Category Archives: フリーランス

Learning to unlearn

今年は私にとって記念すべき年です。
2008年にこのブログを始めたのは結婚してシンガポールに引っ越したのがきっかけでしたが、それ以前は新卒で某総合商社に就職したのを皮切りに日本の大企業3社で合計9年間働きました(1年間のMBA留学を挟む)。 2017年の今年は日本でフルタイム社員として働くのを辞めてからちょうど9年。 大企業でフルタイムで働いた期間と同じだけの年月を経たことになります。
その9年間の間に2度の海外引っ越し(シンガポール→ロンドン)、3度の妊娠・出産、1年間の通学でインテリアデザインのディプロマを取得、キャリアチェンジ、子育てをしながらフリーランスをした後、自分の建築インテリアデザイン事務所を立ち上げて3年目・・・とイベント盛り沢山の中、ひたすら今の自分のライフステージに合った働き方を見つけようともがいてきました。  9年経った今あらためて、社会に出て最初の9年間で染み付いた習慣・常識・思考のクセというものは、なかなか落とせないものだなー、としみじみと思います。

9年の中で、すぐ落とせた垢、なかなか落とせなかった垢をまとめてみました。
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まずは器をつくって入ってみる。

前回の続き。 左脳系からの大キャリアチェンジをしたため、よく聞かれた質問に答えるコーナーです。

2. 子供の時からの夢だったの? ついに好きなことを仕事にしたの?
これもよく聞かれました。 だって、私たちは故スティーブ・ジョブスに

Have the courage to follow your heart and intuition
They somehow already know
what you truly want to become
自分の心と直感に従う勇気を持って
どういうわけか、心と直感は
あなたが本当は何になりたいのか知っている

って言われてるし、世の中には「情熱を持てる仕事をしよう!」という自己啓発系の記事で溢れています。

私はもちろん建築やインテリアには興味はありました。 でも子供の頃からの夢だった訳ではないし(注)、どちらかというとかなり頭で考えて選んだ職業でした。
注:小さい頃から世界に興味があったので、小学校の卒業文集にはたしか「世界ふしぎ発見のレポーターになりたい」と書いた気がします。 それが海外勤務の多い以前のキャリアに結びつき、ロンドンで暮らす今の生活に結びついているので、ある程度子供の頃からの夢はもう満たせたのかも。
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デザインの経験なしにデザイナーになれる?

今さらすぎてアレなのですが、最近、自己紹介する時に「インテリアデザイナーです」というのに違和感がなくなりました。 学校を卒業してデザイナーとして働き始めた頃は「あ、でもキャリアチェンジしたばかりなんですけど」とか「この前卒業して、まだまだ駆け出しで」とか、説明に”but”がついていたのですが、それがなくなりました。

もちろん仕事に慣れてきて自信がついてきた、ということもありますが、何よりも新しいラベルに「慣れた」ことが大きいと思います。 新しい靴が、今まで履いてた靴とあまりにも違ったため、最初の頃はずっと履き心地が悪かったけど、ようやく靴の方が自分の足の形に合ってなじんできた、、、そんな感じ。

以前は左脳系の仕事をしていたこともあり、よく聞かれた質問に対して答えてみます。
1. デザインのバックグラウンドがあるの?
これは同じく左脳系の人からよく聞かれました。 私もデザイナーってこういうスケッチが描けなければいけないようなイメージでした(参照:『他人になろうとするには人生短すぎる』)。
FG_Guggenheim_sketch2
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理想の1日

6:00 起床。 朝日を浴びながらジョギングをする。
7:00 シャワーを浴びた後、家族全員で朝食。
8:00 夫と子どもたちをそれぞれ仕事と学校へ送り出す。
8:30 家で仕事開始、生産性が高い朝のまとまった時間にできる仕事を一気にこなす。
12:30 家で昼食、たまに外でクライアントや仕事関係者とランチミーティング。
13:30 午後、外出が必要な用事をまとめて片付ける。 外出がない日は家で引き続き仕事。 子どもたちが学校から帰ってきたらおやつ、再び友人宅やクラブ・習い事などに送り出す。
18:00 子どもたちと今日1日の話をしながら夕食の準備。
19:00 夫が帰宅。 家族全員で夕食。 夕食後は後片付けをしたり、子どもの就寝の準備。
21:30 お風呂に入る。
22:30 就寝。

