのように英語のボリュームが圧倒的に多い環境において漢字の使いこなし(新聞が読め、仕事で使える文章が書けるレベル)まで求めるのは、親の努力だけではほぼ無理でしょうし、子どもにとっても親にとっても、それが望ましい時間とエネルギーの使い方なのかは疑問です。
そこで『日英バイリンガルへの道』 に書いたように、日本語学習において、「なぜ(WHY)」と「どのレベルまで(WHAT)」が重要になってくるのです。
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6 Comments | tags: ハーフ , 自動翻訳イヤホン , Google , 日英バイリンガル , 日本語学習 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語 , IT・テクノロジー
時が経つのは本当に早い。
『日英バイリンガルへの道 – 1』 、『 – 2』 を書いた頃は長男はまだ生後3ヵ月、ここに書いた通り、息子には私が日本語で、夫が英語で話す生活を続けてきました。 2歳を過ぎた頃から急に言語能力が向上、当時は週5日ナーサリーに通っていたため口から出てくるのは英語ばかり(でも私が言うことは理解している)、「バイリンガルなんてまだまだ先の話だわ」と思っていたところ、最近急に日本語がたくさん出てくるようになりました。
近所の日英バイリンガル家庭の女の子(3歳)が、在ロンドンの日本の幼稚園サマーコースに行ったところ、それまで英語オンリーだったのが日本語が出てくるようになった、とのことなので、うちもウィンターコースに2週間入れてみることにしました。 さて、念願の日本語上達は見込めるでしょうか?(車のない我が家が車で30分の幼稚園まで送迎するのでわざわざその期間はZipcarするのです)
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5 Comments | tags: バイリンガル , 英語 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語 , MBA・教育
ちょっと前にTwitterで夏野さんが
日本人が議論ベタなのは議論上の意見とその人の人格を一体化したがる傾向があるからだと思います。
理由は簡単。論理性で負けるから必殺攻撃に出てるわけです。
とつぶやいて、その後盛り上がってました(『異端児こそサバイブしなければならない』 書いたように夏野さんとは1年以上プロジェクトご一緒したことがあります)。
『技術やアイデア単体に価値はない』 で引用した奥山さんも
面白いのは日本の議論の仕方っていうのが、何かと個人攻撃になってしまうこと。 これは日本の言葉の作りっていうものがどうしても目上とか目下とか、男性とか女性とか、自分の相手に対する相対的な位置を示す感情を表す言葉があるのに対して、英語とかイタリア語っていうのは非常に少ない言葉で情報の内容を的確に相手に伝える言語の作りなんです。 だから、誰が何を言うかってことは重要なじゃなくて、その話の内容の方が重要だって順序になってる。
とおっしゃってるので、確かに日本人にそういう傾向があるんだと思います。
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4 Comments | tags: コミュニケーション , 英語 , 日本語 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語
昨日のエントリー や渡辺千賀さんの『バイリンガル脳』 を読んでいて思った中で役立ちそうなことを。
私も英語の文章がまず頭の中に出てきて、それを日本語に訳そうとしたり、日本語の会話の中で突然センテンス丸ごと英語になったり(日本語に訳すのも面倒なので、そのまま出しちゃえ!)、ということはよくあります。
1. 英語で読んだり聞いたりしたことはそのまま英語で脳の中に格納されている
最近は本もニュースも英語の方が多いし周りも英語環境なので、印象的なことは無意識のうちにそのまま英語で脳内に格納されています。
例えば、「いい言葉だなー」と思って最近自分に向かって唱えている
You can have it all, just not at the same time.
『What I Wish I Knew When I Was 20』 (邦訳:『20歳のときに知っておきたかったこと』 )の著者Tina Seeligがスタンフォード学生に向けたこの(↓)講義で言っていた言葉。
赤ちゃんが産まれたばかりで「何をどうやったら、仕事も親業も両立できるのか?」と途方に暮れる新米パパ・ママに向けた言葉で、私の新しいマントラのひとつ。
言葉の持つ力は大きいので、(例え訳者がどんなに優秀でも)本は原文の方がいいのは、著者(話者)の実感がこもった力強い言葉が自分の中に蓄積されるからかなー
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Leave a comment | tags: バイリンガル , 英語 , 本 , 渡辺千賀 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語
バイリンガル(候補)の子どもを持つお母さん・お父さんに朗報です。 「バイリンガルに育つと能力的に有利」という心理学と脳科学の学者の研究結果が出ました。
NY Times : The Bilingual Advantage
脳の中にエグゼクティブ・コントロール(実行管理)システムがあり、複数の事柄から重要なこと・意味のあることに集中するよう常に指示を出している。 バイリンガルに育つと2つの言語を常に抱えながら、エグゼクティブ・コントロールシステムが場合に即した言語に切り替えてアウトプットを出している。 バイリンガルはこのシステムをより頻繁に使うため、重要なことを効率的に判断することに長けるようになる。
結果として、
– バイリンガルはモノリンガルよりアルツハイマーの症状が出るのが5, 6年遅い
– バイリンガルはマルチタスキングに長ける
などの研究成果が出ているそうです(渡辺千賀さんの最近のエントリー『バイリンガル脳』 も同じ内容ですね)。
興味深かったのは、北米(この学者はトロント大学)でも数十年前までは「バイリンガルは能力的に不利」という通念があったそうですが、
Some of this was xenophobia. Thanks to science, we now know that the opposite is true.
