Category Archives: 企業・会社員

女性とグローバルキャリア

悩み相談メールをもらってから時間が経ってしまいました。
「グローバルに国・都市を移動する生き方をしていて恋愛、そして結婚できるのか? 家庭は?」という24歳女性からの相談です(詳しい質問の背景はこちら)。

私の(特にビジネススクール時代の)友人は国境を越えて働いている人が多いですが、夫婦で国境を越えた移動をした場合、どうしても出産・育児でキャリアのギアスピードを一旦落とさざるをえない妻の方がペースダウンし、夫のキャリアを優先させることが多いです(→『MBA女性の10年後』『女性MBAの出産後のキャリア – 1』『 – 2』)。 MBAじゃなくても、夫の方が商社など海外異動が多いポジションに就いているカップルも同じ。
子どもがいないうちは期間限定の別居婚をする夫婦は数多く知っていますが、子どもが産まれてからはやはり妻の方が家庭重視にシフトするケースがほとんど。

「じゃあ、必死でがんばっても意味ないの?」と思うかもしませんが、難しいのは「夫婦共に会社員(つまり雇われる身)として海外異動すること」であり、「働くこと」ではないです。
以前書いた私の友人たちのうち、生まれ育った国以外の国で暮らしているケースだけを見ても・・・
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キャリアの下り方 – 2

前回の続きで、キャリアのひとつめの山を下りるときの話。
「稼いでいた頃の私症候群」は心理的な抵抗感ですが、キャリアを下りたときに生じる経済的損失の方が多くの人にとっては恐怖だと思います、これが怖くて沈みかけた船から下りられない人は多いはず(今、船から下りないとその船は沈んでしまうので、『どうせ痛い思いをするなら早めにしよう』なのですが)。

対策としては当たり前のことしか書けないですが、

  1. 1. 山を下りる前に次の山に登る
  2. 2. 生活レベルをダウンシフトする
  3. 3. 夫婦でシングルインカムで暮らせるよう支出を抑える
  4. 4. 山を下りる前に生活費を貯金しておく

1. は『ワーク・シフト – 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』でも勧められていた方法ですが「これができたら苦労しない」ってやつです。 そもそも今後の世界で通用するレベルの次の山を築こうと思ったら、本著でもマルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則』でも述べられているように、何をマスターするにしても1万時間(1日3時間を10年)を費やさなければいけないので、フルタイムで働いている人がこの時間を捻出するのは難しい。
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キャリアの下り方 – 1

屈指の『未来に備える本』と言える『ワーク・シフト – 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』から気になった箇所をいくつか。
イケダハヤトさん(@IHayato)のブログ『「死ぬまで働く」時代の「カリヨン・ツリー型」キャリアについて』でも引用されている「カリヨン・ツリー型」キャリアが私にも響きました。

今後主流になるのは、いくつもの小さな釣鐘が連なって職業人生を形づくる「カリヨン・ツリー型」のキャリア。 精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていくのである。

これからは富士山型ではなく「八ヶ岳連峰型の人生観じゃないと、人生後半がさみしくなりますよ」とある日経ビジネスオンラインのこの対談も趣旨が似ています。
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イクメンの行方

先週末、友人(英伊カップル)の3歳の子の誕生日パーティーに呼ばれたのですが、当たり前のようで個人的には衝撃的なことを発見しました。 招かれていたのは、0 – 4歳までの子ども(兄弟もたくさん)を持つファミリー6組ほど。 初対面の家族ばかりでしたがフレンドリーにいろいろ話したのですが、親たち全員が疲れていた!!!
母親だけでなく父親も育児と仕事の両立で疲れ切っていたのが印象的。 みんな睡眠不足からくる疲れと子の成長を眺める幸せが入り交じった独特の、とても身に覚えのある雰囲気を漂わせていました。 やはり”Generation Xhausted”である(→The Economist : Generation Xhausted)。

現代の父親たちは一世代前の父親と異なった次のようなトレンドにさらされています。
1. 父親の育児参加は当然に
私は「育児参加」という言葉が嫌いですが(「明日の飲み会参加する?」「うーーん、明日はちょっとやめとく!」くらいのノリで「参加」されても困る。 共同責任だし育児に休日はない)、イギリスでは働く母親が多いこともあり、父親と母親が育児の負担をシェアするのは(シェア比率はともかく)ごく一般的になってきました。 産前クラスでもさんざん強調されます(→『出産・育児は2人でするもの』)。
もちろんその形は家庭によりけりですが、例えば息子のナーサリーで送り迎えをしているのはパパ40%くらいの比率でしょうか(ほとんどの家庭は送りとお迎えを分担)。
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妊婦CEO誕生!

