Category Archives: 日本
「ヨウコ!!! いったい何が起こってるの? 教えて!」
仕事関係の知人、サステイナビリティーの専門家アンに半年ぶりに、最近あるパーティーで再会した時の最初の言葉がこれ。
彼女がその次の言葉を継がなくても何を意味しているのかわかった私。
「私の方こそ教えて欲しいわよ、わからない!」
ちなみに、都議選で都民ファーストが圧勝したのはなぜか、とか九州の豪雨のことについて聞かれたのではない。 彼女と私の共通の話題は唯ひとつ・・・デザイン。
これは、数年前から兆候が見えていたが、今年の春から目立って現れるようになった、デザイン界におけるJAPANブームのことである。
フード業界でのJAPANブームはもはやブームの域を超えて(少なくとも)ロンドンでは定着した。 寿司はサンドイッチと並び手軽に食べるランチのオプションとなりコーヒーショップのチェーン店でもパック寿司が買える。 私の子どもたちが通う小学校で毎年恒例の夏祭りではハンバーガーやホットドックと並んで寿司の路面店が出る。 NYなどアメリカの大都市からはだいぶ遅れてやってきたラーメンブームも定着の兆しを見せており、私たちが来英した7年の間に雨後の筍のようにラーメン店ができた。
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Leave a comment | tags: アート, イギリス, デザイン, JAPANブーム | posted in 4. 教養・知識, 日本, 時事
私が『さらに少子化を考える』というエントリーを書いたのはちょうど5年前ですが、ここに来て随分日本のネットメディアで取り上げられることが多くなったなー、と思っていたら、安倍政権が「50年後に人口1億人維持」を掲げ、その目玉が少子化対策なんだそう。
無理めな高い売上目標を掲げるのは企業ではよくあることですが、その中身は他企業の買収が中心だったりして、とりわけ巨大企業が成熟業界において自社内リソースだけで持続的成長を遂げるのってすごい難しいんですよー
しかもこれを実現しようとすると、
2030年を目処に合計特殊出生率を人口置換水準である2.07まで引き上げなければならない(ハフィントンポスト:『少子化対策を真剣に考える――異端的論考3』より)
そうで、今の出生率が1.4前後なのでこれはおそらく今までどの先進国も成し遂げたことのないレベルです。
団塊ジュニア世代に属する私は昔から子どもが2人は欲しかったので、子どもを産み育てる人生を随分前から自分ごととして考えてきました。 少子化対策は15年くらい前から行うべきで、マクロで見ると出産適齢期の女性がどんどん減少するこれからではとっくに手遅れだと思いますが、当事者としてどういうことを考えるのか、ということを書いてみたいと思います。
子どもを産み育てる当事者として男女問わず考えるのは、自分の子育ての①長期展望と②短期展望です。
短期展望の話は次回にして今日は長期展望の話。
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『「北欧インテリア」って何?』の続き。 日本における西洋インテリアの成熟度はまだ「イタリア料理といえばナポリタン」だった時代のイタリア料理と同じレベル、というお話で、1. 日本ではインテリアを表現する言葉が曖昧、の続きです。
2. 日本では一斉に同じスタイルが流行る
これはインテリアに限らずファッションでも同じですが、日本では皆が同じものを欲しがります、ひと昔(ってほど昔でもないか)「エビちゃん風ファッション」が一世風靡したときのように。 告白すると私もあの時代、何を血迷ったか白のふわふわモヘアカーディガンを買ってしまったことがありますが、エビちゃんファッションの特徴である純白とかベビーピンクっていわゆるイエロー肌の人には全く似合わないんですよねー 猫も杓子も同じものに飛びつく現象のイタいところです。
日本の新築住宅に輸入住宅というのがありますが、あれも本格派○○住宅という触れ込みのものすごい「なりきり住宅」が登場します、ほとんどゴスロリなどコスプレを思い出してしまう。 コスプレはひとつの文化なので別にいいのですが(話がまた飛びますが、日本のゴスロリはイギリス屈指の名美術館V&Aの特別展示になったほどユニークなもの)、自分という軸はないのか?と気になるのも事実。
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私はロンドンに来て建築インテリアに目覚めました。 「インテリア」というと「女性のもの」「素人が手作りするもの」「何か特定のスタイルを目指すもの」という感覚が日本ではあると思いますが、こちらでは住む人の生き方そのものが現れていて人々の関心度・深みがレベル違いです(→『あなただけの家 – 1』、『- 2』)。 女性だけのものではなく、「男のインテリア」も多いし、もちろんDIYは盛んですが、ある一定レベル以上の家ではプロ(デザイナー)を雇って完成させます。