通念の背景には外国人嫌いがある。 科学の進歩のおかげでその逆が真であることがわかった。
としているところ。
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「ブログが更新されていないけど生きてるか?」と親から電話がかかってきました。
えーーー、生きてます。
最近ブログを書くという脳が死んでるので、The Economist からお役立ち記事を。
“How was your day?”と聞くと、いつも”Not too bad…”と返ってくるオーストラリア人の夫(*1)と結婚して3年以上、そんな私でも「イギリス人って本当に何考えてるのか本心がよくわからん言い方するなー」と思うことが頻繁。
*1・・・”Not too bad…”はアメリカ人的には”Great!!!”です。 感覚的には「GoodでもBadでもない中間よりちょっとGood寄り」でしょうか。
そんなイギリス人の婉曲話法が集められていたので、これからはこのリストを常備してお出かけしよう。
The Economist : Euphemistically speaking – This may interest you*
なお下記のうち”What is understood”は、(直接的な表現をするオランダ人やデンマーク人は)こういう意味だと受け取ってしまう、ということ。 Enjoy!
What the British say: “I hear what you say”
What the British mean: “I disagree and do not want to discuss it any further”
What is understood:”He accepts my point of view”
What the British say: “This is in no sense a rebuke”
What the British mean: “I am furious with you and letting you know it”
What is understood: “I am not cross with you”
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5 Comments | tags: イギリス人 , 英語 , The Economist | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語
『アクセントで判断されてしまうイギリス』 へのコメントでyuさんが24種類の英語のアクセントの動画を紹介してくれました(ありがとうございます!)。
VIDEO
ははは、彼、うまいですねー
特に(バックグラウンドを考えると当然と言えば当然だけど)British EnglishとIrish Englishがうまい、ジャパニーズ・イングリッシュは下手(笑)。
数ヶ月前、ナーサリー探しの話をママ友達としていた時、ひとりがこんなことを言っていました。
「snob(お高くとまった嫌みなヤツ)でごめん・・・なんだけど、○○ナーサリーに行ったとき、保育士さんの1人が”innit? innit?”って言ってたのよ。 ちょっと私の娘には”innit?”なんて覚えてもらいたくないから、そのナーサリーはやめにしちゃったー」
この時は何のことかわからなかった私。
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2 Comments | tags: ロンドン , 英語 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語
先週の金曜、時間は18:10(外はすでに真っ暗)、息子をナーサリーに迎えに行き家に帰ってきた直後にドアベルが鳴りました。 自分の家のもっとも不満なところのひとつですが、イギリスってインターホーンがないのですねー
(よくわからない募金依頼が本当に多いので)「嫌だなー」と思いつつ、ドアを開けると、そこには上着も着ずに寒そうな大柄の黒人が。
「隣に住んでるんだけど、ガスのメーターを見にフロントドアから外に出たら、誤って自分のうちから閉め出されてしまった(フロントドアはオートロック)。 大変申し訳ないんだけど、お宅の裏庭からうちの裏庭にフェンスを乗り越えて行きたいから家に入れてもらえない?」
「は???」と固まる私。
(心の中で)”アナタ、何をおっしゃってるんですか? だいたい隣に住んでるって言われたって今まで見たことないし、ここはロンドン。 外は真っ暗だし、知らない人を家の中に入れるわけないジャン・・・ 裏庭に通じる部屋では息子が寝てるし、こんな大きな人に殴られでもしたらひとたまりもないし・・・”
固まっている私にさらに「いやー、本当に悪いんだけどさー」と申し訳なさそうに閉め出された経緯を説明するこの黒人、よく見ると靴すら履いていない。
すると、隣の家の陰、ちょうどガスのメーターがあるあたりから、ひょこっと作業服を着たガス会社のおじさん(白人)が顔を出し「ガスのメーター読んでたらドアが閉まっちゃったんだよー」と説明(ロンドンでは定期的にガスの検針をしにくる)。 IDカードも見せてきたので、「どうやらこの2人の言っていることは本当らしい」と判断して家の中に入れました。
家の中に入った(自称)隣の家の人、裏庭に通じる奥の部屋まで来た途端、突然豹変・・・
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5 Comments | tags: イギリス人 , マルコム・グラッドウェル , 第1感 , 英語 , 階級 , 偏見 | posted in 4. 教養・知識 , 英語・外国語