Category Archives: 時事

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を観た

本田直之さんがFacebook上で絶賛されていたので、『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(原題:”Where to Invade Next”、”オフィシャルサイトはこちら)を観ました。 マイケル・ムーアは結構好きで、このブログでもちょこちょこ書いているのですが(*1)、これは完全に見落としていました。
*1・・・『待ってました!『キャピタリズム』』

この映画は自分の国を世界一だと盲目的に信じていて外国のことに興味のないアメリカ人に対して、「いやいや、他の国から学べることがこんなにあるんだよ。 アメリカン・ドリームとか言ってるのはアメリカだけだから」とわかりやすく教えてあげる映画です。 エッセンスは映画評論家の町山智浩さんのまとめ(→こちら

「国が強くなればいい。国が金持ちになればいい。GDPがいちばんになればいい」って思っているけど、そうじゃなくて、「一人ひとりの国民が幸せかどうか」で国の良し悪しは判断されるべきじゃないか?っていう映画

に集約されますが、さらに詳しい内容は町山さんの評論や吉川圭三さんの『人間を幸せにしないアメリカというシステム。〜『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を観て〜』を読んでください。

で、これは他のムーアの映画と同じくアメリカ人を対象としたドキュメンタリーなのですが、イギリスに住んでいる私にはイギリスへの(そして、ある側面では日本への)アンチテーゼとしても受け取れました。
Continue reading


どこかで見た地図

Facebook眺めてたら、ふらーっと流れてきたこの地図。

???

この見たことありそうで、なさそうなこれは??? いったい何?
Continue reading


ポスト大統領選のサバイバルガイド

11月9日の朝、起きて目にした光景は本当に6月24日を再生しているかのようでした。
大外れだった事前予想も、不安が悲鳴に変わっていくFBフィードも、確定後に起きた、訳知り顔の評論家の解説も、若者たちの反トランプデモも、米各地で起きたヘイトクライムも・・・

BBCで”US Election 2016: A survivor’s guide to unexpected voting results”(2016年米大統領選:予期しなかった選挙結果に対する生存者のガイド)という記事がありました。 今回の選挙結果に大変ショックを受けているアメリカの市民に対し6月の英国でのEU残留・離脱を問う国民投票の結果に同様にショックを受けた先人(survivor)からアドバイスする、という内容です。
その中で、予期せぬ選挙結果から受けるショックとそのショックから立ち直るプロセスに、身近な人の死の”grieving process”(喪失による悲嘆のプロセス)が例えとして使われていますが、私もBrexitでは同じような喪失感を感じました。 自分が住む慣れ親しんだ場所 ー 自由で進歩的で多様性があって寛容で未来志向で外に開いた場所 ー と信じていた場所が、自分の周りの小さな世界だけで、自分の狭いサークルから外に出るとそうではない、という事実を知ることは、自分が信じていたその国の価値観(*1)を根底から疑わせるものであり、人によっては自分がその国をホームと呼ぶことに決めた自分自身の決断の是非まで疑わせるものです。
*1・・・参照:『国の価値観と個人の価値観』

悲嘆のプロセスは次の5段階を経ると言われています。
1. 拒絶:こんなことが起こるなんてあり得ない
2. 怒り:どうしてこんなことが起こったんだ? いったい誰のせいなんだ?
3. 交渉:なかったことにしてほしい、そうしてくれればXXするのに。
4. 鬱:悲しすぎて何も手につかない
5. 受容:起こったことを受け入れられる
Continue reading


安倍マリオが拓いた新境地

もうたくさん記事も出ていますが、素晴らしかったですね、リオ五輪の閉会式でのTOKYO2020プロモーション。
安倍マリオにすっかり持っていかれた感はありますが、映像・音楽・ダンス・グラフィックスの融合で「未来都市 TOKYO」感が溢れ出ていて素晴らしかったです、Teaser(予告編)としては最高レベル、海外メディアでも総じて「2020年東京オリンピックに期待が持てる」とポジティブな評価だったようです。
ドラえもん・キティちゃんを初め、うちの2歳でも知ってる世界的知名度のキャラクターのオンパレードで「そうそう、これが見たかったんだよ」と、もげるくらい首を振ってしまいました。 あの後、「ポケモンがいない」、「ゴジラは?」などネット上が大いに賑わいましたが、本番に何が出てくるか興味を掻き立てるのがTeaserですからね、大成功だったと思います。