いやはや、たまげた、このニュース。
長く混迷している米Yahooの新トップにGoogle幹部のMarissa Mayerが就任。
NY Times : A Yahoo Search Calls Up a Chief From Google
TechCrunch : Longtime Google Exec Marissa Mayer Is Yahoo’s New CEO

Yahooはおそらく最もターンアラウンドが難しい大企業のひとつではないかと思うのですが、そのトップに37歳女性が就任、しかも妊娠中!(10月出産予定)
さすがのアメリカでもFortune 500企業のトップが在任中に妊娠・出産というのは初めてだそう。 まあ、妊娠できる年齢の女性が大企業トップに就くこと自体が超レアなケースなので当たり前と言えば当たり前ですが。

妊娠を理由に躊躇しなかった彼女もすごいし、それをモノともせずオファーを出したYahooのボードもすごい。

妊娠・出産を控えた女性がキャリアのブレーキを踏んでしまうことに対し、Facebook COOのSheryl Sandbergが「実際にその時(休まなければいけないとき)が来るまでアクセルを踏み続けて」と啓蒙し続けているので、今日はこの話題を機にそれを紹介。

ちなみに、

男性は成功すると人に好かれるのに対し(出世と好感度は比例)、女性は成功すると人に嫌われる(出世と好感度は逆比例)

というショッキングなデータがあるのですが、彼女は大企業トップなのにLikable(好かれやすい)な稀に見る女性。 たしかに、ヒラリー(クリントン)・メグ(ウィットマン)・カーリー(フィオリーナ)、etc. パワーウーマンは怖い人多いものね・・・(メグ・ウィットマンはINSEADにスピーカーとして来たときに実物の話を聞いたことあるけど、怖くなかったのでマスコミがつくりあげるイメージはかなり影響してると思われる)
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当事者性と専門性 – 2

昨日の続き。

「日本人は専門性よりも当事者性(経験の有無)を重視する傾向にある」という話を企業経営という分野を例にとって。

当事者性と専門性再び昨日の図登場。
①・・・経営を「専門知識・スキル」として学び、そのような場も経験してきた人。 世界ではGEの幹部候補生育成塾は有名、国内でもユニクロの経営幹部育成計画は話題になりました。 これらは企業内で専門性と経験の両方をつけさせようとする試み。
②・・・経営を「専門知識・スキル」として学んだものの実地経験に欠ける人。 MBA(経営学修士)を取得したての若者がその典型。 彼らがその学位を活かして企業に入る場合は、通常その専門知識・スキルを活かしながら必要な経営経験を得られる場を求めます(以前書いたサムスンの戦略グループなど→『Samsungに見る黒船の効果と限界』)。
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やっとここまで来ました – 女性とキャリア

私の母はその昔、大学を出て英語教師になり、その後、通訳になりました。 新卒で商社に内定したばかりの私に母が言った言葉。

私たちの頃は女性は公務員か教師しか職がなかった。 今は女性でも民間企業に入れるようになったけど、入った後はどうなのかしらね? 楽とは思えないけど。

母の時代と異なり、民間企業のドアはほんのわずか開いていたけど、入った後のことなんてよくわからなかったし情報もなかった大学時代。 こういう包括的な記事が出ていたら少しは参考にしたのかなー?と思います。
まあ、大学時代なんて自分が何になりたいのかわかんないもんだけど。
The Economist : The wrong way to promote women
The Economist : Still lonely at the top

大企業の女性取締役比率はアメリカで15%、ヨーロッパでは10%、いやー、いろいろやってるのに何で増えないんだろうねー?

という記事(貴重な人材を活用するという観点もさながら、ダイバーシティに富む企業のパフォーマンスがいいという調査結果から、こういう議論になっている)。
さまざまな施策を打っているのに増えないのは、「取締役にまであがるような男性は性差別するから?」「女性はお手本となるロールモデルや引っ張り上げてくれるメンターがいないから?」・・・ 好循環を生み出すループになかなか入らないことに業を煮やしたヨーロッパ各国政府がクォータ制の導入に次々と踏み切っています。
ところが、2008年にいちはやくクォータ制を導入したノルウェー、上場企業のボードメンバーに女性を4割以上当てるよう義務づけた結果、能力主義であれば登用されない経験不足の女性が多数取締役になってしまい企業のパフォーマンスが落ちているという調査が出ました。

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今さら戦略コンサル?