上のスケジュールは何だと思いますか? 夫と結婚する前、約6年前に私がノートに書き出した「理想の1日」です。
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夢さえ追えない時代

結婚5周年に夫とミュージカル“A Chorus Line”(コーラスライン)を見に行ってきました(今日のブログのBGMはこちら)。
ミュージカル好きの母の影響で私は幼少の頃から舞台や映画でミュージカルを観ていました(ブログにもちょこっと書いてます→“CATS”“Mamma Mia!”“Dirty Dancing”)。 ”A Chorus Line”は大好きなミュージカルのひとつで映画でしか観たことがなかったのですが、ロンドン公演がリバイバルしたのです!
水曜のマチネという時間帯ゆえ(乳幼児を抱えた私たちは夜や週末の公演は断念)、アニバーサリーだというのにリタイアしたベビーブーマー達(日本的に言うと「団塊の世代」)と観光客に囲まれての鑑賞。 期待していたダンスはもちろん良かったんだけど、ストーリーに・・・泣いた。

舞台は1970年代のニューヨーク、ブロードウェイ。 コーラスダンサーを選ぶオーディション最終選考に残った17人の若者が、演出家ザックにうながされて、ひとりひとりのライフストーリーを語り始める、というシンプルな筋書き。 スターダンサーの後ろで踊るコーラスダンサーは無名の存在、明日どうなるかわからない不安と戦いながらオーディションに自分の夢を賭けるダンサーたち。 ショービジネスの熾烈な競争の中で夢を追いかけるひとりひとりにスポットライトを当てながら最後には選ばれる者と落とされる者に分かれ、選ばれた個性溢れる彼らが演じるのは個性なきコーラスダンサー。 ・・・という実にビタースウィート(ほろ苦い)な展開。
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キャリアの下り方 – 2

前回の続きで、キャリアのひとつめの山を下りるときの話。
「稼いでいた頃の私症候群」は心理的な抵抗感ですが、キャリアを下りたときに生じる経済的損失の方が多くの人にとっては恐怖だと思います、これが怖くて沈みかけた船から下りられない人は多いはず(今、船から下りないとその船は沈んでしまうので、『どうせ痛い思いをするなら早めにしよう』なのですが)。

対策としては当たり前のことしか書けないですが、

  1. 1. 山を下りる前に次の山に登る
  2. 2. 生活レベルをダウンシフトする
  3. 3. 夫婦でシングルインカムで暮らせるよう支出を抑える
  4. 4. 山を下りる前に生活費を貯金しておく

1. は『ワーク・シフト – 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』でも勧められていた方法ですが「これができたら苦労しない」ってやつです。 そもそも今後の世界で通用するレベルの次の山を築こうと思ったら、本著でもマルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則』でも述べられているように、何をマスターするにしても1万時間(1日3時間を10年)を費やさなければいけないので、フルタイムで働いている人がこの時間を捻出するのは難しい。
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キャリアの下り方 – 1

屈指の『未来に備える本』と言える『ワーク・シフト – 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』から気になった箇所をいくつか。
イケダハヤトさん(@IHayato)のブログ『「死ぬまで働く」時代の「カリヨン・ツリー型」キャリアについて』でも引用されている「カリヨン・ツリー型」キャリアが私にも響きました。

今後主流になるのは、いくつもの小さな釣鐘が連なって職業人生を形づくる「カリヨン・ツリー型」のキャリア。 精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていくのである。

これからは富士山型ではなく「八ヶ岳連峰型の人生観じゃないと、人生後半がさみしくなりますよ」とある日経ビジネスオンラインのこの対談も趣旨が似ています。
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要注意なお仕事リスト

