Category Archives: 2. ビジネス・キャリア

スケルトン・リノベーション完成 in ロンドン

揺れているイギリスで政治的な話が多くなっているこのブログですが、お仕事もしております。

今年の初めに竣工したロンドン北部の高級住宅街ハムステッドの築30年マンションのスケルトンリノベーション。 お話を頂いたのが2015年夏。 日本だとこの規模の工事だと設計と工事を合わせて半年程度で終わるのかもしれませんが、そうはいかないのがイギリス。 何だかんだと時間がかかり、お話を頂いてから1年半近く経ってようやく終了しました。

自分の事務所を立ち上げて間もない頃に、私たちを信じて最初から最後まで任せて頂いたクライアントには本当に感謝しています。 ウェブサイトには、完成写真はもちろんのこと、ビフォーアフターの写真、各エリアごとのデザインポリシー、クライアントの感想まで盛りだくさん載せています。 日本とイギリスの比較という意味でも面白いと思うので、ぜひご覧ください。
こちら
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Learning to unlearn

今年は私にとって記念すべき年です。
2008年にこのブログを始めたのは結婚してシンガポールに引っ越したのがきっかけでしたが、それ以前は新卒で某総合商社に就職したのを皮切りに日本の大企業3社で合計9年間働きました(1年間のMBA留学を挟む)。 2017年の今年は日本でフルタイム社員として働くのを辞めてからちょうど9年。 大企業でフルタイムで働いた期間と同じだけの年月を経たことになります。
その9年間の間に2度の海外引っ越し(シンガポール→ロンドン)、3度の妊娠・出産、1年間の通学でインテリアデザインのディプロマを取得、キャリアチェンジ、子育てをしながらフリーランスをした後、自分の建築インテリアデザイン事務所を立ち上げて3年目・・・とイベント盛り沢山の中、ひたすら今の自分のライフステージに合った働き方を見つけようともがいてきました。  9年経った今あらためて、社会に出て最初の9年間で染み付いた習慣・常識・思考のクセというものは、なかなか落とせないものだなー、としみじみと思います。

9年の中で、すぐ落とせた垢、なかなか落とせなかった垢をまとめてみました。
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インタビューされました。

アンティーク/ビンテージインテリア商品専門のオンラインマーケットプレイス“Layer Home”が運営する人気ライフスタイルブログ“THE LAYER BLOG”のインタビューを受けました。
Layer Home – MEET THE DESIGNER: YOKO KLOEDEN(英語)
過去にはJo BerrymanShaun Clarksonなど著名デザイナーが登場しています。

せっかくなので(?)下に訳してみました、英語で答えたので日本語にしてみると若干違和感がありますが・・・
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Layer interview1
キャリアの初めの10年を東京ベースの大企業で過ごしたYokoは、アジア、ヨーロッパ、北米での居住経験があります。 旅が情熱という彼女は他にも数々の世界の壮観な土地を訪れました。 仕事・趣味での旅を通して、Yokoは毎日の生活の中での場所や環境の重要性に気づきました。
ロンドンへの引っ越しと一番上の子供の誕生をきっかけにYokoはサラリーマン生活にさよならをしデザインへの情熱にフォーカスします。 2015年にはYoko Kloeden Designを設立し、プロジェクト管理、予算管理、クライアントとのリエゾンまでビジネスでの豊富な経験を活かしています。
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「ハレ」と「ケ」の建築 – 3

「ハレ」と「ケ」の建築シリーズ最終回。

前回はオフィシャルな「ハレ」の建築物かプライベートの「ケ」の建築物かに関わらず、ロンドンでは建物が古いということ、建築及び景観を保護する規制についてご紹介しました。
イギリスらしいデザインを形容するキーワードにエクレクティック(eclectic、折衷的な)という言葉があります。 ロンドンの街並みはまさにいろいろな年代の建物がミックスされていて、パリのような統一感がないところが特徴です。 イギリス人の「古い物と新しい物のミックス」、「マスキュリンとフェミニンのミックス」など全体を同じテイストの物でまとめない絶妙なセンスは街並みにもよく現れています。