なぜ皆そんなに関心があるのか?にはいろいろ理由がありますが、衣食住の優先度が「住→食→衣」であること(日本では「衣=食→→→住」)、生活の優先順位が仕事ではなく家族や友人なので家で過ごす時間が長いこと、家に人を招いたり招かれたりすることが社交の中心であること、でしょうか。
昔、日本ではイタリア料理といえばスパゲティーナポリタンとピザ(Quattro Formaggiとかではなく、サラミやピーマンがのってるやつ)という時代がありました。 チーズといえば給食に出てくる剥いて食べるプロセスチーズ(笑)。 それが今や都内のイタリアン・レストランのレベルの高いことと言ったら・・・ 間違いなくロンドンよりレベルが高いです。
ところが、西洋空間のインテリアという分野ではイタリア料理に例えるとまだサイゼリヤが出てきた時代くらいに留まっている気がします(和空間のインテリア=意匠はまた全く別の世界)。 おそらくイタリア料理のように本場で修行した経験の長い熱いプロ層が足りないのでしょう、一般の人の興味がないというのもあるだろうし。
今日は日本における西洋インテリアがスパゲティーナポリタンっぽい理由を書きますが、インテリア業界の方を批判する意図は全くないので、「もっと知りたい」と興味を惹くきっかけになれば嬉しいです。
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1 Comment | tags: インテリアデザイン, 北欧インテリア | posted in 2. ビジネス・キャリア, 4. 教養・知識, 建築・インテリア, 日本
今朝目が覚めたら東京に決まっていました、尽力された皆さん、おめでとうございます。
シンガポールからロンドンに移ってきた2009年に私は『成熟国からの視点』というエントリーを書いています。 20世紀初頭に世界の大国の地位をアメリカに譲り渡し二度の大戦後は経済衰退する一方だったイギリス、主要都市では中心部の荒廃が進み、首都のロンドンは70年代には世紀初頭より20%も人口減となりました(右の表はグレーター・ロンドンの人口推移)。 ところが、今年4月に生涯を閉じたサッチャーの一連の改革(80年代)で劇的なカムバックを果たします。 見事に生まれ変わり、現在は激動の世界で堂々たる中心都市のひとつとなったロンドン、私たちは世界の各都市をピックアップしPros-Consを検討した結果、この成熟都市の中で子育てしようとやってきました。
21世紀が中国の世紀であるといわんばかりに国威を顕示した北京2008に続いたロンドン2012、リーマンショックを引き金とした大不況から抜け切れない中行われましたが、見事に「オトナのオリンピック」を魅せました。 世界中のメディアが大絶賛した開会式の『“Very British”なオリンピック』は普段は自虐的なイギリス人に”Proud to be British”(イギリス人であることを誇りに思う)と言わせました。
どうやら最近のオリンピックは新興国→先進国→新興国→先進国という順番になっているようです(正確には「オリンピック・パラリンピック」ですが長いので略)。 「オトナの国のオリンピック」を魅せたのがロンドンなら「未来の国のオリンピック」を魅せられるのが東京。 ロンドン2012がもたらした効果・遺産は今でも計測・分析されている真っ最中ですが、ロンドン2012のここが東京2020にも活かせるのでは?という点をあげてみました(長い前置き!)。
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Leave a comment | tags: オリンピック, ソフトパワー, ロンドン, 都市再生, TOKYO2020 | posted in 4. 教養・知識, 日本
2週間くらい前に全国の赤ちゃん連れを震え上がらせたこの記事(→『再生JALの心意気』)、「飛行機に乗ったら赤ちゃんの泣き声がひどくてブチ切れたのでJALにクレームを入れた」という漫画家さかもと未明さんの記事です。
2周くらい周回遅れだけど気になっていたのでイギリスの話。
なぜイギリスの話を出すかというと、別にイギリス賛美をしているわけではなく、社会が非常にロジカルに構成されているから。 社会が阿吽の呼吸で動いているのではなくロジック(論理)で動いているため納得感があるし説明がしやすいのです(ロー・コンテクスト文化については以前もこちらに書いています)。
『当事者性と専門性』に引き続き2 x 2マトリックス登場。
社会はこのような場によって形成されていると思います。 縦軸はその場がパブリックであるかプライベートであるか。 横軸は赤ちゃん(or 幼児)連れにとって、その場に行かない(もしくは人に預けて出かける)という選択肢があるかないか。
①はパブリックな場であるが、赤ちゃん連れにとって他の選択肢がある場合。
②はパブリックな場で、かつ他の選択肢がない場合。
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6 Comments | tags: イギリス, 育児, 日本 | posted in 4. 教養・知識, 日本, 時事
久しぶりにThe Economist誌から。 この記事、面白かったなー