『クリエイターになりたい。』に書いたように、ゼロベース思考でクリエイターになりたいと思った私ですが、どういう種類のクリエイターになるのかが問題でした。
以下のような職業じゃないか、はチェックしました。 時代はものすごいスピードで変化してるから難しいのですが、環境の変化への最良の対処法は自分を変えることなので、時代を見据えながら変化し続けるしかないんですよね。
1. テクノロジーの進化がプロとアマチュアの境界を限りなく曖昧にした職業
Chikirinの日記『ライターとカメラマン』がずばり指摘しているけど、
ライター:ブログの普及で一般人でも簡単に世界各地からほぼタダで文章を世間に公開できるようになり「文章力」「取材力」で食べていくのはとても難しくなった。
カメラマン:一眼レフとPhotoshopで誰でも気軽に息を飲むような写真を生み出せるようになった。
この2つはわかりやすい例だけど、どんな仕事にも高付加価値の仕事と低付加価値の仕事があり、破壊的テクノロジーは高学歴・ハイスキルの代名詞のような職業でもローエンド側からどんどん侵略しています。
(例)
弁護士:過去の判例検索はネット上で無料でできるように。 アメリカには弁護士が質問3つまで無料で答えてくれるSNSができたり(→The Economist : Bargain briefs)。
医者:医師へのオンライン無料相談サイトが登場。 レントゲン写真やMRI画像をインドの放射線科医に送るアメリカの病院もある(FOCUS :誰があなたのレントゲン写真を診るのか?)。

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プロジェクトPhoenix(仮)始動

こちらでお知らせしたプロジェクトPhoenix(*注)、昨日のキックオフミーティングに休日なのに時間を割いて9名の方に参加していただきました。 ありがとうございます!
注:まだ仮名です。 ネーミング募集しているので最後まで読んでください♪
ミーティングに先立ち、アイデアを募集したので本当にたくさんのアイデアが集まりました、どれも捨てがたいアイデアばかりです。 ブログを読んですぐ「プロジェクトに寄付したい」という匿名希望の寄付者が現れ、相当の活動資金ができました(本当にありがとうございます)。
震災の記憶も生々しい今、多くの人が「何かしたい」という気持ちを持っていると思いますが、ほとんどの人は毎日の仕事や学校・育児など”day job”があるため、モーメンタムが続かないのが現実です。
一時的に寝食の間を惜しんでチャリティー・イベント開催に没頭したとしても、1カ月もすれば息切れしてしまいます。 一般の仕事を持っている人はその1カ月すら続かないのではないかと思います。
一方、この震災からの復興は実に苦しい長期戦になります。
特に被災者が心に受けた傷は一生完全に癒えることがないかもしれませんし、原発の影響が長引くと出ていった外国人が戻ってこないばかりか、将来の観光客・ビジネス客・留学生・住みたい人が激減するかもしれません。
前のブログにも書きましたが、「愛(Love)」の反対は「憎しみ(Hate)」ではなく、「無関心(Indifference)」です。
この相反する事情をどうやって仕組み的に解決しようか考えていました。

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成熟国出身者のキャリア戦略

私が働いているのはいわゆる”ブティック系”の経営アドバイザリーファームで、現在のメンバーはイギリス人2人、スウェーデン人、私。 共通点は、先進国出身、投資銀行・コンサル・MBAというバックグラウンドで世界各地で10年以上の職務経験あり(大企業で働いていた時代も長い)。
そしてクライアントは本当にいろいろな業界から成りますが、経営者は欧米人で出身国で何年か働いた後、転勤など何らかのきっかけでシンガポールに来て「これからはアジアだぜ」と独立した、というSME(Small and Medium Enterprise)が非常に多い。 よって、経営者は欧米人ですが本社及びアジア統括会社はシンガポールです(すでにグローバル展開している企業もこれからの企業も)。
こういう環境にいてつくづく思うこと。
これは、先進国で受けた高度な教育や洗練された & グローバルに通用するビジネスのやりかたをフルに活用しつつ、すでに成長が鈍化した成熟社会(自分の出身国)ではなく、成長著しいアジア市場の勢いに乗ろうというキャリア戦略。
中国を目指す欧米人友達の話は『果たしてヤジ馬なのか歴史の証人なのか』に書きましたが、彼らは独身。 家族がいて子供の教育や生活環境を考えると確かにシンガポールはアジア市場をターゲットとする際、ベスト・オプション。
日本の高度成長期がそうであったように、右肩上がりの経済の中、企業の売上を拡大させるのはさほど難しいことではないのです。

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