この真髄を発揮するのがまさにビクトリア王朝時代(1837 – 1901年)、今回はロンドンに数多く残るビクトリア時代の建物から現代までです。

4. ビクトリアン様式(1837 – 1901年)
「ケ」
ジュード・ロウやケイト・モスなどスターやメディア業界の人が多く住む北西ロンドンのプリムローズ・ヒルにあるパステルカラーに彩られた家並みのシャルコット・クレシェント。 
Chalcot Crescent Victorian
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「ハレ」と「ケ」の建築 – 2

前回の続きです。
イギリスには都市計画法の一環で景観保護のために厳しい法規制があります。 このうち一般住宅に関連するのは①登録建造物(Listed Building)制度と②保全地区(Conservation Area)です。

①登録建造物の選択基準は、1. オリジナルな状態を保っている1700年以前の全ての建造物、2. 1700年から1840年の間に建てられた大半の建造物、3. 1840年以降に建てられた建造物は個別の歴史的な価値、社会的な利益、都市景観などを鑑み個別に判断、となっています(参照:Historic England)。
ただ、登録建造物制度はリストに登録されなければ保存対象にならないため、登録建造物と非登録建造物が混在している場合に、たとえ登録建造物が保存されても地区としての景観が損なわれるという不都合が生じるようになりました。 都市の景観保存には個別の建築物(点)だけではなく地区(面)の保存が求められるようになって生まれたのが②保全地区(Conservation Area)制度です。
②保全地区は地方自治体によって定められ、歴史的な市街地や漁村・鉱業村、18・19世紀に建設された郊外などです。

また、例え登録建造物や保存地区制度の対象でなくても建築物の外観の変更には自治体の許可が必要です。
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「ハレ」と「ケ」の建築 – 1

前回に続いて建築の話。
ヨーロッパに住んでいて日本に帰国した時にまず初めにショックを受けるのは、街並みの汚さです。 成田から東京都心に向かう途中や関空から大阪市内に向かう途中の車窓から見える住宅街の街並み ー 建物に全く統一感がなく隙間なく電線が張り巡らされ、ケバケバしい巨大看板やネオンで溢れる街並み ー を見ながら「これが本当に世界中のデザイナーが憧れる日本かー」(注1)とギャップに愕然とします。
注1・・・以前、IDEOロンドン事務所のデザイナーと話した時に「デザイナーはみんな日本に行きたがるよね」と言われたことがあります。

京都の伏見稲荷の鳥居や嵯峨野の竹林の道、桂離宮や龍安寺の石庭など日本のイメージを代表する美しいシンプリシティ(注2)と、雑然とした街並みのギャップが、日本はヨーロッパに比べて大きすぎるように思います。 人間の脳は「見たいものしか見ない」ようにできているらしいですが、日本に長年住むと眼孔を開いていても目の前の煩雑さには何も感じずに素通りできる特殊能力(一種の麻痺状態)が身に付くのでしょうか。 日本を離れてしばらくするとこの特殊能力が鈍ってくるところが不思議です。
注2・・・外国人から見るとこういうイメージ→“Our Japan from Marc Ambuehl”“In Japan from Vincent Urban”

日本の景観があまりにも配慮なく醜悪化している件はアレックス・カー氏の『ニッポン景観論』に詳しいです。 本のエッセンスは日経ビジネスオンラインのコラム『これでいいの?日本の景観』でも読めます。
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世界に広がるオープン・ハウス

今年もOpen House Londonを皮切りにロンドン・デザイン・フェスティバル(LDF)が始まりました(→LDFのオフィシャルサイト)。 デザイン・フェスティバルについては以前『ロンドンのデザイン・エコシステム』というエントリーで紹介していますが、9月に市内各所で行われるデザインの祭典です。 著名デザイナーによる実験的なアートの巨大インスタレーション、各種展示会(*1)は恒例ですが、近年ではデザインディストリクト(*2)と呼ばれるデザインオフィスや工房が数多く集まる地区がオフィスやショップを一般に開放しストリートパーティーを催したりしています。
*1・・・コンテンポラリーであればDesign Junction100% design、ラグジュアリー・インテリアのDecorex、若手デザイナーのお披露目場であるTentなど。
*2・・・今年はBanksideBromptonClerkenwellChelseaIslingtonShoreditchQueens Parkの7地区が参加。
近年、国外からの訪問者が増えているようで、観光客の利便性を重視してか密な日程で行うようになったので、毎年消化不良を起こしてしまいます。

