Category Archives: 建築・インテリア

英セレブデザイナーに並んで特集されました

今日は宣伝です。

7月下旬に発売された雑誌『RSVP 第22号 モダンブリティッシュインテリア』の「英国で出会う本物のインテリアデザイン」というコーナーで多数の受賞歴がある英国のセレブデザイナー達に混じって自宅を取り上げて頂きました。
そのうちの1人はホテル・オークラ客室のデザインもしたことがあるStephen Ryanです。 彼の自宅訪問記はこちら→『伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 1』『 – 2』

他の皆さんもすごい自宅でプレミアリーグプレーヤーに混じってしまった高校サッカー児感が満載ですが、3人の子どもの成長に合わせた「現実的な」工夫をたくさん取材して頂きました。 イギリスと言えばいまだに重厚なヴィクトリア調か可愛いコッツウォルズ系という固定観念を持っている方にぜひ読んで頂き、自由な空気と「身の回りの環境を整えることへの執念」みたいなものを感じて頂けると嬉しいです。
Amazonで購入できます。

Continue reading


無名の私が2年で雑誌の表紙に載ってわかったこと

Facebookで回ってきた『僕がサンフランシスコで起業した理由』がバツグンに熱くて面白かったです。
Ramen Heroというデリバリーラーメンベンチャーをやっている彼がKiyoさんというメンターからもらっているアドバイスが実に本質的で琴線に触れる。 私は起業家ではないけれど、自分のビジネスを持ってから数年で気づいたことを少し違った角度からまとめておこうと思います。 これを読んだ誰かの背中を押せれば嬉しいです。

以前から書いていますが、私が「もはやMBAの世界ではない」と気づいたのがMBA真っ最中の2004年、ビジネス系からクリエイティブ系に転換したのが2011年、フリーランサーとして他事務所のために働く形態から自分のビジネスとしてプロジェクトを請け始めたのは2015年です。
デザイン事務所なのでポートフォリオのひとつとして改装した自宅が去年後半から英米メディアに出始めて今月(4月)には英雑誌2誌の表紙になりました(写真はうち一誌の表紙)。 その月刊誌の中で12ページと最も大きな誌面を割いて特集され、来月には業界では英最大購読者数を誇る雑誌が撮影・取材に来るらしいです。

Continue reading


独立してから最初の3年間でやった間違い5つ

私がMBAを取ってバリキャリへの道を歩みかけていたにも関わらず、潔くそのキャリアから下りて全く異なる畑のデザイナーに転身し海外でビジネスを興したという背景もあるのでしょう・・・(*1) キャリア系の職種の人から「私もデザイナー(もしくは類似職種)にチェンジしたいんだけど、海外で本当にやっていけるのか・・・」というような相談をちらほら受けます。
*1・・・背景はこちら→『MBAを出た後デザイナーになった理由』

「やっていけるのか」なんて人に聞いてわかるものではないし、「やるべきかどうか」は自分の人生で最も重要な人以外に相談するのは無駄です。 私は夫にしか相談しませんでした(*2)。
*2・・・それでもキャリア相談したい方はこちら→『キャリアアドバイスになってないアドバイス』

そう言ってしまうと身も蓋もないし、独立してからたくさん失敗したので、誰かの参考になるかもしれないその失敗を書き留めておきます。 かなり恥をさらしているので、同業の人は読まないでくださいね(笑)。
Continue reading


築150年の自宅を全面改築しました。

今年3月末に2軒目の自宅改装を終え、ロンドンに来てから7回目の引っ越しをしたのですが、ようやく写真をウェブサイト上で公開しました。 1870年頃建てられた築150年のヴィクトリア時代の家を50%ほど増築し中も全面改築したものです。

イギリスは景観保護のための建築規制が厳しく(*1)不動産売買のほとんどを中古物件が占めます。 ロンドンは早くから発展した都市なのでいまだに建築物の半分以上が第二次大戦前に建てられたものです。 特に大英帝国が絶頂期を迎え、人口が急増したヴィクトリア時代にはロンドンの中心部にはもう土地がなかったので郊外が住宅地として開発されました。 私たちが住む南西ロンドン、テムズ河沿いのエリアもその頃に開発されたエリアで、古い資料をあたるとどういう順番でエリアが開発され、それぞれの種類の住宅にどんな人たちが住んでいたのか、いろいろ発見できます(*2)。 そんな風に古い建築物を箱として守り続け、中を現代仕様にアップデートしていくのが、こちらの人の住み方です。
*1・・・参照:『ロンドンと摩天楼』
*2・・・下が私たちのエリアの1896年の地図。 まだまばらにしか家が建っていないことがわかります。 右下コーナーを切るように走っているのが鉄道で鉄道の伸張と共に周辺に町ができていきました。