以前、『業界の旬とキャリア相談』というエントリーで、マネックス証券松本さんの次の言葉を紹介しましたが、

もし今僕が就活生だったら、絶対投資銀行なんか入らないけどな。
実際僕がそこへ入ったのは投資銀行業界が栄えてきて10年くらいしたときで一番勢いがあった。
そこからもう20年経った今、もう外資金融の伸び時期はもう終わっている。
成功して盛り上がった後に相乗りするのは時代遅れ。

投資銀行と同じくMBA学生に人気の就職先、戦略コンサルも業界のピークは過ぎた、というお話。
私が行ったINSEADはコンサル輩出校と呼ばれるくらいコンサルに行く人が多かったので、石を投げればBIG 3(McKinsey、BCG、Bain)を始めとする戦略コンサルに当たるのですが(ターンオーバーの激しい業界なので、まだ残っている人はだいぶ減ったが)彼らと話していて薄々感じていたことがThe Economistに記事になっていました。

Harvard Business School卒業生のうち金融業界に進んだ人が10%以下の年は米株式市場は上昇局面を迎える、30%以上だと株式市場は暴落寸前。 2006年には42%の卒業生が金融業界に進んだ。

と書いたのは『Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School』(邦訳:『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』)のPhilip Delvis Broughtonでしたが(著書はこちらで紹介、こちらも)、私には

The Economistに取り上げられたら個人のランダムな感覚・意見を超えて一般教養の域に入ってきている

という仮説があります。
最近のThe Economistにコンサル業界の展望について「戦略コンサルはビジネスモデルが限界に近づいている」と、ようやく皆が薄々気づいていたことが分析されていました(長い前置きだ・・・)。
The Economist : Advice for consultants

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駐妻・現地妻の憂鬱

Twitterでたまたま流れてきた『NY駐在「妻」社会、見聞録』というブログを見てしまいました。 企業による社員の海外派遣がちっとも珍しくもないこの世の中、いまだに「駐妻」ってブランドなのか?と思いつつ、以前、小町かなんかで見た「現地妻」という言葉も同時に思い出しました。
「”現地人”の妻でもない私みたいな人の呼び方はないのか?」、「駐在ではない日本人の妻の呼び方は?」という疑問はさておき・・・
シンガポールでは、このブログで知り合った人以外、とんと日本人と出会うことがなかった私、ロンドンでは子どもの日本人プレイグループを通して日本人ママ友と知り合う機会が多くあります。 その中には、いわゆる「駐妻」も「現地妻」もいます。 加えて「オージーの妻」、「私費留学の夫の妻」、まあいろいろいるわけですが、個人がハッピーか・アンハッピーかは、

  1. 自分自身も主体性を持って(望んで)来たか?
  2. きっかけは自分自身の希望じゃなくても(例:夫に転勤の辞令)、積極的に頭を切り替えられたか?

によるようで、理由や立場の如何ではないようです。
「夫が駐在になったから、自分はキャリアを諦めた」という駐妻と同じく、「イギリス人夫との結婚で、好きだった自分の仕事を辞めてきた」という現地妻もいて、「夫についてきたために自分のキャリアを諦めた」感をずーーっと抱えている人ってたくさんいるんですよねー。
『MBA女性の10年後』というエントリーに、

MBAを取得した女性の半分が10年後は専業主婦になっている現状の大きな理由は、「夫の国境を越えた転勤(転職)」でしょう。

と書いたように、日本人に限った現象でもありません。

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アメリカ人ビジネスマンとメキシコ人漁師の話

地震前に読んだTim Ferrisの『The 4-Hour Workweek』、あまりに面白くて、あまりに良かったので、すぐもう1度読み返しました。 『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』という邦訳が出ているようですが、彼の文章力が最高(!)なので、ぜひ原書で読んで欲しい。
いまいちな邦題がついているので怪しい金儲け本のように聞こえますが、著者のTim自身はアメリカの名門プリンストン大学を卒業していて、同級生たちは米ビジネス界で花形職業につきキャリアのファーストトラックを邁進中。 身を削って長時間労働にいそしみ、高給を貯めてアーリー・リタイアすることが目的。
私自身たーくさん知ってます、こういう人たち(→『MBAの同窓会』『Factory for unhappy people – 不幸な人の製造工場』『自分に一番近い8人が「自分」』)。
で、Timの彼らに関する描写が本当に爆笑なのです(拙訳付き)。

Donald_Trump.jpgIf i offered you $10,000,000 to work 24 hours a day for 15 years and then retire, would you do it? Of course not – you couldn’t. It is unsustainable, just as what most define as a career: doing the same thing for 8+ hours per day until you break down or have enough cash to permanently stop.
How else can my 30-year-old friends all look like a cross between Donald Trump and Joan Rivers? It’s horrendous – premature aging fueled by triple bypass frappuccinos and impossible workloads.
もしボクが年収1,000万円で15年間、1日24時間働いたらリタイアできるよ、って言ったらやる? もちろんやらないよね – できないもん。 そんなの続かない、ほとんどの人が定義しているキャリア(精神的・身体的に参るか二度と働かなくていいほどキャッシュが貯まるまで1日8時間以上働くこと)だって同じだ。
そうでなきゃ、何でボクの同級生(30歳)がDonald TrumpとJoan Riversを掛け合わせたような顔してるんだ? 身の毛がよだつねー フラペチーノと到底不可能な仕事量で3倍速で老化してる(右がDonald Trump、Joan Riversの顔は続きを読むをクリック)。

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