さて、話題をさらった安倍マリオですが、真面目を国是とする一国の現役首相にこの役をやらせるシナリオを書いたプロデューサー陣、稟議(?)を通した事務方、振り付けの指示に首を縦に振った安倍首相も皆素晴らしいと思います。 BBCの中継ではアナウンサーが一瞬絶句した後、「派手なパフォーマンスで知られている訳ではない首相がマリオになって登場しました」というようなコメントをしていました(←記憶あやふやですが)。 

国のトップが自らを笑いのネタにするというのは高度なテクですが、コミュニケーション効果はバツグンです。 人間味を感じさせるし、話題性があってPR効果は大。

今年に入ってからアメリカのオバマ大統領もイギリスのキャメロン首相もやっているので紹介します。
Continue reading


昨夜トルコで起きたこと

昨日の晩、子どもたちを寝かしつけた後、前日に起きたニース・テロのニュースをBBCサイトで読んでいた。 近頃、世界中で不穏な事件が続いていて心がいつもざわざわしている。 多くの子どもが犠牲になったという痛ましいニュースを読んでいた最中に飛び込んできたのが「イスタンブールのボスフォラス海峡を渡る橋が2つとも軍部によって通行止めになっている。 首都アンカラで通常の指揮命令系統に従っていない軍部が異常な低空飛行を行っている」というBBC速報。

私はビジネススクール(MBA)時代に特に親しくなった友人の中にトルコ人が多い。 みなトルコ外での国際経験豊かだがトルコに戻った友人もいる。 MBA卒業旅行にトルコに行き、お互いの結婚式にも出席し、彼らがロンドンに来るたびに会って、去年は夏はボドルム、冬はイスタンブールに遊びに行き家族ぐるみで付き合っている。
ところが夏のボドルム旅行から帰ってきた直後、ボドルム海岸に溺死したシリア難民の3歳の男の子が打ち上げられ世界に衝撃を与えた。 そして冬のイスタンブール旅行から帰ってきた直後にイスタンブールの観光名所で自爆テロ、その後も2回の自爆テロが起きており、首都アンカラでも自爆テロが起きている。 その度に、「なぜこんなことが・・・」と悲しむ友人たちに「無事でよかった」という言葉しかかけられなかった。
Continue reading


Brexitが示すのは民主主義の限界か?

前回のエントリーには沢山のアクセスがあり、コメントくださった方、ありがとうございました。 先週のイギリス時間24日(金)の朝に国民投票の結果が出て、その後の混乱の中、ささっと読める記事を拾って25日(土)の朝に書いたものなので、当日のロンドンに住む残留派が受けた衝撃がよく現れている、と考えて頂いてけっこうです。

いろいろ補足はあるのですが、他に書きたいこともあるので一点、前回のエントリーのガーディアンのグラフからanti intellectualism(反知性主義)のくだり。 EU離脱の結果が出た直後にFT(Financial Times)サイトに寄せられた読者からのコメントが「簡潔に完璧に言い表している」と絶賛されて拡散されていました。
Continue reading


Brexitというパンドラの箱

昨日の朝、「なーんだ、結局杞憂だったんじゃん」って夫と笑い合ってからいつもの騒がしくも平和な日常に戻るつもりで起きた。 ところが、Twitterフィードがおかしい、FBフィードもおかしい。

最初は何が起こっているのかわからない、現実が理解できない、呆然とひたすらニュースを読みあさる、そして24時間以上経った今はショック、そして怒り、悲しみ、まだ信じられない、そしてまた怒り・・・
これは、ほぼ全額ポンド建ての我が家の家計資産が一夜にして毀損されたとか、不況になったら自分の仕事はどうなる?、とかそういう個人的な経済上の問題ではない。 私たちの子どもたち世代の将来に、何十年にも渡って根深く悪影響を与える取り返しのつかないことをしてくれた、という怒り・悲しみである。

最初に前提を確認しておくと、私はビザ上は夫(オーストラリア人)の”UK Ancestry Visa”という「祖父母の誰かがイギリス人でコモンウェルス市民なら来ていいですよ」というビザの配偶者という形でイギリスにいるので(*1)、イギリスがEUの一員かどうかは直接的には私のビザステイタスには関係がない。 イギリスが自国内のEU住民を全員国外追放したとしても(そういうことは人道上起こりえないが)、私のビザには関係がない。 そういうテクニカルな問題とは別に、私たちがロンドンにやってきた理由(*2)は他のaspirationalなEU出身の若者とほとんど変わらない。
*1・・・参照:『大英帝国の末裔ビザ』
*2・・・私はいつも「イギリス」と「ロンドン」を使い分けている、東京が日本の全てではないのと同じ。 私たちがロンドンに来た理由はこちら
Continue reading


