Category Archives: 3. マネー・ファイナンス

為替ニュートラル

よく「(イギリスに引っ越すタイミングで)ポンドが安くなったからよかったね」と言われるのですが、うーーーん、短期的な為替の動向ってほとんど意味ないのであんまり気にしていないのです。 その代り、覇権通貨がどう変わっていくかはめちゃくちゃ気にしてます。
為替動向の感じ方って「どの通貨のどういう期間の視点で物事を見るか」によると思うので、我が家のポリシー「為替ニュートラル」について書いてみます。
1. 家計の資産形成
我が家の家計資産(というほどたいしたもんでもないけど)の大半は30年くらいの長期投資・運用です(老後の生活費とマイホームを買うかもしれない時の頭金)。 この資産をどの通貨で持つかが最重要。
結婚時の話し合いの結果、今後の世界基軸通貨になるであろうUSドルとユーロで半々ずつ(*1)持つことで、短期的な為替変動に心惑わされない為替ニュートラルな心理的ポジションを取ることで合意しました。 よって、2人の出身国通貨(日本円とオーストラリアドル)はすでにほとんど持っていません。
*1・・・「半々ずつ」という比率にあまり意味はありません。 4: 6でも6 : 4でもいいのですが、それくらいの細かい調整は流動性の高い資産であればすぐできるので。
ところが、シンガポールからはユーロ建ての金融商品を買いにくいので、現在すべてUSドル建てになっています(投資対象商品もすべてブログで公開しているので、興味のある方はカテゴリー投資・資産運用からどうぞ)。 これをロンドンに引っ越したらユーロ建て資産にも分散することが目下の課題です。

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生保のバイブル

短い東京滞在の最後はライフネット生命保険副社長の岩瀬さん
前日の飲み会に風邪で欠席されたので、成田エクスプレスに乗る前のわずかな時間にオフィスにお邪魔しました。 お互いTwitterやブログ、チャットで近況は知っているので、世間話をして、最新著の『生命保険のカラクリ』を頂戴、献本御礼(もらった本のレビューを書くときは、小飼弾さん風にこう書かないといけないらしい)。
岩瀬さんが生保業界の風雲児としてライフネットを創業される前の私にとっての生保は「絶対買いたくない金融商品」でした。 関西人らしく、自分が購入する商品には”Value for Money”を重視する私が今から7年ほど前に検討した結果は、
1. 投資や貯蓄目的の金融商品としては他の金融商品に劣る
2. 私が死んで経済的に困る人はいないから死亡保障は必要なし
の2点の理由により「自分には必要なし」。
FP3級の勉強(→『FP技能士3級のススメ』)や橘玲さんの『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』などを読んだ結果、高コスト体質の非効率な業界が消費者の利益より業界利益を優先して生み出した限りなく中身が不透明な金融商品だと思ったことを覚えています。
一方、ハーバード留学記で存在を知っていた岩瀬さんが、独立系ネット生保を立ち上げ古い体質の業界に斬り込むことを知り「そう来るか?!」と仰天したのが2年ほど前(これがなければ「HBSで上位5%なんて賢い人だなー」という感想のまま、ブログのヒーローリストに書くこともなく、幸運にも知り合って仲良くなることもなかった)。

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国を出る企業と追う税務当局

『お金持ちが逃げてしまう国』というエントリーに、

私は常々、日本に住む日本人にとって一番恐ろしいシナリオは、日本という国(の制度)を見捨てた日本企業が外へ出ていってしまうことだと思っていました。

と書いたら、

本気で日本を出ていく気概のある日本の大企業ってどのくらいあるだろう。。。か。

というコメントをもらいました。 へーーー、あんまりいないのか・・・
FT (= Financial Times)で、税金の高い国を出る企業と、追う税務当局の記事を読んだのでご紹介(FTは無料登録すると月10本の記事まで読める、それ以上は有料)。 以下、記事の要約。

KPMGが行ったイギリスの大企業50社への調査によると、企業の税法上の本社をイギリス国外へ移そうと検討している企業は2007年の6%から2008年には14%に上昇した。
税金が企業活動を行う場所の選択に影響を与えると回答した企業は2007年の26%から2008年には22%と、不況の影響でわずかに減少したものの、無視できない割合の企業が税金に敏感である。
イギリスの法人税制はフランス、ドイツ、米国などに比べると競争力があるが、アイルランド、オランダ、ルクセンブルクに比べると劣り、これらの国は魅力的な税制で海外からの投資を呼び込んでいる。
(FT : More big companies consider UK tax exodus(2009年1月25日))

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お金持ちが逃げてしまう国

海部美知さんブログの『金持ちをたくさん働かせる仕組み』には全く同感。
同感な点は2点あったので、今日は1点目(若干、編集して引用)。

金持ちから奪って貧乏人に分けるのを政治でやっちゃうと、金持ちはますます自分の富を隠し、世の中のために流通しなくなるし、「成功しよう」という個人のインセンティブを奪う。