The Economist : The real wealth of nations
JB Press : 世界各国の本当の「富」:日本はまだまだ豊か
国の経済力を計るのに最もよく使われる指標、GDP(国内総生産)。 中国が日本を抜き世界2位になり、近い将来、米国を抜いて1位になることは事あるごとにさまざまな文脈で語られ、今でも最もよく使われる指標であることに間違いありません。 一方で、GDPが必ずしも国力や国民の豊かさ・幸せを現しているわけではないことも十分に認識されていて、このブログでもGDP算出方法そのものを変えようというフランスの提案や(→『幸福度をGDP算出に』)、日本でも有名になったブータン政府のGNH(Gross National Happiness、国民総幸福感)(→『Crowded & Discovered』)など書いてきました。
今回は国の「総富」を計ろうとする試み。 GDPが一定期間の所得というフローしか現していないのに対し、自然資産、人的資産、物的資産を合計したストックを集計したケンブリッジ大学教授のレポートです(世界20ヵ国対象、フルレポートはこちらから)。
IHDP : Inclusive Wealth Report 2012
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最近こんな図をよく頭に描いていました。
身近な例として妊娠・出産・育児を例に説明します。
①・・・自身も出産経験のある産婦人科医、子育て経験のあるベビーシッター(ナニー)など専門家。
②・・・自身は未経験の産婦人科医、ベビーシッター(ナニー)など。
個人的には、専門家はその知識や臨床経験、その他の人間力などで判断されるべきで、自身が直接当事者・経験者になったことがあるかどうかは必須要件ではないと思っています。 が、「経験したことないくせに」という批判をする人、多いですねー
友人の産婦人科医 宋美玄さん(大ベストセラー本『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』
の著者)のブログに
時々「先生は子供作らなくていいんですか?」とか「産んだことのない人が言っても説得力がない」などと言われることがあり
とあり、ビックリしました。 男性の産婦人科医にこんなこと言う人いないよね・・・
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Leave a comment | tags: 育児, 出産, 日本 | posted in 4. 教養・知識, 5. 趣味・プライベート, 家庭・育児, 日本
息子が産まれてから自分自身一番驚いたのは、溢れて溢れて止まらない愛だった。
Unconditional love(無償の愛)というものが自分の中にとめどなく溢れてくるのは初めての経験だった(『Before I was a Mum』)。 息子が、親である私たちだけではなく祖父母・友人・保育士さん・街で出会う人々・・・さまざまな人からの愛情を栄養にしながらすくすく育つのを日々見守ることができるのは言葉に現せないほどの喜びになった。
世界中のすべての子どもがこんなに愛されて育ったらさぞかし世界は違った場所になるだろうと思った。 もし愛が石油や木材みたいに形があってシェアできるのであれば、溢れ出る親の愛たちを少しずつ集めれば、事情があって親の愛情を受けることなく育つ子どもたちに分けてあげられるのに、と思った。
嫌なニュースも多い世の中で、一番辛いニュースは児童虐待のニュースになった(過去の関連エントリー:『イギリスの児童虐待対策』)。 生まれてくること・生まれてくる家庭を選べない子どもたちの中に、人生の冒頭から精神的・身体的苦痛を受ける子どもたちがいることを知ることは心臓を素手でぎゅっと握りつぶされるような感情を伴うものとなった。
私と同じように、自分の子どもを愛して止まない親たちに、そしてすべての子どもは生まれ落ちた環境がどうであれ愛情を浴びながら育つ権利があると信じている人に、読んで欲しい本があります。
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8 Comments | tags: 育児, 日本, 本 | posted in 4. 教養・知識, 日本, 時事
す・すごいな・・・橋下さん・・・
私、日本の政治は全く追ってなかったのですが、今日全紙でトップニュースを飾るであろう新聞記事よりも、見るべきはこの当選直後の2人のインタビューです、長いけど濃密。
これ見たとき、歴史が動いた音が聞こえた。 民主主義の音がした。
多忙な毎日の中で、普段のニュースは信頼できるメディアの解説記事に頼っていいし、私自身ほとんどマスメディアは見ない。 でも、たまーーに「これはニュースのソースを見るべし」と言う瞬間がある、これはそのひとつだと思う。
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Leave a comment | tags: メディア, 地方問題, 政治, 日本 | posted in 4. 教養・知識, 日本, 時事