「最近の親」が誇るべき1つの事実

最近また「スマホ子守りが発育をゆがめる」という「啓発」的なニュースを読みました(→『子どもが騒ぐと肩身が狭く…゛スマホ子守”3歳児の3割 「発育ゆがめる」懸念も 福岡のNPO調査』)。 子供のスマートフォン使用の是非については、こちらでもよくニュースになりますが、「最近の親はあやし方がわからない」的な論調ってイギリスではあまり見かけないですねー、なぜなんでしょう? 私には「最近の若者は○○」(○○には「草食系」とか「内向き」とか流行りの言葉をどうぞ)と同類の年寄りの僻にしか聞こえませんが・・・

だいたいこういう人たちは「昔は親が畑仕事で忙しかったので兄妹が子守りをし近所の人も気軽に預かってくれた。 スマホなんかなかったし、みんな赤ん坊のあやし方くらい知っていた」とか言うんですが、年端のいかない子どもや好意・善意だけで預かってくれる近所の人に安心して大事な命を預けられますかねー? 預ける子の年齢によると思いますが。

そこで私たち「最近の親」が「昔の親」と比べて誇るべきひとつの事実です。
Continue reading


『子どもはイギリスで育てたい!』

イスタンブール話を休止して、友人が本を書いたのでそれをシェアしようと思います。 浅見実花さん『子どもはイギリスで育てたい! 7つの理由』(献本御礼)

彼女とは渡英時期が一緒で(2010年)まず彼女の旦那さんと知り合いになったのですが、家が近所で子ども同士の年齢が近く、お互い3児の母という共通点もあり仲良くしています。 両親も親戚もいない異国の地で私が3人目を妊娠した時、「ここなら3人育てられるよ!」と太鼓判を押してくれたのが彼女。 双子(現在7歳)の下に男の子(4歳)がいて、旦那さんは出張が多く不在がち、専門のマーケティング・リサーチの仕事もしている彼女の忙しさは同じく3児の母である私にも想像に難くないのですが、おまけに本まで執筆していたとは! 

この本は日本で上の双子の出産・子育てを経験してから渡英し、次男をイギリスで出産・子育てしている過程で次々に浮かんだ自分の疑問に答えるためにいろいろ調べていくという章立てになっているし、実際に彼女が経たプロセスというのはそうだったのでしょう。 自らの好奇心に答える形で組み立てられるこの本から見えてくるものは『子どもはイギリスで育てたい!』というタイトルから想像されるような個人の異文化体験記ではありません(*1)、21世紀を生きるに当たって普遍的な価値観とは何か、その疑問に真摯に答えようとし社会システムとして仕組みで体現しようとするイギリス社会の姿です。 それはエピローグにこのように現されています(エピローグの引用なのでネタバレっぽくて申し訳ない)。
Continue reading


ロンドンにギグ・エコノミー到来

アメリカで「ギグ・エコノミー」という言葉が現れてしばらく経ちます。 以前、『カリフォルニアを見よ。』というエントリーで

世界を変えるような大きな時流(メタ・トレンド)ってまずアメリカのカリフォルニアで発生して、それがすごいスピードで打たれて叩かれてテストされて、こなれたり改善したりローカライズされて、世界の中でも時流が回ってくるのが早い場所から順にぐるーっと回ってきて、気がついたらいつの間にやら世界の様相が変わってる

と書きましたが、英語圏の大都市で人口が若く、アーリーアダプターも多いロンドンにはトレンドはすぐ回ってきます。 シリコンバレーから本家が上陸することもあれば、ロンドンで生まれたコピーキャットが先攻することも。

ギグ・エコノミーというのはミュージシャンが「一夜限りのライブ」をするように労働者が「単発の仕事(タスク)」を請け負うことで成り立つ経済のこと。 新しい現象ではありません。 ダニエル・ピンクが『フリーエージェント社会の到来』を書いたのはもう13年も前ですが(私がブログに書いたのは7年前→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』)、労働者のフリーランス化の更なる進行、仕事のタクス化、先進国におけるミドル・スキルジョブの後進国(及び機械・コンピューター)への流出、テクノロジーの進展(特にモバイルのアプリ)により人々が課題の即時解決を求めるようになったこと、など全てつながった結果です。
参照:『未来に備える本』というエントリーで過去の「新しい働き方」関係のエントリーを集めています。
Continue reading