Continue reading


伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 2

Stephen Ryanという現代最高峰のインテリアデザイナー、1980年代にはあのホテルオークラの全客室をデザインしたトップデザイナーの西ロンドンにあるお宅の訪問記第2回です。 あまりテレビに出たり、自分の名前を冠したブランド品をつくったりするようなタイプのデザイナーではないので、日本では名前が知られていないと思います。 が、アンティークとアートの鑑識眼、異なる時代・地域のものを自由に組み合わせるセンス、考えに考え、練り抜かれた空間設計、何を取ってもレベルが高すぎて、私にはため息しか出ない、というよりため息すら出ないような空間です。
前回の続きなので、前回をご覧になってからどうぞ。


アンティークの木製彫刻のインパクトもすごいキッチンですが、ディテールに全く気を抜かないStephen。 これは廊下からキッチンへの観音開きのドア。 面材はおそらく合皮のヘビ皮。 ハンドルはアートとハンドルの中間のようなプロダクトで金属製。 住宅設計が基本的に全てオーダーメイドのイギリス(*1)にはドアノブ・ハンドル・ラッチ・ヒンジなどのパーツもひとつひとつ選びます。 例えばアートな部品の代表格Philip Watts、アートなドアノブがいっぱい。
*1・・・参照:『日英リノベーション業界比較』
Continue reading


伝説のホテルオークラのデザイナーのお宅訪問記 – 1

今年もあっという間に幕を閉じたロンドン・デザイン・フェスティバル、ブログを通してご連絡頂いた方、日本から毎年この季節に渡英するデザイン系の方と懐かしい再会あり、新しい出会いありの楽しい期間でした。

今年のハイライトは、フェスティバルとは直接関係ありませんが、期間中に伝説のデザイナーのお宅を訪問する機会を得たことでしょう。 私も所属する英国インテリアデザイン協会(BIID = British Institute of Interior Design)の日本から来たメンバーのために、澤山乃莉子さんがアレンジしてくださいました。 こんな世界にも稀にみるレベルの私邸を訪れ、デザインしたご本人に案内してもらうなど、一生に何度もない機会です。 乃莉子さん、ありがとうございました!

その伝説のデザイナーとは・・・ Stephen Ryanという人でデザイナー歴30年以上、世界最高のプロ集団BIIDの中でもそのアートとアンティーク・建築・クラフトに関する知識と美的センスが群を抜いており、数々の賞の受賞歴・メディア掲載歴があります。 現在は西ロンドンでStephen Ryan Design & Decorationという自分のスタジオを経営しています(プロフィール写真はウェブサイトから拝借しました)。
Stephenは、イギリスやデザイン界では知らない人はいないDavid Hicksという稀代のインテリアデザイナーがまだ存命だった時代にDavid Hicksのスタジオでチーフデザイナーを務めており、1980年代にホテルオークラ東京、神戸、アムステルダムの一連のオークラ系列ホテルの客室をデザインしています。 オークラ東京の数百室ある客室は全客室、異なったデザインですべて彼がデザインしたそうです。

日本が大好きで「日本でまたたくさんプロジェクトをやりたい。 日本の皆さんになら見せていいよ」と写真撮影とブログ掲載の許可を頂いたので、ご紹介します。 写真は全て私かご一緒したBIID日本人メンバーが撮影したものですが、プロのフォトグラファーが撮影したものはこちらから見られます。
Continue reading


ロンドン・デザイン・フェスティバル2017

今年もロンドンで行われるデザインのお祭りに世界中から人が訪れるロンドン・デザイン・フェスティバルの季節になりました(オフィシャルサイト:London Design Festival)。 今年は9月16日(土)から24日(日)にわたってロンドン市内の各地で、クリエイティブ事務所・メーカー・ショップがオフィス・工房を一般にオープンし、屋外では大規模なデザイン・インスタレーションが行われ、クリエイティブたちによる各種セミナー・パネルディスカッションが行われ、さまざまな展示会にバイヤーが集います。 
2012年、ニューヨーク・タイムズにこう言わせたロンドン、