私は常々、日本に住む日本人にとって一番恐ろしいシナリオは、日本という国(の制度)を見捨てた日本企業が外へ出ていってしまうことだと思っていました。
40%という世界最高レベルの法人税をはじめ(参考:世界の法人税率、ちなみにシンガポールは18%)、ビジネス環境における国際競争力がないため。
毎年、世界銀行と国際金融公社(IFC)が発表する”Doing Business”というランキングがまさに国のビジネス環境を比較しており、2009年は以下の通り(The World Bank Group – Doing Business 2009)。

1. シンガポール
2. ニュージーランド
3. 香港
4. アメリカ
5. イギリス
・・・
15. 日本

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イギリス人医師の見たシンガポール

最近、ロンドンからシンガポールに引っ越してきた夫の同僚D(フランス人)と彼の奥さんA(イギリス人医師)とよく一緒に食事をするのですが(こちらにも登場)、医師であるAが見るシンガポールが、私たちが普段の生活で見るシンガポールと全く異なっていて毎回非常に興味深い話が聞けます。
私はブログでシンガポールのことをいろいろ書いてますが、日常生活では一部分しか見れていないと思います。
それもそのはず、職場にシンガポール人はいないし(これは少規模のプロフェッショナル・ファームに共通するが、シンガポール人は大企業志向が非常に強いので、小規模ファームが能力主義で採用すると外国人ばかりになる)、友人のシンガポール人はこういう人たちが多いし、規制が強くてつまんないから地元メディアは読まないし見ないし(→『メディア規制の影響』)。
私たちの環境の性質上、民間のビジネス目線でシンガポールを見て気づくことは多いのですが(*1)、Aのように医師として貧困層のシンガポール人を診ていて気づくことには全く気づきません。
*1・・・私は、1人あたりGDP上はアジア一になったシンガポールが(GDPが完璧な指標ではないことは百も承知の上で、→『「幸福度」をGDP算出に』)今後も成長を続ける上で一番障害となるのが、「多国籍企業に雇用されやすい人材」をつくるという国の教育政策ではないかと思っています(こちらこちら参照)。 これって他国でもマネできる陳腐化しやすいモデルでは?
ところが、Aが見るシンガポールは「福祉のない国での貧困」です。

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「果ての国」に生きる – 1

『ブラック・スワンとレバノン』で書いたとおり、『ブラック・スワン』を読み終わったので感想です。 久しぶりにビシビシと読み応えのある本でした。
ブラック・スワンとは以下のような特徴を持つ事象のこと。

一つは予測できないこと。
二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。
そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすること。

例として、1987年のブラック・マンデー、1998年のロシア金融危機を緒とした米LTCMの破綻、2001年の9・11、そして2007年から始まったサブプライム問題を契機とした世界金融危機など(本書はサブプライム問題顕在化の数ヶ月前に発売されている)。
ブラック・スワンが起こる世界を説明する比喩が秀逸。

月並みの世界・・・ベル型カーブに従って分布し、特定の事象が単独で全体の大きな部分を占めることはない。 アウトライヤーは無視できるほどインパクトの小さいもの。
例:身長、体重、カロリー摂取。 100人の中にひとりだけすごく太った人がいても平均体重などの統計には微々たる影響。
果ての世界・・・データ1つが全体に圧倒的な影響を及ぼす。
例:財産、本の売上、社会的事件、都市の人口。 100人の中にビル・ゲイツのような大金持ちがいれば、あとの99人はいてもいなくても統計的には同じ。

そして、世界に衝撃を与え、予測不可能なリスクを与えるブラック・スワンは「果ての国」で起きる。

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海外居住者の年金ポータビリティー

実家に社会保険事務所の人がやってきたらしい。
私は去年のちょうど今日付けで、日本で働いていた会社を辞めており、その後、厚生年金も国民年金も未払いで「いったいどうなっているのか?」と調査に来たとのこと。
すごい!!! わざわざ訪問調査に来るんだ、こんなことで税金を使わせてしまって申し訳なし。
事の背景は次の通り。
1. 私は東京に住んでいたのだが、シンガポールに引っ越す時点で、いったん住民票を奈良(実家)に移してから、奈良市役所に国外居住届を提出。
2. 海外居住者は国民年金の加入義務はない。 任意加入して保険料を納め続けることはできるが、破綻すると言われている年金制度に納め続ける意味が見出せず、加入していない。
3. 日本で9年と少し、厚生年金と国民年金の加入歴があるが、最低25年の加入がないと年金受給資格がない、とのことで、「なーんだ、9年間は結局掛け捨てだったのか」と思っていた。
4. 数ヶ月前、住民票を預かる行政と社会保険庁とはつながっておらず、1.で行った住所変更が年金データには反映されていないので「ねんきん特別便」が昔の東京の住所宛になっていることに気づき、社会保険事務所での住所変更手続きを親に代行してもらった。
5. すると、上記の通り「年金保険料未納です」という調査が実家に来た。
上記、社会保険事務所の人は、親から事情を聞いた後、