そのデザインの祭典の幕開けは我が家はいつもOpen House Londonです。 正確にはLDFのイベントではないのですが、いつもフェスティバル初日の週末2日間に開催されるOpen House、あまりにも素晴らしいコンセプトなので、以前も紹介しています(→『現代建築の都ロンドン』『廃墟に2万人が並んだ日』)。

建築を理解する最良の方法は体験すること

というコンセプトのもと、普段は一般公開されていないロンドン中の800近くの建築物が一般に無料公開されるのです。 その中身の幅広いことと言ったら・・・
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私のいたソニー

Facebook上で元ソニーの友人たちが続々とシェアし、それぞれの回顧録を語っているので、私も書いてみようかと思います。
これのことです(↓)、日経ビジネスオンラインの特集『オレの愛したソニー』。 特に丸山さんの記事が「ぶっちゃけすぎ」と人気で面白いので貼っておきます(それにしても現存する会社に対し過去形で「愛した」ってひどくないですか? この題名・・・)。
日経ビジネスオンライン:
(上)「ソニー社長を引き受けた平井さんは軽率だな」
(中)「ソニーの使命は大賀時代で終わっていた」
(下)「ソニーの本質は高級なおもちゃ会社」

私がいたのは2001年から2003年の2年間。 丸山さん言うところの

ソニーが大企業になって名前が売れてから入ってきている優等生
会社の看板が残って、確かに会社がそのまま生き続いていくように見えているけど、同じ事業のままでいつまでもやっていけないよ。 そういうことを理解しない若いやつが多いから、新卒の時にピークを迎えている会社に入りたがるんだ。

がそのまま当たっている時代ですが、20代半ばのその頃、会社の寿命とか時代の大きなトレンドとか見えていませんでした。 ただ、このわずかの期間のソニーでの経験は次のMBAにつながっているし、MBAは今の私につながっています。
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専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと

去年の記事だけれど、読んでものすごく感じるところがあったのでシェアします。
“9 things I wish I’d known before I became a stay-at-home mom”(専業ママになる前に知っておきたかった9つのこと)
著者は米系銀行ロンドン支店でのバンカーのキャリアをあきらめ家庭に入った3人の男の子のママ。 2人の男の子を産んだ後もフルタイムでキャリアウーマンを続けていたが、3人目が産まれた時にもう続けるのは無理とキャリアをあきらめ専業ママに。 その決断を時が経ってから振り返ったもの。 努力次第で何にでもなれると男女平等に教育を受けて育ち、仕事を始めてからも男性と同様に仕事をこなし、同じ業界の人と結婚。 そんなに時間とお金をかけて受けた教育や築いたキャリアを簡単にあきらめるものではない、と教えられてきたけどあきらめた・・・ ぜひ全文(→こちら)を読んで欲しいですが、以下要約です(と言いつつ、ほとんど訳してしまいました)。

1) 私の自信は粉々になった
自己に対する自信とは子ども時代と青少年期を経て築かれるもので、大学を卒業する頃には自信は確固たるものになるのだと思っていた。 社会的な自信はついても、職業人(professional)としての自信は全く別物。 職業人としての自信は貪欲な獣みたいなもので、定期的な「職業上の成功」を餌として与えなければすぐに縮んでしまうものだと知った。
私の自信はあらゆる方向からダメージを受けた。 外の世界は進んでおり、自分は時代遅れになったと感じた。 誰も職業欄に「母」としか書けない人のことは相手にしないのではないかと思った。 数年経ってから職場復帰した時に私の周りは一気に若返っていて、仕事を辞めずに残っていた人たちは遥か上に昇進していた。
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イスタンブールの古い家

今日は前回『イスタンブールを見て死ね。』の最後に紹介したBBC記事がトピックです。 

イスタンブールではオスマン帝国時代に建てられた木造の古い建物が酷い状態で朽ち果て、または壊されていくのに対し、2010年にユネスコが「街並みを保護しないと危機遺産リストに入れるぞ」と最後通牒を突き付けた

というのが記事の概略ですが、私も職業柄、古い建物に目がいきました。
ここでユネスコが指している「オスマン帝国時代に建てられた木造の古い建物」とは19世紀後半から20世紀にかけて建てられた特徴的な木造建築を指しています。 その中でも一般人の住宅であったテラスハウス(日本式に表現すると長屋)はこんな外観をしています(左が通りから見た外観、右は同じ建物のディテール)。
istanbul old houses1
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