悪いな、ミラノ・東京。 残念だったね、ストックホルム・パリ。 アインドホーベン・ベルリン・バルセロナ・・・そして特にニューヨークよ、許しておくれ。
だけどロンドンこそが世界のデザインの首都だ。

デザインの首都の最大のお祭りであるデザイン・フェスティバル、少し古いですが、その意義について4年前にも書いているのでご覧ください(→『ロンドンのデザイン・エコシステム』)。
街中が右のロゴで溢れ、観光客でも気軽に立ち入ることができるのですが、見どころが多いので、ざっくりと全体の概要をご説明します。
Continue reading


スケルトン・リノベーション完成 in ロンドン

揺れているイギリスで政治的な話が多くなっているこのブログですが、お仕事もしております。

今年の初めに竣工したロンドン北部の高級住宅街ハムステッドの築30年マンションのスケルトンリノベーション。 お話を頂いたのが2015年夏。 日本だとこの規模の工事だと設計と工事を合わせて半年程度で終わるのかもしれませんが、そうはいかないのがイギリス。 何だかんだと時間がかかり、お話を頂いてから1年半近く経ってようやく終了しました。

自分の事務所を立ち上げて間もない頃に、私たちを信じて最初から最後まで任せて頂いたクライアントには本当に感謝しています。 ウェブサイトには、完成写真はもちろんのこと、ビフォーアフターの写真、各エリアごとのデザインポリシー、クライアントの感想まで盛りだくさん載せています。 日本とイギリスの比較という意味でも面白いと思うので、ぜひご覧ください。
こちら
Continue reading


インタビューされました。

アンティーク/ビンテージインテリア商品専門のオンラインマーケットプレイス“Layer Home”が運営する人気ライフスタイルブログ“THE LAYER BLOG”のインタビューを受けました。
Layer Home – MEET THE DESIGNER: YOKO KLOEDEN(英語)
過去にはJo BerrymanShaun Clarksonなど著名デザイナーが登場しています。

せっかくなので(?)下に訳してみました、英語で答えたので日本語にしてみると若干違和感がありますが・・・
—–


Layer interview1
キャリアの初めの10年を東京ベースの大企業で過ごしたYokoは、アジア、ヨーロッパ、北米での居住経験があります。 旅が情熱という彼女は他にも数々の世界の壮観な土地を訪れました。 仕事・趣味での旅を通して、Yokoは毎日の生活の中での場所や環境の重要性に気づきました。
ロンドンへの引っ越しと一番上の子供の誕生をきっかけにYokoはサラリーマン生活にさよならをしデザインへの情熱にフォーカスします。 2015年にはYoko Kloeden Designを設立し、プロジェクト管理、予算管理、クライアントとのリエゾンまでビジネスでの豊富な経験を活かしています。
Continue reading


「ハレ」と「ケ」の建築 – 3

「ハレ」と「ケ」の建築シリーズ最終回。

前回はオフィシャルな「ハレ」の建築物かプライベートの「ケ」の建築物かに関わらず、ロンドンでは建物が古いということ、建築及び景観を保護する規制についてご紹介しました。
イギリスらしいデザインを形容するキーワードにエクレクティック(eclectic、折衷的な)という言葉があります。 ロンドンの街並みはまさにいろいろな年代の建物がミックスされていて、パリのような統一感がないところが特徴です。 イギリス人の「古い物と新しい物のミックス」、「マスキュリンとフェミニンのミックス」など全体を同じテイストの物でまとめない絶妙なセンスは街並みにもよく現れています。

この真髄を発揮するのがまさにビクトリア王朝時代(1837 – 1901年)、今回はロンドンに数多く残るビクトリア時代の建物から現代までです。

4. ビクトリアン様式(1837 – 1901年)
「ケ」
ジュード・ロウやケイト・モスなどスターやメディア業界の人が多く住む北西ロンドンのプリムローズ・ヒルにあるパステルカラーに彩られた家並みのシャルコット・クレシェント。 
Chalcot Crescent Victorian
Continue reading