日本と”社会保障協定”(*1)を結んでいる国で年金に加入した場合、加入期間が通算で合算されるので、今は”カラ期間”(*2)申請しなさい。 シンガポールとは”社会保障協定”を結んでいないけど、将来引っ越す国とは協定結んでいるかもしれないでしょ。

とのこと。

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目の前のお金に惑わされない法

直球なタイトルですみません。
「夫婦2人で同時期にMBA留学→海外就職を計画しているが、かなりハードルが高そうである。 結局、留学のためにした借金返済を優先し日本に帰ることになっちゃうのかな?」と悩んでいるブログ読者がいるので、そういうケースの対処法です。
もっと平たく、目の前に本質的に自分の求めているものではないが待遇がいい話がある、どうしよう?っていうときの対処法だと思ってお読みください。
私にもこの点に関しては苦い経験があります(昨日書いた「どうせ痛い思いをするなら早めにしよう」という基本行動方針が守れず安易な道を選んでしまった例)。
MBA留学は(学校によって大きく異なるが)1年制で1,000万円、2年制で1,500 – 2,000万円という巨額の費用(学費 + 生活費)がかかります。 私が行ったINSEADは1年制だったのですが、留学が終わる頃には必死で貯めた貯金が底をついていました。
しかも、プログラム後半は多くの企業が学校にリクルーティングに訪れるためプログラム終了前に卒業後の職が決まっている同級生が続出し、非常に焦る時期。
私も周りの雰囲気に飲み込まれるように、フランスにいながら日本の転職エージェントに履歴書を送ってしまい、すぐ仕事の紹介を受けました。 そして、すぐ内定。
自分は本当は何をやりたいのか考える余裕もないまま内定を得てしまい、ヨーロッパでの就職活動もそこそこに帰国。 日本で他も見て回ろうと思うものの、数ヶ月前に内定が出た会社にはもはやあまり待ってもらえない。 しかも、「そこそこ」興味もあり、「なかなか」待遇もよかったのがよくなかった。 帰国後の私は貯金も底つき、東京の友人宅に居候しながら就職活動をしていたので、もう待ってもらえない、ところまできて、結局契約しました。
その会社では、いろいろ素晴らしい経験もできたのですが、やっぱり「もっと違うやり方があったろうに」とは今でも思います。

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初めての納税申告

シンガポールの税務当局IRAS(= Inland Revenue Authority of Singapore)から「2008年分の納税申告をしなさい」、とe-File(電子申告)のPIN(暗唱番号)が送られてきました。
日本では、サラリーマンは所得税・住民税ともに源泉徴収されるので、私にとっては初めての納税申告です。
personal_income_tax.jpgシンガポールには住民税はなく、個人所得税に一本化されています。 右のテーブルは現在の税率。 最高税率20%ですが、ほとんどの人は17%以下でしょう。
国の特徴を現しているのは、税控除(日本で言う所得控除)ですが、基礎控除生命保険料控除寄付金控除配偶者控除CPF控除障害者控除など日本にもある控除の他にこんなものがあります(日本のケースを知りたい人は→『手続き・届出110 – 所得控除とは』)。
外国人メイド税控除・・・『6家庭に1軒がメイドを雇う社会』に書いたようにシンガポールの多くの家庭は住み込みのメイドを雇っています。 メイドを雇うには政府にメイド税を払う必要があるのですが、そのメイド税の2倍を控除できるというもの。
子どもを持つワーキングマザー控除・・・『シンガポールの少子化対策 – 政府の嘆きが聞こえる・・・』に書いたようにシンガポールでも少子化は深刻な社会問題。 今まで子ども1人の場合、所得の5%控除だったのが、今年度から15%に引き上げられました(2人以降も同様に引き上げられた)。

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岩瀬さんと生命保険

東京ではライフネット生命保険の副社長、岩瀬さんのオフィスにお招きされお会いしました。
知っている人も多いと思いますが、こちらにも書いたように東大(在学中司法試験合格)、BCG、リップルウッド(投資ファンド)、HBSの成績上位5%という輝かしいキャリアの持ち主。
Wikipedia : 岩瀬大輔
同年代の岩瀬さんはMBA留学時期はかぶっていないのですが(彼は2004 – 2006年、私は2003 – 2004年)、ハーバード留学記の頃ちらちらブログを読んでおり、卒業後どうするのかな?と思っていたら、ネット生保立ち上げということで度肝を抜かれました。
そして、『ヒーローリスト公開』というエントリーに「死ぬまでにぜひ会ってみたい人」と書いたら、ご本人からメールがきた、という嘘のような本当の話。
lifenet.jpgいろいろ個人的な話もしてお土産に本も頂いて、その日ちょうどオフ会だったのでライフネット宣伝用のパンフレットも頂きました。
そしてオフ会でパンフレットを配ろうとすると、皆さん、あんまり生命保険には関心がない、知らない、のですねー。 新卒の会社に通っていた生保レディに契約させられそのまま○年・・・とか。
・・・ということで、ちょっと生保のお話。

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